記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
思春期にどのような変化が現れるかは個人差がありますが、男女の違いもあります。この記事では、思春期で子供にどんな変化があるかを、男女にわけて特徴を解説していきます。
思春期とは、子供が大人になっていくうえで身体的、精神的に発達していく時期のことです。女子は胸がふっくらとし始めて初潮をむかえ、男子は声が低くなって男性の体つきになっていきます。
思春期を迎える時期の平均は、女子が11歳、男子が12歳です。
ただ、個人差があるのでほかの子よりも思春期を迎える時期が早くても遅くても、あまり心配する必要はありません。
女子の思春期のサインは胸が膨らみはじめることから始まることが多く、乳房が敏感になったり、一方の乳房の方が早く発達することもあります。
また、陰毛が生えはじめたり、腕や脚の毛が濃くなる子供もいます。
思春期を迎えて1年ほど経ったころからは、以下のような変化が見られます。
男子が思春期を迎えると、睾丸が大きくなって陰嚢が細く赤くなりはじめます。また、ペニスの根元のあたりに陰毛が生えはじめます。
思春期を迎えて1年ほど経ったころからは、以下のような変化が見られます。
思春期は、子供にとって精神的に大変な時期でもあります。体型の変化や、ニキビ、体臭に悩まされたり、自意識が強くなる時期です。
思春期は、新たな心情や感情が発達して、楽しい時期でもありますが、感情の波の急激な変化によって、以下のような精神的な状態に陥ることがあります。
思春期の様々な心理状態や精神状態の変化には男女差があります。
男子では、「親離れ」や「兄弟離れ」を望み、それを強く行動や態度に示すようになります。自室に閉じこもったり、食事中にも会話をしない、などというケースが多く、情緒が不安定になると物を投げたり、蹴ったりするといった暴力行為が見られることもあります。
家族はその態度や行動の変化に驚き、とくに母親は男子の気持ちを理解できずに過干渉になったり、母親自身が抑うつ状態になってしまうこともあるかもしれません。
ただ、男子の親離れは成長の証です。必要以上の心配や干渉は状況をさらに悪化させることもあるので注意しましょう。
女子の思春期は友人との軋轢が生じやすい時期で、母親や兄弟に依存的な態度を見せることがあります。
また、容姿に目覚める時期でもあり、過度な食事制限やダイエットを行うこともあるでしょう。
このような場合には、男子の場合と同じく適度な距離感を持って接し、問題を自分で解決できるようなサポートを行うのが理想です。体形や容姿に対する誤った認識は正す必要がありますが、きちんとお子様の精神状態を考えながら程よいアドバイスをしてあげましょう。
思春期は「性」に目覚める時期でもあります。これまでは男女の分け隔てがなかった学校などの集団生活の中でそれぞれの性に目覚めていくことで、異性に対して興味や好意が湧きあがり、自身の容姿に対するコンプレックスが生じることが多々あります。
また、安易な性交渉や異性関係のトラブルを起こしやすく、中には性的な被害などの犯罪行為に巻き込まれることもあります。これによって性感染症や望まぬ妊娠、PTSDなどの深刻な心的外傷を引き起こす可能性もあり、特に女子では大きな肉体的負担を背負うことにつながります。
自身の子供がこのようなトラブルに巻き込まれた場合には、親として本人の様子をしっかり見守りながら適切な医療機関やカウンセリングなどへの付き添いを行い、適度な距離感を持って「絶対的な味方」であることを態度で示してあげましょう。
現在では、避妊や性感染症対策の重要性、妊娠適齢期などの性教育は比較的早い段階で行われる傾向にあります。
以前は、これらの性教育がかえって思春期の子供たちの性衝動を刺激し、望まない妊娠などにつながると考えられていました。しかし、それらの知識を持たない若者が増え、性感染症などにかかる成人が増えた事実があることから、早い段階から正しい知識をつけるために指導が行われるようになっています。
性教育の指針は各教育委員会などによって異なりますが、一般的には小学校高学年頃から男女の性的な違い、性行為に関わる病気についての基礎的な知識を学び、中学生になってからは性行為の注意点や感染症予防などを学びます。
そして、高校生以降では卵子や精子の老化などの話題を取り上げ、適齢期に妊娠を目指すことで不妊症のリスクを減らせるということを学んでいきます。
精神面の成長という点では、男女ともに多感で複雑な感情を持つ子供が多くなりますが、思春期の身体の成長は男女で大きく異なります。特に自分からみて異性の子供の場合は、そうした変化に戸惑うこともあるかもしれません。
思春期は大人になるためのステップとして誰もが経験するものです。必ず来るものですから、思春期の変化について正しく理解し、子供を見守る準備をしておきましょう。