記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
赤ちゃんの平熱、知っていますか? 平熱がわかれば、赤ちゃんが発熱したときに慌てることなく医師を受診することができるでしょう。ここでは、赤ちゃんの体温の計り方と、体温計の種類についてお話ししましょう。
赤ちゃんの体温が37℃のとき、平熱が36℃では1℃の上昇ですが、平熱が36.6℃では0.4℃の上昇に過ぎません。大人でも平熱に幅があるように、赤ちゃんの平熱にも幅があります。普段から体温を計って平熱を知っておけば、慌てなくても済むこともあります。37℃というのはあくまでも目安なのです。
赤ちゃんが発熱した場合には、身体の免疫システムがウイルスや細菌と闘っていることがあります。赤ちゃんの体温が38~39℃以上のときは、迷わず医師を受診する必要があります。
赤ちゃんの体温を計る体温計には「電子体温計」が使われ、電子体温計には以下のような種類があります。
直腸検温計は、「直腸検温法」で使われる専用の体温計です。赤ちゃんの体温を計るには最も正確な方法で、生まれたばかりの赤ちゃんでよく使われます。通常は、病院などで医師や看護師によって使われる方法です。
直腸体温は、口腔体温より1℃ほど高い傾向があり、38℃は平熱とみなされます。
口腔体温計は、唇を閉じた状態で舌の下に噛まずに保つことができれば「口腔体温法」で体温を計ることができます。ほとんどは4〜5歳前後でできるようになりますが、3歳の赤ちゃんでもできることもあります。
口腔体温は、腋下体温より1℃ほど高い傾向があり、37℃は平熱とみなされます。
わきの下に体温計を挟む検温を「腋下検温法」といいます。簡単ですが、それほど正確ではありません。ただ、赤ちゃんに熱があるかをみることはできるでしょう。
腋下体温は、口腔体温より1~2℃低い傾向があり、36~37℃は平熱とみなされます。
赤ちゃんのための体温計には、上記のほかに「耳式体温計」「おでこ式体温計」などがあります。これらは一見便利に思えますが、正確に測定できるとは言い切れません。どのような体温計がいいのかは医師に相談してみましょう。
大人と同じように赤ちゃんの体温も毎日変動します。毎日時間を決めて、赤ちゃんの体温を計りましょう。日付、時間、体温を記録しておくといざというときに医師に伝えることができます。そして、検温した体温計は、清潔にし、湿気のない場所に保管しておきましょう。
あなたのお家の救急箱には、赤ちゃん用の体温計が入っていますか? 生後まもない赤ちゃんでは、大人用の体温計ではうまく体温を計れないことがあります。「乳児用体温計」は、赤ちゃんのための必須アイテムです。そして赤ちゃんの平熱を知ることで、急な発熱にも慌てないで対処できるでしょう。