記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/11/17
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
赤ちゃんの体調が悪くなったときも、大人と同じように病院を受診します。そのとき、体調や症状によっては、赤ちゃんでも飲んだり使ったりする薬を処方されることがあります。
赤ちゃんに薬を処方されたら、お母さんやお父さんはどのようなことを確認しておけば良いのでしょうか?また、飲ませるときのコツや注意点にはどんなものがあるのでしょうか?薬の形状ごとに、飲ませ方や注意点をご紹介します。
赤ちゃん用に薬をもらったときは、以下の6つのポイントを忘れず確認しましょう。
赤ちゃん用の薬には、シロップ・粉薬・座薬・点眼薬・点耳薬の5種類があります。それぞれの飲ませ方や使い方について、詳しく見ていきましょう。
シロップは別名水薬とも呼ばれる液体状の薬です。以下のような手順で飲ませましょう。
使ったスポイトやカップは雑菌が繁殖する可能性があるので、使った後は必ずよく洗い、乾燥させましょう。また、シロップの容器自体を常温で放置しているとカビや雑菌が繁殖しやすいため、冷蔵庫で保管します。水で薄めている場合、長くても2週間が経ったら捨てましょう。
粉薬は、成長した子どもでも飲みにくい薬ですから、以下のようにして飲ませると良いでしょう。
口内に塗るとき、味覚が敏感な舌の上に薬を乗せてしまうと、薬を吐き出してしまうこともありますので、吐き出しづらく、飲み込みやすい頬の内側や上顎に塗るのが良いでしょう。他にも、少量の水やぬるま湯に粉薬を溶かし、水薬のようにスポイトなどで飲ませても構いません。ただし、水に溶けにくい粉薬もありますので、その点は注意しましょう。
溶かしてしばらくすると苦味が出てくることがあり、赤ちゃんが嫌がります。飲む直前に薬を溶かし、飲んだ後は口の中に薬が残らないよう、水を飲んで洗い流してあげましょう。このとき、熱いお湯は使わないでください。お湯を飲ませると薬が変質してしまうことがあるためです。
ある程度大きくなり、食べられるものが増えてきたら、水以外のものに混ぜても構いません。ただし、薬によっては味が強調されて飲みづらくなることがあります。あらかじめ、薬剤師にどんなものと合うか、どんなものと合わないか確認しておきましょう。
座薬は、以下のような手順で使いましょう。
挿入の刺激で排便してしまうことがあるので、なるべく排便後に使用するとともに、赤ちゃんの下にオムツやシートを敷いて使いましょう。
点眼薬は、以下のような手順で使いましょう。
赤ちゃんが怖がって嫌がってしまう場合は、寝ているときにさしても構いません。ただし、赤ちゃんが泣いているときは、目薬も一緒に流れ出てしまうため、避けましょう。
点耳薬は、以下のような手順で使いましょう。
最後に、溢れた薬液を拭き取っておしまいです。点耳薬は冷蔵庫で保管することが多いですが、冷たい薬をそのまま耳に入れてしまうとめまいを起こすことがありますので、必ず人肌に温めてから使いましょう。
点眼薬や点耳薬と異なり、粉薬やシロップの場合は赤ちゃんがいやがって飲んでくれないことも考えられます。そのような場合を含め、最後に対処法をご紹介します。
シロップ剤で最も考えられるのは、飲んですぐ吐き出してしまう場合です。このときは、薬の成分もほとんど吸収されていないため、また別の方法で飲ませてみる必要があります。同じ方法で飲ませてもすぐまた吐いてしまう可能性が高いので、時間をあけて別の方法で飲ませてみましょう。
薬は身体の中に吸収されないと効果を発揮できないので、とにかく飲んでもらわなくてはならないのですが、吐いてしまう方法で無理に飲ませるのは止めましょう。朝・昼・晩に飲む薬だとしても、30分や1時間程度のズレは気にしなくても構いません。時間を置き、方法を変えても飲めないときは、医師や薬剤師に相談してみましょう。薬の形を変えられることもあります。
また、冷たいものは味覚を鈍らせて飲みやすくなるため、シャーベットのように凍らせても構いません。しかし、一部には成分が変質してしまう種類の薬もありますので、凍らせても良いかどうか必ず医師や薬剤師に確認しましょう。身体を冷やすため、咳を誘発することもありますので、その点にも注意しながら飲ませましょう。
シロップ剤に限らず、薬は残ったら必ず破棄しましょう。薬はその子のそのときの症状に合わせて処方されたものですから、同じような症状に見えても別の病気だったり、合併症を発症していたりということも考えられます。ですから、とっておいても別のときには使えません。兄弟で同じ時期に同じ症状だったとしても、必ず症状に気づいたその都度受診しましょう。
大人はよく粉薬をオブラートに包んで飲んでいるので、赤ちゃんにもその方法で飲ませた方が良いのでは、と考える人もいるのですが、口の小さい赤ちゃんにとって、オブラートで包んだ薬はかさばって飲みづらいので、避けた方が良いでしょう。
粉薬とシロップ剤を同時に飲む場合、混ぜても問題はありませんが、全量をいっぺんに混ぜてはいけません。成分が変質してしまう可能性もありますし、もし、味が非常にまずく変わった場合、かえって赤ちゃんにとって飲みづらいものになってしまいます。必ず、1回分ずつ混ぜて飲ませましょう。
しばらくして排便してしまった場合、座薬がそのまま出てきたら、もう1回挿入しましょう。既に座薬の形がなければ、吸収されたと考えて構いません。1時間ほど様子を見ても排出される気配がなければ、とくに問題はないでしょう。
赤ちゃん用の薬には、シロップ剤・粉薬・座薬・点眼薬・点鼻薬などがあります。大人や会話ができる子どもと違い、赤ちゃんにはシロップ剤・粉薬をなんとか機嫌よく飲んでもらわなくてはなりません。そのため、今回ご紹介したような方法を使い、スムーズに飲んでもらいましょう。
座薬や点眼薬・点耳薬の場合は、それほど失敗はないでしょう。まれに座薬がそのまま出てきてしまうときは、もう一度挿入すれば大丈夫です。