記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/12/30
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
若者、働き盛りの世代を中心に近年増えている眼科疾患に、ドライアイがあります。今回はドライアイがどのような疾患なのか、発症の原因や特徴的な症状、治療の可否や症状を改善するためにできる対策などとあわせて、解説していきます。
ドライアイとは、涙の質や量が低下することで眼球表面の潤いが足りなくなることです。
眼球の表面は、まぶたの中、眼球の上側にある涙腺(るいせん)という組織で作られる涙で覆われています。涙は3層から成り、それぞれ成分がバランスよく存在することで質を保ち、必要以上に蒸発しない仕組みになっているのです。
ドライアイは涙腺から分泌される涙量そのものが減ること、または、涙を構成する3層のバランスが崩れて蒸発しやすくなることで起こると考えられています。
このようなドライアイは、以下3つの要因により多くの日本人を苦しめているといわれています。
ドライアイは特に日常的にスマートフォンやパソコンを使用する人が発症しやすいとされ、日本のオフィスワーカーの3人に1人が発症しているとの報告もあります。
ドライアイによって起こる代表的な症状は、以下の通りです。
ドライアイは少しずつ進行し、生活の質を落とすようになる慢性疾患です。このため、治療や手術によって完治するようなものではなく、一度発症してしまうと症状を緩和しながら一生付き合っていくことになります。
ドライアイの治療は、「悪化の要因となるものの除去」と「症状を改善するための点眼薬の使用」の両方を行うことで進めていきます。
生活や仕事の場に、ドライアイの症状を悪化させるエアコン・暖房器具による空気の乾燥がある場合は、加湿器を入れるなどして改善をめざします。どうしてもコンピュータを使用する時間の長くなるときは、仕事時間以外のスマートフォンやタブレットの使用頻度を減らして目の負担軽減をはかっていきましょう。
日中ずっとコンタクトレンズをつけている人は、自宅にいるときや夜間は使用を控え、眼を休ませてあげるようにしてください。
ドライアイの治療には、大きく2種類の点眼薬が処方されます。ひとつは人口涙液や昼論酸性剤など目の保湿・保水を目的としたもので、もうひとつは目から水分や粘液成分の分泌を促す治療薬です。症状の重さや体質、医師の判断により、これらの点眼薬を使い分けるのが一般的です。
なお症状が非常に重く、通常の点眼薬では十分な治療ができない場合には、患者本人の血液からつくる特殊な点眼薬や、涙の出口をふさぐ手術も検討されます。まずは眼科の医師に状態を確認してもらい、適した治療法の提案を受けてください。
眼球の表面は本来、まぶたの内側にある涙腺で作られた涙によって覆われ、守られています。しかし、空気の乾燥やコンタクトレンズ、コンピュータによる目への過負荷が原因で涙の量や質が低下すると、ドライアイを発症します。目の不快感や違和感、痛み、かゆみ、赤みなどを生じるドライアイは、一旦発症すると完治することはありません。眼科の医師の診断を受けたうえで、うまくコントロールしながら付き合っていきましょう。