記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2020/4/25
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
インフルエンザをはじめ、ウイルス感染が原因で発症する病気はたくさんあります。ウイルス感染から自分と周囲の人を守るには、どうすれば良いのでしょうか。今回はウイルス感染から身を守るタメにできることとして、正しい手洗いと咳エチケットをご紹介します。
電車のつり革や手すり、ドアノブやトイレは、不特定多数の人が利用しています。実は、ウイルス感染のほとんどは手を介して起こっており、特にウイルスが付着した公共物に触れた手で鼻、目、口などの粘膜に触ることが感染の原因となっています。適切な手洗いがウイルス感染を予防するうえで重要とされるのは、このためです。
以下に、ウイルス感染予防の観点から見た正しい手洗い方法を解説します。外出先から帰ったときはもちろん、食事の前や共有物に触れた後も取り組みましょう。
以下1~6の手順を、石鹸を泡立てた状態で約20秒かけて行います。シャワー状の流水で流すとさらに良いです。時間の目安は、ハッピーバースデーの歌2回分と覚えておくと、子供にもわかりやすいと思います。
手洗いの後に手指にアルコール消毒を行うと、インフルエンザウイルスなど多くの細菌・ウイルスを除去できます。アルコールを含んだウェットシートや除菌ジェルなどを持ち歩き、いつでも手洗いとアルコール除菌ができるようにしましょう。
のどの粘膜に付着したウイルスを除去するのに効果的とされてきたうがいですが、近年では、有効なウイルス感染予防対策にはならないことがわかってきました。
のどにウイルスが付着した場合、粘膜や細胞にウイルスが侵入するのに数分~20分かかると言われています。つまり、数分~20分おきにうがいをしないと、のどからのウイルス侵入を防げないということになるのですが、そこまで頻繁にうがいをするのは現実的ではありません。このため近年では、ウイルス感染予防策としてのうがいへの認識は改められています。
多くのウイルスは、手に付着することによる接触感染以外にも、咳やくしゃみ、おしゃべりなどで飛んだ体液を介した感染(飛沫感染)も起こします。そして、飛沫感染によるウイルスの感染拡大防止のため重要視されているのが、手以外で口や鼻を覆う「咳エチケット」です。
一人ひとりが正しい咳エチケットを実践することにより、咳やくしゃみによる飛沫を防ぎ、周囲へのウイルス感染の拡大を抑えられます。
なお、以下のような咳・くしゃみの出し方は接触・飛沫を介したウイルス感染拡大の原因となるため、絶対に行わないでください。
まだウイルスに感染していない人が、マスクを着用してもウイルスの飛沫感染を予防することはできません。飛沫に含まれるウイルスは、マスクを通り抜け気道に侵入します。ただし、既にウイルスに感染・発症した人が、飛沫による感染拡大防止のためにマスクを着用するなら非常に効果的です。
また、手にウイルスが付着した状態のまま鼻や口に触れて起こる接触感染の予防にも、マスクで鼻や口を覆うことによる効果は期待できます。マスクを着用するときは、鼻から顎までを大きく隙間なく完全に覆い、正しく着用してください。
ここまでに紹介した手洗い、アルコールによる手指消毒、咳エチケット以外にウイルス感染を防ぐためにできる対策として、以下が挙げられます。
ウイルスには、主に手に付着したウイルスが鼻・目・口から体内に侵入する接触感染、そして感染者の咳やくしゃみによる飛沫感染により感染・発症します。このため、手に付着したウイルスを洗い除去する手洗い・消毒と、飛沫による感染拡大を防ぐマスクの着用は、ウイルス感染症の予防に効果的です。手洗い・消毒・マスク着用を基本に、栄養バランスの良い食事と十分な休養を取って免疫力を高め、ウイルスから身を守りましょう。