記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2020/5/16
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
無水エタノールは、消毒や除菌に使われる薬液のひとつです。アルコールや消毒用エタノールと合わせ、よく使われています。今回は無水エタノールがどんなものか、消毒用エタノールとの違いや主な用途、使用上の注意点を紹介します。
エタノールは、古く紀元前から作られてきたアルコールの一種です。日本では1873年、焼酎を再蒸留して作られたのが最初だったとされ、以降は主に糖類やでんぷんを発酵させて作られています。
揮発性が高く、殺菌・消毒作用のあるのが特徴で、用途に合わせて水分を混ぜて濃度を調整し使われてきました。なかでも無水エタノールは濃度が99.5vol%以上と最も純度の高いエタノールで、瞬時に蒸発するほど揮発性が高いことで知られます。
高い洗浄力・消毒作用がある一方で刺激が強く、人の肌に直接触れると水分を奪い、皮膚を乾燥させる性質を持ちます。このため、人の手指に直接擦りこんで消毒液として使うのには向きません。手指を消毒したいときは、消毒用エタノールを使いましょう。
無水エタノールは、以下のような場所・物の除菌に適しています。
以下のような物の除菌には、小さめの歯ブラシ・ブラシで少量の無水エタノールを付けたうえで軽く拭き取るのが効果的です。
汚れやすいけどお手入れを怠りがちなメイクブラシも、無水エタノールで洗浄・除菌できます。肌荒れの原因とならないよう、以下の手順でお手入れしましょう。
無水エタノールと精製水を8:2の割合で混ぜ合わせれば、以下のようなキッチン周りの拭き掃除にも使えます。霧吹きしてから拭き取り、除菌しましょう。
ただし、対象物の素材によっては無水エタノールにより変色・変質する恐れがあります。まずは目立たないところに無水エタノールを付けてみて、何ともなさそうなら全体の拭き掃除に使うようにしてください。また、先述したように、揮発性が高く刺激の強い無水エタノールは肌荒れの原因となります。
直接触れても、蒸発した気体を吸い込んでも炎症の原因となりますから、使用時にはマスクと手袋の着用を忘れないでください。
純度の高いアルコールである無水エタノールは、安全のため、以下の注意点を守って使用してください。
無水エタノールの使用中は、肌や体の粘膜に触れると水分を奪い、揮発した気体を吸い込み続けても気分が悪くなることがあるため、肌荒れ対策と換気が欠かせません。換気はもちろん、無水エタノールを使う作業は短時間に収め、肌や粘膜に直接触れないよう、手袋や長袖の服、マスクを必ず着用してください。
無水エタノールは揮発性が高く、フタをしないまま放置するとどんどん蒸発するか、周囲の水分を吸収して濃度が薄まってしまいます。使ったあとはそのつどフタを閉めることを徹底しましょう。
また、周囲に火気があると液体か気体かに関係なく高確率で引火します。火事や爆発の原因となる恐れがありますので、絶対に火の気のあるところで保管・使用しないでください。
無水エタノールは、以下のような素材の製品には使用できません。使用すると変色・変質を起こしてしまうので、使用前に製品の素材を確認しましょう。
純度の高いアルコールである無水エタノールは、人の肌に触れると水分を奪って蒸発します。刺激が強く、揮発性が非常に高い性質を持つため、手指の消毒には適していません。一方で、水を使えない電化製品やメイクブラシの掃除・除菌には適しています。性質を知り、適切に使えば効果的な消毒・除菌液となります。使用上の注意に配慮して、適切に活用しましょう。