記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2023/10/4
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
高熱や強い倦怠感、体の痛みを伴うインフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することで発症します。この記事では、毎年のように流行するインフルエンザへの感染を防ぐための対策について、知っておきたい流行時期や感染経路などの基本情報と一緒に解説していきます。
インフルエンザは、インフルエンザウイルスの感染・体内での増殖によって発症する急性の呼吸器疾患です。世界のさまざまな地域で毎年のように流行が見られ、日本では空気が冷たく乾燥する冬季に大流行します。
冷たく乾燥した冬の空気は、インフルエンザの原因ウイルスが活発に活動・増殖するのに適した環境です。
インフルエンザは、飛沫または接触によりウイルスが体内に侵入することで感染します。
不特定多数の人が利用する公共施設やオフィス、交通機関の利用時には、飛沫・接触の両方の経路から、インフルエンザに感染するリスクが高くなります。
インフルエンザの予防対策としては、まず予防接種を受けることが推奨されています。これは流行シーズンに入る前に予防接種を受けておけば、万が一インフルエンザに感染した場合にも、発症や重症化のリスクを下げるといわれているからです。医師の指示に従い、健康で持病のない13歳以上の人であれば1回、13歳未満の人であれば2回予防接種を受けて、インフルエンザへの抗体価を獲得しておきましょう。また、予防接種とあわせ、日常生活で以下の対策に意識的に取り組むようにすると、感染を予防しやすくなります。
よく泡立てた石けんで、手の平や甲だけでなく指の間、指全体、爪先から手首まで洗うと、手に付着した汚れとインフルエンザウイルスをある程度除去できます。外出先から帰ったときはもちろん、こまめに手洗いすることを習慣づけましょう。手洗いできない環境では、アルコール製剤で消毒するようにしてください。
不特定多数の人が集まるエリアほど、飛沫・接触によるインフルエンザ感染リスクは高くなります。感染が心配な場合は、インフルエンザの流行シーズンには、仕事や重要な要件の無い限り、繁華街や観光地といった大勢の人が集まる場所への外出は避けるようにしてください。
のどや鼻の粘膜が乾燥していると、インフルエンザウイルスの付着を防ぎにくくなります。粘膜は、適度に潤っているほうがウイルスへの防御機能が高くなります。インフルエンザが流行する季節には、加湿器やマスクなどを活用して、鼻・口の周りが50~60%の湿度を保つように意識しましょう。
ここまでの対策と合わせて重要なのが、普段から免疫機能を維持することに努めることです。免疫機能が維持できていると、インフルエンザウイルスに感染した場合でもウイルスの増殖をある程度防げるため、発症や重症化を免れやすくなります。栄養バランスの整った食事と、6時間以上の質の良い睡眠をとれるように、生活習慣を見直してください。
自分がインフルエンザにかかってしまった場合に、周囲への感染拡大を予防するためにできる対策として「咳エチケット」があります。
咳やくしゃみが出そうなときは、以下のいずれかの方法で鼻・口を覆ってからくしゃみをしましょう。
鼻や口を一切覆わずに咳・くしゃみを出すと、ウイルスを含む飛沫が周囲に大量に飛び散ります。このような飛沫は、周囲に飛沫感染を広げる経路となってしまいます。また、鼻や口を手で直接覆うと、その手にウイルスを含んだ飛沫が付着します。その手を洗わず他のものに触れると、周囲に接触感染を広げる原因となります。必ず正しい方法で咳エチケットを実践し、自身からのインフルエンザの感染拡大を食い止めましょう。
インフルエンザは、感染者が咳・くしゃみで飛散させる飛沫や、ウイルスが付着した手・公共物に触れる接触感染のいずれかの経路により感染・発症します。このため、飛沫・接触のいずれの経路でもインフルエンザウイルスを受け取らないようにすれば、インフルエンザは予防できるというわけです。まずは予防接種を受けて抗体を手に入れ、そのうえで手洗いやマスクの着用、咳エチケットの徹底でインフルエンザを予防しましょう。