記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2023/9/27
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
動脈硬化は血管に悪影響を与え、重篤な疾患を引き起こす原因になります。動脈硬化を予防するためには、危険因子となるものを遠ざけ、生活習慣を見直し、定期的な検査で健康状態を管理することが大切です。この記事では、動脈硬化が進行することによる体への影響と動脈硬化の危険因子について、予防対策とあわせて解説していきます。
動脈硬化とは文字通り、動脈が分厚く硬くなり、柔軟性や弾力性がなくなってしまうことです。動脈とは、酸素や栄養素がたっぷり含まれた新鮮な血液を通している血管のことで、心臓から各種臓器や身体の隅々の細胞に酸素と栄養素を届けています。心臓の拍動によって勢いよく流れ出す血液をスムーズに送り出せるよう、本来は弾力性があり、血管の内壁もとてもなめらかになっています。
しかし、何らかの原因で血管の壁が硬くなり、内壁にコレステロールが溜まって分厚くなると、血液がスムーズに流れにくくなります。この状態が動脈硬化であり、動脈硬化が進行するとますます血管(動脈)の弾力性が失われていき、最終的には血管が破れて血液が血管の外に溢れ出したり、動脈瘤という塊ができてより血液の流れが悪くなったりします。
動脈硬化が進行すると、血管の破れた部分や動脈瘤ができた部分よりも先にある臓器が、影響を受けることになります。すると、影響を受けた臓器の機能が低下する、酸素不足で壊死するなどが起こり、以下のような重篤な疾患のリスクが高まります。
脳卒中や心筋梗塞は生命に関わる疾患であり、大動脈瘤も破裂すれば突然死につながる可能性があります。また、腎不全を発症すれば人工透析という大掛かりな治療が必要になることもあります。動脈硬化の原因は完全に特定されたわけではありませんが、その進行を促す危険因子となるものはいくつか指摘されています。
動脈硬化のリスクを高める「危険因子」として、以下が挙げられます。このなかでも、高脂血症・高血圧・喫煙は、動脈硬化の三大危険因子といわれています。
動脈硬化を予防するためには、前章で紹介した危険因子をなくしていくことが大切です。まずは、以下のような「適度な有酸素運動」を生活の中に取り入れましょう。
しかし、全く運動習慣のなかった人が、これらの運動をいきなり始めるのは難しいと思います。そのような人は、まず1日5分〜10分でもかまいませんので、継続して体を動かす習慣をつけましょう。たとえば、駅でエスカレーターを使わず階段を使う、散歩がてら歩いて買い物するなどから始めてもかまいません。また、運動に慣れていない人が突然激しい運動を行うと、怪我をしたり関節を痛めたりするなど、思わぬ体調不良を引き起こす可能性があります。運動に慣れていない人は、最初は無理のない運動から始め、慣れてきたら少しずつ運動の時間・頻度・負荷を高めていくようにしてください。
すでに糖尿病や高血圧を発症している人は、まず医師の指導のもと、これらの疾患をきちんと治療することが大切です。とくに、糖尿病は動脈硬化以外にもさまざまな合併症を引き起こしますので、診断を受けたら医師の指導をきちんと守り、食事療法や運動療法を実践していきましょう。
喫煙や過度のストレスは、血中に有害物質を増やしたり血管を収縮させたりすることで、血管の壁を傷つける可能性があります。喫煙者の方はまず禁煙し、ストレスが溜まっていると感じる人はぜひこまめに解消するようにしましょう。適度な運動もストレスの発散におすすめです。
高脂血症や高血圧は、食事の内容が関係している可能性があります。基本的には、「脂質・コレステロール・塩分・糖質」を控えめにするとともに、食べすぎないよう「腹八分目」の食事を心がけ、以下の食品を中心に献立を作るようにしましょう。なお、アルコールの過剰摂取は厳禁です。
動脈硬化の三大危険因子は「高脂血症・高血圧・喫煙」です。このうち、高脂血症と高血圧については、食事内容の見直しや生活習慣の改善によって十分に防ぐことができます。高脂質・高糖質な食事を避け、適度な運動を習慣にしましょう。加えて、禁煙を行い、肉体的・精神的ストレスを溜めすぎないよう心がけることも大切です。ご紹介したような健康的な習慣を身につけ、元気で若々しい血管を保てるようにしましょう。