赤ちゃんに麦茶をあげていいのは何カ月くらいから?

2019/11/29

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

麦茶はミネラル分が豊富で、コーヒーや緑茶に含まれている刺激の強い成分であるカフェインも含まれていないことから、大人から子どもまで広く飲まれている飲み物です。とくに夏場のイメージが強いですが、どの季節に飲んでも構いません。

このように、日本人にとって馴染み深い麦茶ですが、生まれてすぐの赤ちゃんに飲ませる場合、いつごろからが良いのでしょうか?作り方や飲ませ方も一緒におさえておきましょう。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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赤ちゃんに麦茶を飲ませていいのはいつから?

赤ちゃんに麦茶をあげる場合、生後5~6カ月ごろの離乳食が始まる時期からが良いとされています。さらに、ベビー用麦茶としてより赤ちゃんが飲みやすいよう、苦みをおさえてやさしめの風味にしてあるタイプの製品であれば、生後1カ月ごろから飲ませられるものもあります。

ベビー用麦茶ではなく、一般向けに売られている麦茶も、基本的には成分が変わらないので赤ちゃんに飲ませても構いませんが、赤ちゃんにとってはまだ味が濃いので、少し薄めてからあげましょう。緑茶や烏龍茶、一部の紅茶などとは異なり、麦茶にはカフェインが含まれていないので、成分自体は赤ちゃんでも安心して飲めます。

赤ちゃんの消化器官はまだ未熟なので、カフェインを分解する力が弱く、大人よりもカフェインの影響をより強く受けてしまうため、カフェインを含む緑茶や烏龍茶を飲んでしまうと、興奮して落ち着かなくなったり、寝つきが悪くなってしまったりすることがあるのです。その点、ノンカフェインの麦茶なら、赤ちゃんの体に余計な負担をかけることがありません。

とはいえ、生後1カ月ごろの赤ちゃんは、まだまだ母乳やミルクが主食で、そのときに水分補給もかなりできているため、あえて麦茶を飲ませる必要はありません。もちろん、あげてみて赤ちゃんが気に入るようならあげても問題ありませんので、赤ちゃんの様子を見ながら少しずつ飲ませてみましょう。

赤ちゃんの麦茶、作り方のコツは?

パックやペットボトルのベビー用麦茶はすぐにあげられて手軽ですが、小分けの包装なのでどうしても割高になりやすいです。そこで、煮出しパックを使ってたくさん麦茶を作っておけば、麦茶が大好きな赤ちゃんが毎日飲んでも大丈夫です。以下の3つのポイントに気をつけて、赤ちゃん用の煮出し麦茶を作ってみましょう。

赤ちゃん用の煮出しパックを使う
  • できれば、ベビー用の煮出しパックを使うのが良いが、大人用もNGではない
  • 大人用は赤ちゃんには味が濃く苦いため、一度通常通り煮出してからパックを取り出し、水を足して薄めてから再沸騰させる
水出しパックではなく、煮出しパックを使う
  • 日本の水道水は世界的に見ても非常に安全だが、ごく微量の塩素が含まれている
  • 大人には問題ないが、赤ちゃんの体にはこの微量の塩素が負担となることも
  • 水出しパックでは塩素もそのまま飲んでしまうため、煮沸して塩素を飛ばせる煮出しパックがおすすめ
  • 10分以上煮沸させると、残留塩素とトリハロメタンを除去できるとされるため、キッチンタイマーなどで計って煮出すと良い
冷蔵庫で保存し、翌日くらいには飲み切る
    煮出しパックであっても日持ちはしないため、煮出した後はすぐにやかんごと冷水にかけるなどして粗熱を採り、清潔な容器に入れ替えた後、冷蔵庫で

  • 保存する
  • 冷蔵庫で保存しても、赤ちゃんが飲む場合は翌日中に飲みきれるよう量を調整する
  • 冷凍できなくはないが、解凍するときに再び加熱・沸騰させなくてはならないため、新しく煮出しても同じ

