マグミット®︎ってどんな働きをする薬なの?服用時の注意点は?

2019/11/19

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

便通を良くするためには、食物繊維や乳酸菌を摂取する、水分をこまめに摂取するなどの方法がありますが、辛い便秘には、薬を飲むことも効果的です。マグミット®︎は、このように便通を良くすることがメインの薬です。この記事では、マグミット®︎の特徴や副作用、飲むときの注意点などをご紹介します。

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マグミット®︎の特徴は?

マグミット®︎は、便通を良くするための薬です。腸内に水分を引き寄せて、便を柔らかくするとともに、大きくします。便が大きくなることにより、間接的に腸に刺激が与えられ、腸の蠕動運動が活発になり、便通が良くなります。

また、胃酸を中和する働きもあります。胃の粘膜が弱ってしまうと、胃酸の刺激によって胃の細胞がダメージを受けてしまい、胃炎や胃潰瘍などの炎症を引き起こしやすくなります。マグミット®︎には制酸作用があるため、胃酸を穏やかに中和し、胃炎や胃潰瘍を改善しやすくしてくれます

マグミット®︎に含まれる有効成分は酸化マグネシウムで、通称「カマ」「カマグ」などの略称で呼ばれ、昔から広く使われています。便通を良くする働きから、便秘症に対して処方されることが多く、刺激の少ない薬です。また、腸を直接刺激して便通を促すタイプの刺激性便秘薬とは異なり、習慣性が少なく、長く続けても効果が落ちないのも使いやすいポイントです。

飲みやすい錠剤タイプと、用量の微調整がしやすい粉薬タイプがあり、いずれも多めの水で服用するのが重要です。

マグミット®︎服用時の副作用は?

マグミット®︎は安全性の高い薬ですが、服用量が多いときなど、人によっては便が柔らかくなりすぎて下痢を引き起こしたり、軽い腹痛になったりすることがあります。これらの症状の程度によっては、服用量を調整する必要もありますので、こうした症状が出た場合は早めに医師と相談しましょう。

長期にわたって服用するときは、高マグネシウム血症に注意しましょう。頻度はそれほど高くありませんが、とくに腎機能が低下している人や高齢の人、骨の薬のビタミンD3製剤と併用しているときなどには起こりやすいので、注意が必要です。「だるさ・吐き気・嘔吐・口が渇く・皮膚発赤・まぶたが下がる・筋力の低下・眠気・血圧低下・脈が遅い・息苦しい・意識が薄れる・ぼんやりする」など、いつもと違った症状が現れるようなら、いったん飲むのを中止し、主治医を受診しましょう。

服用中、どんなことに気をつければいい?

最初にご紹介したとおり、マグミット®︎は酸化マグネシウムが主成分の薬です。マグネシウムは人体にとって必要な成分でもあり、骨や歯の形成などにも関わっていますが、大量に摂り過ぎるのも注意が必要です。大量のマグネシウムは心臓に悪影響で、しかも腎機能が低下していると、マグネシウムが体に溜まりやすいことがわかっています。

ですから、心臓病や腎臓病などの持病がある人や、高齢で臓器の機能が低下している人は用量に注意しながら慎重に使うとともに、高マグネシウム血症にならないように注意が必要です。もともと高マグネシウム血症の人も注意が必要なほか、便通を良くする働きから、もともと下痢を起こしている人も慎重に使わなくてはなりません

マグミット®︎は、同時に服用すると、以下のような薬の吸収を阻害する性質があります。そのため、以下のような薬を併用する場合は、同時に飲むと効果が弱まってしまうかもしれません。必ず、服用時間を2~3時間空けるようにしましょう。

  • テトラサイクリン系抗生物質
  • ニューキノロン系抗生物質
  • セフェム系抗生物質(セフジニル)
  • ビスフォスフォネート系薬剤(骨の薬)
  • ジギタリス製剤(強心薬)

また、骨粗鬆症の薬であるビタミンD3製剤(ワンアルファ®、アルファロール®)と併用すると、高マグネシウム血症を引き起こす可能性があります。とくに、腎機能が低下している人は注意が必要です。

カルシウム(1日1g以上)や牛乳(1日1L以上)の大量摂取も控えましょう。マグミット®︎の影響で、ミルク・アルカリ症候群という高カルシウム血症・高窒素血症・アルカローシスなどを引き起こす可能性があります。

症状によって飲み方が異なりますので、医師に指示された用法・用量を守ることが大切です。とくに便秘症に対して処方された場合、寝る前に飲むよう指示されることも多いです。できるだけコップ一杯程度の多めの水で飲みましょう。

長期間服用するときは、必要に応じて血清マグネシウム濃度を測定し、高マグネシウム血症に注意しましょう。嘔吐・徐脈・筋力低下・傾眠などの症状が現れた場合は、高マグネシウム血症の可能性がありますので、すぐに服用を中止し、主治医の診察を受けましょう。とくに、腎機能が低下している人や高齢の人では副作用が現れやすいため、注意が必要です。

おわりに:マグミット®︎は安全な便秘薬・制酸薬だが、高マグネシウム血症に注意

マグミット®︎の主成分は酸化マグネシウムで、腸を直接刺激するのではなく、腸内に水分を引き寄せ、便を大きくすることで間接的に腸を刺激し、便通を促す比較的穏やかな薬です。また、胃酸を中和する作用もありますので、制酸薬としても使われます。

副作用も少ないですが、腎機能が低下している人や高齢者を中心に、高マグネシウム血症に注意が必要です。嘔吐や筋力低下などの症状が出たら、すぐに医師の診察を受けましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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