唇が乾燥して皮がめくれてきた…。原因と対処法は?

2020/3/26

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

唇が乾燥すると、表面の皮がピリピリと割れてしまったり、めくれてしまったりします。ヒリヒリして痛くなったり、ときには血も出てしまったりして、辛いものですよね。手や顔が乾燥していないように感じても、なぜか唇だけは乾燥しやすいという人もいます。

このように、唇だけが乾燥しやすいのはなぜなのでしょうか?その原因や対処法をご紹介します。カサカサ唇が辛い人は、ぜひ参考にしてください。

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唇が乾燥するのはどうして?

そもそも、唇には他の部分の皮膚にある「皮脂腺」「汗腺」がほとんどありません。そのため、他の皮膚と違って皮脂膜を作り出すことがほとんどできず、乾燥しても自ら潤うことができないのです。さらに、唇の角層(水分を保持する層)自体も他の部分の肌と比べて薄く、もともと蓄えておける水分量が少ないため、乾燥しやすくなっています。

このような理由から、外気が乾燥すると他の部分の肌と比べて真っ先に唇が乾燥してしまいます。また、女性の場合は月経前や更年期、妊娠中などでホルモンバランスが大きく変化するときに乾燥してしまうこともあります。

他にも、内臓の不調やストレスなどが原因となる場合もあります。

内臓の不調
  • 胃腸が荒れていると、唇の乾燥が目立つ
  • 内臓が冷えて調子が悪いところがあると、唇が紫色になるなど内臓の不調は唇の色の変化に現れやすい
  • 貧血などで体調が悪くなった場合も唇に現れやすい
ストレス
  • ストレスは、身体全体の血流を滞らせてしまうため、唇に栄養が行き渡らなくなってカサカサになる
  • ストレスによる緊張状態が続くと、無意識に唇を舐めてしまい、その結果乾燥してしまうこともある

胃腸が荒れているときには唇が乾燥しやすいですし、内臓の不調は、唇の発色の悪さなどに現れやすいことがわかっています。ですから、唇が荒れているときや色が悪いときには、体調を確認してみましょう。また、ストレスから来る血流の悪さが唇を荒れさせていることもありますので、ストレスを溜め込まず、適度に発散しながら過ごすことも大切です。

唇の乾燥、病気の可能性もある?

唇の乾燥は、病気が隠れている場合もあります。たとえば、風邪を引くと体内のビタミンCをはじめとしたさまざまな栄養素が消費され、その影響で唇が乾燥することがあります。また、胃腸が荒れたり、食欲不振になったりするのもガサガサの唇になりやすいです。

習慣が唇の乾燥を悪化させていることも!

知らず知らずのうちにやってしまう習慣が、唇を乾燥させていることもあります。

  • 無意識に唇を触っていることがよくある
  • 唇を舐めたり、噛んだりするくせがある
  • リップクリームなどの下地を塗らず、いきなりグロスや口紅を塗っている
  • 食事のあと、紙ナプキンで唇を軽くおさえ、その後すぐに口紅を塗っている

唇は他の部分の肌と比べて角質層が薄く、水分を保持しにくい上に外部からの刺激にも弱い性質を持っています。そのため、触ったり舐めたりを繰り返していると、刺激や乾燥で荒れがどんどん酷くなってしまいます。荒れた部分が気になるからと、皮を剥いてしまうのもいけません。荒れた部分がどんどん硬くなり、余計にガサガサの唇になってしまうためです。

乾燥が気になったとき、つい唇を舐めてしまう人も多いのですが、舐めてしまうとその水分が蒸発し、さらに乾燥が酷くなってしまいます。唇の乾燥が気になるときは舐めたり触ったりせず、リップクリームできちんとケアしましょう。また、リップクリームには下地として唇の乾燥を防ぐ役割もあります。口紅やグロスを塗る前には、必ずリップクリームを塗ってください。

そして、食後のお化粧直しも重要です。唇に糖分や塩分などが残ったままでは乾燥や荒れを招いてしまうのはもちろんですが、これらをティッシュや紙ナプキンで軽くおさえるだけでは、糖分や塩分のふき残りがあったり、下地のリップクリームもとれてしまったりする可能性があります。食後は一度しっかり口を拭い、下地のリップクリームからきちんと塗り直すのが良いでしょう。

唇を乾燥から守るには?

唇の乾燥を防ぐために、まず初めにできることとしてリップクリームや保湿クリームを塗りましょう。また、乾燥でかゆみが出ている場合も、保湿すれば症状をおさえられますので積極的に使いましょう。市販のリップクリームでは添加物が気になる人は、ワセリンを使うのがおすすめです。

また、食事やサプリメントなど、内側から唇を強くすることも大切です。以下のような食材を積極的に摂取しましょう。

ビタミンA(目や皮膚の粘膜を健康に保つ)
うなぎ・レバー・卵・緑黄色野菜など
ビタミンB群(新陳代謝を促す)
大豆・玄米など

サプリメントなら、お肌の水分を保持して潤いを保つ「セラミド」や、体内でビタミンAに変化する「β-カロチン」などが含まれているものが乾燥対策としておすすめです。こうした栄養素や保湿成分を摂取し、内側から乾燥しにくい身体を作るのも唇の乾燥防止に役立ちます。

そのほか、外出するときは首・お腹・手首・足首などを冷やさないよう、マフラーをしたり、袖が締まっているタイプの服を着たり、厚めの靴下やムートンブーツなどを履いていくのもおすすめです。とくに、冬はマスクをして外出すると、風邪などの感染症予防にも、唇の保湿にも効果が期待できて一石二鳥です。

おわりに:唇は水分を保ちにくく、刺激に弱い。しっかりケアしましょう

唇は、肌の他の部分と比べて角質層という水分を保持する層が薄く、また表皮も薄いため、水分を保持する力が弱く、外部からの刺激にも弱いという性質があります。さらに、他の部分にある皮脂腺や汗腺もほとんどないため、皮脂膜という保護膜を作れず、乾燥しやすいのです。

そのため、リップクリームや保湿クリームによる唇のケアは重要です。他にも、食事やサプリ、服装などで唇をケアする方法などもぜひ取り入れていきましょう。

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