記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2020/7/16
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
感染症予防のための消毒液のうち、代表的なものにはアルコールとエタノールがあります。今回は消毒用のエタノールについて、無水エタノールとの違いや基本的な使い方、知っておくべき使用上の注意点などを解説します。
国際化学命名法上「エタノール」と呼ばれる液体は、一般的にエチルアルコールと呼ばれるアルコールの一種です。エタノールは濃度により、以下の3種類に分けられます。
上記のうち、消毒用エタノールは最も水分を多く含み、アルコール濃度が低いのが特徴です。アルコールには、インフルエンザウイルスなど多くの細菌・ウイルスを不活性化する作用があります。最もアルコール濃度の低いものが「消毒用エタノール」と呼ばれているのは、アルコール濃度が低いゆえに蒸発しにくく、しっかり消毒作用を発揮してくれるためです。
一方、最も水分が少なくアルコール濃度の高い無水エタノールは消毒作用が強いものの、非常に蒸発しやすく、刺激が強すぎて人の肌に直接触れると水分を奪ってしまう性質もあります。そのため、無水エタノールは人の手指・物品の消毒用液には不向きです。
消毒用エタノールは、以下のような場所の消毒に適しています。布や脱脂綿に含ませたり、霧吹きしてから対象物を拭き掃除すれば、高い殺菌・消毒効果が得られます。
また小さなスプレーボトルに入れて持ち歩けば、外出先でも消毒用エタノールを有効活用できます。消毒用エタノールの特性を知って、上手に活用しましょう。
十分な水分で希釈した消毒用エタノールは、人の手指の消毒にも使用できます。方法は以下の2パターンです。状況や肌質に合った方法で手指を消毒しましょう。
消毒用エタノールをガーゼや綿にたっぷりと含ませ、手や指を拭き取る消毒方法です。肌にしっかり消毒液を当てる必要がありますが、強くこすり過ぎると高温でアルコールが蒸発し、消毒効果が低くなるので注意しましょう。
適量を手に取り、消毒用エタノールが自然乾燥するまで手指に擦りこむ方法です。水やガーゼなどの道具を必要としないため、いつでもどこでも手指の消毒ができます。ただし、人によっては肌荒れを起こす場合もあるので注意してください。
消毒用エタノールを使用するうえで注意すべきポイントとして、以下の3つあります。
消毒用エタノールはアルコールの一種であるため引火しやすいです。周囲に火気がある状況で使用すると、火事や爆発を招くリスクがあります。使用するときは、周りに火の気がないことを確認してください。
消毒用エタノールは蒸発しやすい液体のため、使用後、容器のフタを開けたままにしているとどんどん蒸発してしまいます。仕様の前後にはしっかりフタが閉まっていることを確認するとともに、蒸発したエタノールが室内に充満しないよう換気も行いましょう。
以下のような製品に消毒用エタノールを使用すると、変色・変質の原因となります。これらの製品の消毒や拭き掃除には、消毒用エタノールは使わないでください。
アルコールの一種の薬液を水で希釈した消毒用エタノールは、手指に擦りこんだり、布などに含ませて拭き取ることで消毒作用を発揮します。ただし、一部製品には変色・変質させる恐れがあるため使用できません。火のない場所で、しっかり換気しながら使いましょう。