記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/12/25
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
食品による急性胃腸炎の中でも「ノロウイルス」を発症する人は少なくありません。この記事ではノロウイルスの概要や感染リスクが高くなる原因などを紹介します。
ノロウイルスは1968年にアメリカのオハイオ州で発見されました。ノーウォークという町の小学校で急性胃腸炎が集団発生し、患者の糞便からウイルスが検出されました。町の名前からノーウォークウイルスと呼ばれるようになりました。
その後に顕微鏡でウイルスの形態がはっきりと調べられ、小さくて球形のかたちをしているため「小型球形ウイルス」と分類されました。小型球形ウイルスは非細菌性急性胃腸炎を引き起こします。
表面はカップ状のくぼみをもつ構造たんぱくで覆われています。内部には遺伝子としてプラス1本鎖RNAを持っていて、多くの遺伝子の型を有しています。ノロウイルスを分離して特定することは難しく、食品中に存在するノロウイルスを検出することが困難です。
ノロウイルスは口に入ることで感染する経口感染をします。感染経路の例を紹介します。
食べ物をを介した感染は上記の2つが主な原因です。まず食べ物がノロウイルスに汚染され、それを口に入れたことによる二次感染が引き起こされます。学校給食など集団調理での発生例の報告がされています。
食べ物を介しません。下痢や嘔吐物による手指の汚染、汚染した手指などを経路とする接触感染です。トイレの便座、ドアノブ、手すりなど手指が触れる環境でノロウイルスが検出されることが多くあります。
嘔吐のとき、ノロウイルスを含んだ水滴は1~2mほど周囲に飛び散ると考えられています。このとき飛沫感染が発生して感染が拡大することもあります。
ノロウイルスにはワクチンがないため感染予防が大切です。とくに子供や高齢者はウイルスへの抵抗力が弱いので、ノロウイルスに感染して発病する可能性が高いといえます。
ノロウイルスは嘔吐物や排泄物に大量に含まれています。わずかなウイルスからでも感染しますので、嘔吐や下痢が発生しているときはノロウイルスを含んでいる可能性を考慮して適切な対処をとることが必要です。
ノロウイルスに感染した場合、下記の症状がみられます。もともと体力が低下していたりほかの病気を発症していたりしなければ、ノロウイルスの症状が重症化することはあまりありません。
ノロウイルスが発症した場合、特効薬のような治療法はありません。抗生物質の効果も期待できませんので、ノロウイルスに対して抗生物質が使用されることはあまりみられません。症状の持続時間は短いのですが、脱水症状に注意して水分の補給をします。
発症に気づいたときや発症の可能性があるとき、感染を拡大させないための対応が必要です。
ノロウイルスを発症した場合、症状を抑える効果的な治療法はありません。大切なのは感染予防です。手洗いやトイレ、ドアノブなどの消毒に気を配り、ウイルスの感染を防ぎましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。