年末年始の飲み過ぎのリスク ― 宴会シーズンの「お酒の問題」を乗り切る対策

2023/12/6

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

12月、1月の「年末年始」は、忘年会や新年会など宴会が増える時期です。普段は節度を持って飲んでいる人でも、ついつい飲み過ぎてしまうということもあると思います。この記事では、年末年始の宴会シーズンに起こる「お酒の問題」を防ぐために確認しておくべき、お酒の飲み過ぎのリスクと飲み過ぎないための対策について、二日酔い対策もあわせて解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

年末年始の飲み過ぎのリスクとは?

何かと宴会が多くなり、飲酒量が増えてしまいがちな年末年始ですが、一時的でも大量の飲酒は体に悪影響を及ぼします。

飲酒量が増えることにより、発生し得るリスク

直接的なリスク
  • 肝硬変や肝臓障害、心血管疾患、がんなどの病気を発症するリスクが高くなる
  • アルコール依存症をはじめ、精神的な疾患を発症するリスクが高くなる
  • 宴会が続いたことで飲酒が習慣化し、日常的な飲酒量が増えてしまうことがある
副次的なリスク
  • 飲酒後や就寝前に、塩分や脂肪分が高い「生活習慣病の原因になる食べもの」が食べたくなる
  • 飲酒による振ふらつき、路上での寝込みが原因で、交通事故やトラブルに巻き込まれる
  • 飲酒運転をしてしまい、自分だけでなく他者まで傷つけてしまう可能性が出てくる
  • 攻撃的になって暴力をふるったり、自暴自棄になって勢いで自殺するケースがある

年末年始の飲み過ぎを防ぐにはどうすればいい?

飲酒をすると、脳の大脳皮質が麻痺して理性が飛び、判断力が低下してしまいます。飲みすぎないためには、まだ理性が働いている飲酒前の段階で、以下のような飲酒の量や金額・時間的な制限を設けておくのがおすすめです。

飲酒の前に自分の中で決めておくルールの一例

  • お酒を飲むのは〇杯まで、それ以上はソフトドリンクにする
  • たくさん飲みたいとき、飲まなければいけないときは、3杯に1杯は水を飲む
  • 複数種類のお酒を一緒に飲む「ちゃんぽん」を避けるようにする
  • おつまみや食事を少しずつゆっくりと、よく噛んで食べる
  • 「二次会には出ずに帰る」と決め、あらかじめ家族に迎えを頼んでおく
  • 宴会の店選びでは、飲みすぎず帰れる時間帯に閉まる店を選ぶ
  • 飲みすぎてしまわないよう、一次会分のお金しか持参しない など

年末年始の二日酔い対策について

飲む前に制限を設けていても、楽しいお酒だとついつい飲みすぎてしまうこともあると思います。年末年始の二日酔い対策には、以下がおすすめです。

水を飲む

アルコールの分解・排出には、たくさんの水分が必要です。お酒を飲み過ぎたことにより脱水症状も起こしやすくなっているので、まずは水分をたくさん摂ってください。水分補給には、水やぬるま湯、スポーツドリンク、経口補水液などがおすすめです。

肝臓の働きを助ける栄養素を取る

以下の栄養は、肝臓の働きやアルコールの分解を助けてくれるといわれています。ただし、作用は補助的であり、即効性があるわけではありませんので注意してください。

糖分(リンゴや柿などフルーツ類)
糖分はアルコールを分解するときに不足しやすい
カリウム(バナナなど)
カリウムには利尿作用があり、倦怠感を和らげアルコールの排出も助けてくれる
クエン酸(梅干しなど)
クエン酸には、唾液や胃液の分泌を増やし疲労を回復する作用がある。水や食事を摂れないときの「食欲促進」にもおすすめ
アロエチン(アロエヨーグルトなど)
アロエチンは肝臓の解毒作用を活性化してくれる。アロエヨーグルトは食べやすいのでおすすめ
システイン(卵など)・セサミン(ごまなど)
システインやセサミンは、肝機能を促進するといわれている
コリン(大豆製品)
コリンは、肝臓内のアルコールが蓄積されるのを防ぐといわれている
オルニチン(しじみなど)
しじみは、肝臓でのアルコール分解を助けるアミノ酸「オルニチン」が豊富

おわりに:年末年始の飲み過ぎは「飲む前」から対策しておこう

「年末年始だから」と飲み過ぎてしまうと、肝臓疾患・血管疾患・生活習慣病のリスクが高まるだけでなく、副次的なトラブルに巻き込まれる可能性も高まります。飲み過ぎは「百害あって、一利なし」です。年末年始の宴会シーズンに飲み過ぎてしまわないよう、飲酒前から量や時間に制限を設けて対策をしましょう。飲み過ぎてしまった場合は、水分や食事を摂って回復に努めてください。

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