記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2020/2/5
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
おやつといえば「3時のおやつ」が一般的です。おやつタイムは子供の頃に欠かせないお楽しみだったと思いますが、高齢者にとっても大切な時間であることが知られるようになってきました。この記事では、おやつが高齢者にとって大切な理由やおすすめのおやつをご紹介します。
高齢者が毎日元気に過ごすためには、栄養状態が良いことも必須条件です。しかし、その一方で、高齢になるにつれて食が細くなりやすいため、食事が進まない日でも「食べなければ」と負担に感じてしまうこともあります。そこで、食生活の補助的な役割として「おやつ」を導入するのがおすすめです。
おやつはメインの食事とは異なり、甘いもの、塩気の効いたもの、サクサクしたもの、プルプルしたものなど、味も食感もさまざまです。そのため、メインの食事にはない食感の楽しさや、見た目の飾りつけや配色などの自由さを通じ、日々の食生活に潤いを与えてくれます。
食事と比較すると、おやつの重要さは認知度やその必要性がまだまだ十分に知られていませんが、高齢者のおやつは単に甘いお菓子という以上に、食生活を補助するための重要な役割があります。
実際、老人ホームなどの施設では「おやつに関するレクリエーション」として徐々に広まりつつあります。介護食は食べる側だけでなく、作り手側にとっても手間がかかり、作り方が難しいというイメージもあるため取り組みづらいものですが、おやつを応用した介護食からスタートすれば、ハードルを下げて取り入れることができます。
たとえば、ゼラチンでとろみをつけて飲み込みやすくする、メレンゲでふわふわに仕上げて食べやすくするなども介護食のひとつと言えます。作り手も食べる側も楽しみながらできる「おやつ介護」は、単なるお菓子以上の役割を持つ大切な補助食となります。
代表的な高齢者向けのおやつのカロリーを以下にご紹介します。
1食あたり、だいたい100〜150kcal前後のものが多いと言えます。ここでは加工品をご紹介しましたが、果物や野菜など、不足しがちな食物繊維やビタミン類を補うのもおすすめです。りんごを飾り切りにしたり、季節の果物を取り入れたりすれば見た目にも楽しめますし、コミュニケーションのきっかけにもなります。
また、おはぎには粒餡とこし餡があります。嚥下能力に問題がない人は粒餡、飲み込みづらい人はこし餡というように使い分けると、同じメニューを一緒に楽しむことができます。
高齢者のおやつは食事補助の役割も持っているため、目的に応じてさまざまなものを選ぶことができます。ここでは例として、栄養補給を目的とする場合、水分補給を目的とする場合、楽しむことを目的とする場合の3つに分けてご紹介します。
高齢者にとっておやつの持つ栄養素や水分、楽しさが重要とはいえ、頻繁に用意すればよいというわけでもありません。以下の4つのポイントには注意しながら、おやつを取り入れていきましょう。
おやつは栄養を補助できる反面、砂糖が多いお菓子も多く、どうしてもカロリーや糖質が高くなりやすい傾向にあります。そのため、量を少なめにするなど、カロリーの摂りすぎにならないような工夫が必要です。また、おやつだけで満腹になってしまい食事が食べられない、といったことがないように時間を調整することも大切です。
このようなことに気をつければ、おやつの時間は楽しいものです。提供者にとっても高齢者にとっても楽しい時間になるよう、少しだけ気をつけながらおやつを楽しみましょう。
高齢になればなるほど、たいていの人は食が細くなり、食事で十分な栄養補給がしきれないこともあります。そこで、水分や食物繊維・ビタミンなどの補助として、エネルギーの補給として、おやつを取り入れると良いでしょう。
また、おやつは見た目や食感が楽しく、季節の行事と結びつけて雰囲気ごと楽しめるというメリットもあります。ぜひ、機能的な意味合いだけではなく、高齢者と一緒におやつの時間を楽しみましょう。