冬場に気になる目の乾燥、原因は…エアコン?

2020/1/14

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

日本の冬、とくに太平洋側の冬は空気が乾燥しやすく、お肌も目も乾燥しやすい季節です。しかし、冬場に目が乾燥する原因は、単に空気が乾燥しているからというだけではありません。もしかすると、部屋を暖めるためにつけたエアコンが原因かもしれないのです。

夏の暑さや冬の寒さを乗り切るためには非常に便利なエアコンですが、冬場に目が乾燥して困るという人は、ぜひこの記事をチェックして上手にエアコンと付き合いましょう。

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エアコンが目の乾燥の原因になるって本当?

一般的に、目の乾燥を感じる原因として以下のようなものがあります。

  • 周りの空気が乾燥している
  • 長時間のパソコン作業やテレビの見続けなどにより、まばたきの回数が減っている
  • コンタクトレンズを使っている
  • ドライアイ(涙が不足したり、均等に行き渡らなくなったりする疾患のひとつ)

このうち、ドライアイやコンタクトレンズに関しては疾患や製品の性質上やむを得ません。目薬などを使って適宜、水分を補いましょう。一方、長時間のパソコン作業やテレビの見続けに関しては、ある程度対策によって防げます。

通常、人間がまばたきをする回数は1分間に15〜18回ですが、パソコンなどのディスプレイを見続けているとき、1分間に7~12回にまで減るとされています。そこで、30分や1時間など集中して作業した後は10分ディスプレイを見ない時間を作る、など、意識的に目を休める時間を作りましょう。

最後に、周りの空気が乾燥している状態は、そもそも湿度が低い日や冬には乾燥しやすいということのほかに、エアコンの風によっても空気が乾燥しやすいことがわかっています。夏はもともと湿度が高いため、エアコンによる乾燥に気づきにくいのですが、冬は外気も乾燥していますので、エアコンの乾燥の影響をもろに受けやすくなります。

目を乾燥から守る涙も、風や湿度など周囲の環境に大きく影響されます。ですから、エアコンをかけるときは風向きに注意するのはもちろん、かけすぎて室内を乾燥させすぎないように気をつけましょう。

エアコンによる目の乾燥を防ぐには?

では、具体的に室内の空気をエアコンによる乾燥から守るためには、どうしたら良いのでしょうか。まず、以下の4つのポイントを心がけましょう。

温度だけでなく、湿度もチェックする
  • エアコンの効いた室内でも心地良く過ごすためには、湿度を50%前後に保つ
  • 加湿器をつけたり、濡れタオルや洗濯物を室内に干したりすると湿度をキープできる
エアコンの風に直接当たらない
  • 家庭の場合は、エアコンの風向きを変更し、人やペットに直接当たらないようにする
  • オフィスでは風向きを変えるわけにいかないため、ついたてや風よけを設置してもらう
意識的にまばたきの回数を増やす
  • 目の表面を覆う涙の膜を補充するため、意識的にまばたきをするとよい
必要に応じ、目薬を使う
  • 市販品のほか、医療用の目薬を処方してもらうのも一つの方法

また、ペットを飼っている人は、ペットのドライアイにも気をつけましょう。人間と同じように、犬や猫もドライアイになることがわかっています。もし、飼っている犬や猫がドライアイになってしまった場合、獣医さんに目薬を処方してもらい、点眼治療を行います。飼っているペットの目の調子がおかしいようなら、早めに獣医さんに相談しましょう。

日ごろから目の健康に気をつけよう

人間は、情報の約80%を視覚から得ていると言われています。ですから、視力が低下したり、視覚が失われたりすることは、できるだけ避けたいものです。そこで、日常生活の中で気をつけるべきポイントとして「目を休ませる」「目にやさしい食事を摂る」「定期的に眼科検診を受ける」の3つを見ていきましょう。

目を休ませよう

パソコンやスマートフォンなど、現代人の生活の中でディスプレイを見つめている時間は非常に長いものです。そこで、パソコンやスマートフォンを使うときは、1時間につき10分間の休憩を挟むなど、こまめに目を休ませましょう。少しの時間でもまぶたを閉じて光を遮ったり、まばたきをゆっくりと繰り返して目をストレッチしたりするのがおすすめです。

他にも、読書やハンドメイドなどの細かい作業もまばたきを忘れて集中する原因になりますので、パソコンやスマートフォンを使うときと同様、1時間ごとに10分程度の休憩を挟むのが良いでしょう。また、目の疲労を回復するためには、睡眠も非常に大切です。1日6~7時間程度の睡眠をとり、目の疲れをしっかり回復しましょう

目にやさしい食事を摂る

日頃からバランスの良い食生活を心がけることは、目に限らず全身の健康のために重要なことです。その上で、目の健康維持に必要とされる栄養素を意識的に摂取するのが良いでしょう。例えば、以下のような栄養素と食材があります。

アントシアニン(ポリフェノールの一種)
ブルーベリーなどのベリー類
ルテイン
ほうれん草などの緑黄色野菜
DHA(不飽和脂肪酸の一つ)
青魚、まぐろ、かつおなど

定期的に眼科検診を受ける

目の健康状態をチェックするためには、定期的に眼科検診を受けることも大切です。もちろん、目に何らかの異常を感じたり、乾燥や疲労感などの症状がなかなか治らなかったり、というときには健康診断の時期に限らず、早めに眼科を受診しましょう。

眼科検診には、視力検査と眼底検査の2つがあります。基本的にはものがどこまで鮮明に見えるかという視力検査を行いますが、医師が必要と判断した場合、眼底検査(網膜裂孔や網膜剥離などがないかどうか調べる)を行うこともあります。

おわりに:エアコンで湿度は大幅に下がる。加湿器などで対処を

冬場はそもそも空気が乾燥していて、お肌や目も乾燥しやすい季節です。しかし、それ以上にエアコンで湿度を上げることにより、より空気を乾燥させているかもしれません。冬に目が乾燥しやすいという人は、部屋に加湿器を置いたり、洗濯物を干したりしてみましょう。

また、日頃から目に良い栄養素を積極的に摂取したり、睡眠をしっかりとったり、定期的に眼科検診を受けておくことも、目を健康に保つためには大切です。

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