肌の保湿に使われる「保湿剤」の特徴は?副作用はあるの?

2020/5/10

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

カサつき、パサつきは肌が乾燥しているサインです。肌の水分量や油分量が減っている状態では肌トラブルが発生しやすく、保湿対策が必要になっています。そんなとき保湿剤を使って潤いを補給することが大切です。医療用医薬品保湿剤の種類や効果、夏と冬など季節ごとのおすすめ保湿剤、使用上の注意点を解説します。

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保湿剤ってどんな薬?

保湿剤は乾燥から肌を守って健康的な状態に保つもので、さまざまな種類があります。医療用医薬品の保湿剤として、ヘパリン類似物質含有製剤、尿素製剤、ワセリンがあります。

ヘパリン類似物質含有製剤

  • 吸湿して角層に水分を与える
  • 保湿効果が持続する

尿素製剤

  • 吸湿して角層に水分を与える
  • 角質融解作用がある
  • 皮膚バリア機能が低下していると刺激を感じる

ワセリン

  • 油分が被膜となり、肌の水分蒸散を防ぐ
  • 油分がべたつくことがある

保湿剤にはどんなタイプがあるの?

保湿剤には、軟膏、クリーム、ローション、フォーム、スプレーなどのタイプがあります。それぞれ特徴があり、皮膚の状態によって使い分けます。

軟膏
皮膚保護作用、皮膚柔軟作用を持ちます。皮膚への刺激が低いので、皮膚の健康状態に関係なく使用できます。ただし塗布した軟膏は洗い流しにくいです。
クリーム
油性成分を水性成分で取り囲んだ水中油型(O/W型)、水性成分を油性成分で取り囲んだ油中水型(W/O型)に分かれます。軟膏と比較してべたつきは軽く、水で洗い流しやすいです。
ローション
乳剤性と溶液性の種類があります。使い心地がよいと感じられることが多いです。展延性にすぐれているので、広い範囲に使用しやすい保湿剤です。
フォーム
容器から噴出するときに泡に変わります。展延性が高く、素早く広い範囲に伸ばすことができます。
スプレー
広範囲に使用できる利便性を持ちます。手が届かない部位への使用が比較的簡単です。ただし、使用量の調整が難しいことがあります。

冬の保湿剤の塗り方は?

保湿は肌の性質、体調、年齢、ライフスタイルに合わせ、年間を通して塗ると肌の健康を保つことができます。特に、冬はどうしても気候が乾燥していますので、軟膏を取り入れた保湿剤を使うのが効果的です。そのほかの季節はローションやフォーム、クリームを好みや状態に合わせて使い分けましょう。夏や梅雨はさっぱりとした使用感を選ぶ、花粉の季節は肌の状態に気を配るなど意識してみてください。

手の保湿のポイント

軟膏、クリームを使う場合
人差し指の指先からひとつめの関節ぐらいで、両手のひらに塗ることができます
ローションを使う場合
一円玉大を手に取ると、両手の平に塗ることができます
小さな子供の場合
保湿剤を塗るのを嫌がることがあります。使用感やにおい、使用頻度などを医師に相談し、快適に使える保湿剤を見つけましょう

保湿剤の副作用は?

保湿剤で副作用が起こることもあります。種類によって使用できる部位の違いもありますので、適切に利用しましょう。

ヘパリン類似物質含有製剤の副作用

0歳の乳児から使用できますが、肌への副作用があらわれることがあります。症状があらわれたり長引いた場合は保湿剤の使用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。場合によってはヘパリン類似物質ではなく、製品の添加物に反応している可能性がありますので、症状があらわれたら成分表も確認しましょう

  • 副作用:皮膚の赤み、発疹、かゆみ、ピリピリ感など
  • 注意:血液凝固を抑える作用があるため、出血リスクの高い病気の人(血友病や血小板減少症など)は注意する

尿素製剤

炎症や傷のある場所に使用すると、ピリピリ感などを感じます。症状が強い場合はすぐに使用を中止し、医療機関に相談してください。また、尿素製剤を使用したままの手指で目を触らないようにしてください。

  • 副作用:ぴりぴり感、紅斑、そう痒感、疼痛、丘疹、灼熱感、落屑
  • 注意:目の粘膜などには使用しない

ワセリン

赤ちゃんから大人まで使用でき、複数の種類があります。比較的副作用は少ないと考えられていますが、純度の低いものを使用した場合は副作用が出る可能性が上昇します。医師や薬剤師の指示に従って使用しましょう。

  • 副作用:かぶれ、発疹、かゆみなど

おわりに:保湿は通年しておくと安心!赤ちゃんから大人まで肌トラブルには保湿が大切です

1年を通して保湿ケアを行うと、水分量や油分量が安定して肌トラブルを予防できます。乾燥した肌ではかゆみや赤みを感じやすいため、気候や年齢などに合わせて保湿剤を使い分けることをおすすめします。肌に直接塗るものですので、種類の選択や使用方法を誤ると肌トラブルを招きかねません。医師や薬剤師に相談し、正しい用法用量で保湿剤を活用しましょう。

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