煮出しパックも普通の麦茶と同じように、ベビー用のものを使うと味が薄めで苦味を感じにくく調整されていますので、ぜひ活用しましょう。大人用の煮出しパックを使うのもNGではありませんが、その場合は赤ちゃん用に煮出した後で水を加えて薄め、さらに再沸騰させて塩素を飛ばしましょう

水道水には微量の塩素やトリハロメタンが含まれており、大人の健康に被害を及ぼすほどではありませんが、赤ちゃんの未発達な体にとっては負担となることがあります。大人用の麦茶を薄める場合も、そうでない場合も、10分以上煮沸して水道水に含まれる残留塩素やトリハロメタンを除去してから赤ちゃんにあげましょう

また、大人用の麦茶もそうですが、麦茶は日持ちする飲み物ではありません。ですから、当日と翌日で飲みきれる程度の量を作るようにしましょう。赤ちゃん用の麦茶は、大人用の麦茶と成分自体が変わるわけではありませんので、小中学生以上の子どもや、大人が飲んでも構いません。夏場など、家族全員同じ麦茶にしてしまえば、一度に大量に作れて飲み残しがなくなります。

作った麦茶はどうやって飲ませる?

麦茶も、他の食材と同様に、赤ちゃんによってはアレルギーを持っている可能性があります。とくに、大麦アレルギーというアレルギーを持っている場合、麦茶でもアレルギー反応が出ることがありますので、家族や親族に大麦アレルギーを持っている人がいる場合は注意しましょう。初めて麦茶をあげるときは、小児科の開いている平日午前中に飲ませ、様子を見てみます。

初めて飲ませるときの量は、月齢に関わらずスプーン小さじ1杯程度で、温度は人肌くらいにしましょう。冷蔵庫から出した冷たいままの麦茶をあげてしまうと、赤ちゃんがびっくりしてしまい、その後苦手意識を持ってしまうこともあります。冷蔵保存した麦茶を冷蔵庫からコップに出し、白湯を加えて温めてからあげましょう。その後、赤ちゃんが喜んで麦茶を飲み、アレルギー反応にも問題がなさそうなら、少しずつ量を増やしていきましょう。

麦茶を飲むのに慣れてきた赤ちゃんに飲ませるタイミングとしては、寝起きやお風呂上がりなど、水分不足になりやすいとき、赤ちゃんが水分を欲しがるときが良いでしょう。離乳食が始まったら食後にあげると、虫歯予防効果も期待できます。ハイハイ期やあんよ期など、体を多く動かす時期になってきたら、たくさん運動した後の水分補給としてもおすすめです。

母乳の赤ちゃんとミルクの赤ちゃんでは、麦茶のあげ方が違う?

一般的に、ミルク育児の赤ちゃんは哺乳瓶に慣れているため、麦茶もスムーズに飲ませやすいとされています。いつもミルクをあげるときに使っている哺乳瓶に、麦茶を入れ替えれば良いだけなので、赤ちゃんも慣れた吸い口で飲みやすいようです。注意点としては、長時間外出するときにも麦茶を哺乳瓶に入れっぱなしだと、雑菌が繁殖して不衛生になりがちなことです。こまめに替えたり、短時間に飲みきれる量を入れてあげたりすると良いでしょう。

母乳育児の赤ちゃんの場合、哺乳瓶やマグは普段飲んでいる母乳とあまりに感触が違うため、吸い口や飲み口に拒否反応を示してしまう可能性があります。ですから、母乳育児の赤ちゃんには最初から哺乳瓶やマグであげようとせず、口触りのやさしい離乳食用スプーンを使って慣れていってもらうのが良いでしょう。もちろん、それでも飲まないときには無理に飲ませなくても構いません。

おわりに:赤ちゃんに麦茶をあげるなら、離乳食の開始と同じころから

赤ちゃんに麦茶を飲ませる場合、離乳食を始める5~6ヶ月ごろからスタートするのが良いでしょう。また、赤ちゃんでも飲みやすくやさしい味のベビー用麦茶であれば、1ヶ月ごろから飲ませられるものもあります。

赤ちゃんにあげる麦茶は、作る量を調節できる煮出しパックがおすすめです。他の離乳食と同じように、最初は小さじ1杯程度の量から少しずつあげていきましょう。

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