健康診断で糖尿病の疑いが見つかることってあるの?

2020/2/7

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

職場などの健康診断の結果で「糖尿病の疑い」を告げられた経験はありませんか?今回は健康診断で告げられる「糖尿病の疑い」がどんな状態を指すのか、糖尿病そのものや発病を予防するための対策とあわせて、解説していきます。

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糖尿病ってどんな病気?

糖尿病は、大きく1型と2型に分類されます。

1型糖尿病
  • 感染症などの原因によって発症し、膵臓のインスリンを分泌するβ細胞が免疫細胞に攻撃されることによってダメージを受けることによって発病する糖尿病
  • 先天的に起こることが多い
  • 糖尿病患者のうち10人に1人と少ない割合を占める
2型糖尿病
  • 膵臓が作り出すインスリンの量、または機能が不十分であることで起こる糖尿病
  • 糖尿病患者の10人のうち9人はこの2型とされている
  • 生活習慣や遺伝的な要因が原因
  • 40歳を過ぎた頃から発病しやすくなる

以下、糖尿病のなかでも発病者の多い2型糖尿病を中心に、症状や原因、発病を予防法などを解説していきます。

健康診断で突然、「糖尿病の疑い」って出たけど…。

糖尿病は、かなり進行するまで自覚症状が現れない病気です。高血糖による症状や、高血糖状態によって起こり得る合併症から見つかるケースの方が少なく、近年では以下いずれかのタイミングで偶然見つかることが多いとされます。

  • 健康診断や人間ドックなどで、血液検査を受けたとき
  • 他の病気の疑いがあり、そのための検査で血液を調べたとき
  • 献血をしようとして、血液の状態を調べてもらったとき

2型糖尿病を招く原因は?

2型糖尿病を招く原因として、インスリン分泌不全インスリン抵抗性の2つがあります。

インスリン分泌不全
両親から受け継いだ遺伝的性質により、血糖値を適性値に保つのに十分な量のインスリンを分泌できない、分泌しにくい体質であるために発病するもの
インスリン抵抗性
生活習慣など環境的な要因から、インスリンが十分に効果を発揮できなくなり、血糖値を適性に保てず発病するもの

上記のうち、インスリン抵抗性の2型糖尿病を招く生活習慣の具体例として以下が挙げられます。

  • 肥満や食べすぎによる糖分や塩分、油分の過剰摂取
  • 食べ過ぎ、また運動不足による肥満

2型糖尿病にならないためにできることは?

健康診断で糖尿病になる恐れがあると指摘されたあと、2型糖尿病を発病させないようにするためには、特に食習慣を見直すのが効果的です。以下のポイントを参考に、食事の内容と量を見直してみましょう。

標準体重・生活強度を基準に食べる量を調整する

まず以下の計算式から、自分の身長に対する標準体重を確認します。

標準体重の計算式
身長(m)×身長(m)×22

標準体重がわかったら、この数値に生活強度をかけ合わせて、1日に必要なカロリー量を導き出しましょう。たとえばデスクワークや専業主婦など、日常生活のなかで体を動かすことの少ない生活強度のやや低い人の場合、肥満の人で25、やせ型の人で30が目安です。

生活強度が低い人の、1日に必要なエネルギー量計算の例
標準体重×生活強度(25~30)

こうして導き出されたカロリー量を1日の摂取カロリーの目安にすることで、食べすぎや肥満、糖尿病の発病を防げるようになります。

栄養のバランスが偏らないよう、食べるものを見直す

揚げ物や肉類、ごはんや麺類・パン類ばかり食べていると、栄養バランスが脂肪・糖に偏っているため高血圧や糖尿病を発病しやすくなります。

食事は主食(ごはんなど炭水化物)・主菜(肉や魚などメインのおかず)・副菜(野菜類や海藻類などのおかず、汁物)をそろえ、バランスよく食べるよう心がけてください。このとき、意識的に油や加工食肉の摂取は控えて、出汁をきかせた薄味の蒸し物や焼き物、煮物、汁物などを選ぶようにしましょう

血糖値をコントロールしやすいよう、食べ方を見直す

食事の間隔が空いたり、まとめてたくさん食べたりすると、血糖値が急激に上昇しやすくなってしまいます。食事は1日3食、できるだけ決まった時間に規則正しく、適量を食べるようにしてください。

おわりに:自覚症状がなくても、健康診断で糖尿病の疑いが見つかることはある

血液中の糖分が過剰な状態が続く糖尿病ですが、かなり進行するまで自覚症状が現れることはありません。このため本人に全く自覚がなくても、健康診断で血液を調べてもらうと「糖尿病の疑いあり」と診断されることがあるのです。糖尿病の疑いとは、また糖尿病を発病していないごくごく初期の状態。この段階から意識して食事を変えていけば、糖尿病になるのを十分に防げます。本記事を参考に、食事と生活の習慣を見直してみてください。

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