記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/7
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
女性ならいつかは訪れる閉経。自分がその年代に近づくと、閉経ってどんなふうに迎えるのかはもちろん、閉経した後自分の体にどんな変化が訪れるのか、不安は大きくなるばかり。そろそろかな……と思うアナタも、まだ先と思うアナタも、将来の自分のこと、少し考えてみましょう。
「閉経」とは、女性の生理が終わることです。女性は年齢を重ねるにつれて、卵巣が女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロン(月経周期を調節するホルモン)を作る量が少なくなり、閉経を迎えます。
閉経の時期は女性によって異なりますが、40歳から59歳の間が比較的多いです。閉経は数年かけて少しずつ進み、閉経期およびその前の3~5年間を「閉経周辺期」といいます。生理が12カ月間こなくなってはじめて閉経となります。
ほとんどの女性は、閉経を迎えるまでに以下のような症状を経験します。
これは閉経の最初の兆候です。 生理がない月があったり、間隔が狭くなったりすることがあります。出血量はいつもよりも軽いときもあれば、重いこともあります。
閉経の最も一般的な症状です。ほてりがあると、首から上がひどく暑くなったり、体の中に熱がこもったような感じになったりします。顔が赤くなったり、汗をかくこともあります。また、胃の不快感やめまい、頭痛、動悸が早くなるといった症状が出る人もいます。
閉経周辺期および閉経後に、膣および外陰部の皮膚(膣周囲の領域)が薄くなります。また、膣も、セックス中に膣周辺を潤す力を失います。こうした変化があると、セックス中に痛みを感じやすくなる可能性があります。
このような場合、痛みを軽減するために専用のゼリーや保湿剤を使うことができます。また、ゼリーや保湿剤のメリット・デメリットについて、医師に相談することもできます。
閉経周辺期、および閉経後に膀胱および尿路感染症を発症する可能性がより高くなります。 頻繁にトイレに行ったり、急な尿意をもよおしたり、排尿時に痛みが走ったり、尿を出すことができなくなったりしている場合は、医師に相談してください。
閉経後、寝つきが悪くなるかもしれませんし、寝汗で目を覚ますことがあるかもしれません。また、睡眠が浅くなって、レム睡眠(体は休んでいるが、脳は活発に動いている状態。夢を見ているときの脳の状態)の時間が短くなる可能性もあります。このような場合、疲れたり、気分が悪くなったり、ストレスを感じる場合があります。
閉経後、体重が増える女性は多いです。健康的な食事と週に何度か運動すれば、健康的な体重を維持しやすくなります。
多くの女性が閉経により、精神的なバランスの乱れを実感しています。これらの症状には、悲しみや不安、気分の変化があります。中には症状が重くなる女性もいます。
どうも気分がすぐれない、すっきりしないなど、精神面での不調を抱えている場合は、医師に相談してください。
閉経が体に与える影響として、以下のようなものがあります。
年齢を重ねるにつれて、女性の骨粗しょう症リスクは高まりますが、閉経を迎えるとこのリスクはさらに高くなります。エストロゲンレベルが低下すると、体内で作られるよりも多くの骨が失われるためです。
閉経後は胸の形が変わります。サイズが小さくなり、密度が低くなり、でこぼこができやすくなります。
女性は閉経後に心臓病を発症する可能性が高くなります。これは、エストロゲン値の低下するためと考えられています。
閉経で体にどんな変化が起きるのか、事前に少しでも知っておくと、心の準備がしやすいと思います。また、今から知っておけば、運動や食生活の改善など、体の変化を緩やかにするための努力もできますね。年齢を重ねても健康で楽しい生活を過ごせるよう、ココロとカラダを準備しておきましょう。