「病理医」ってどんな仕事?

2017/4/20

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

女優の芦田愛菜さんが、朝の情報番組で「将来は病理医になりたい」と発言したことが話題になっています。芦田さんはドラマで病理医の存在を知り、将来の選択肢のひとつとして考えているそうです。もしかすると、これをお読みになっている方の中にもドラマで病理医の存在を知った方がいらっしゃるかもしれません。
この記事では、病理医がどんなふうに医療に関わっているのかについてご紹介します。

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病理医とは

普段あまり聞きなれないかもしれませんが、病理医とは病理診断や病理解剖を通して医療に貢献している専門医です。病理医の主な業務として、以下のようなものがあります。

病理医の主な業務

・手術などで得られた細胞や組織を顕微鏡で観察し、診断を行う
・顕微鏡や分子病理診断などを行いながら、個々の患者に適した治療が何かを検討する
・外科手術の前後や内科診療のカンファランスに参加し、病理学的見地から意見を出す
・手術中に術中迅速病理診断を行い、手術で切除すべき範囲を確定するデータを提供する
・病理解剖を行い死因などを究明し医療の質向上に寄与する

病理医はこのように細胞や組織を観察し、現在の病状の診断を下します。その患者さんががんであるかどうかも病理医が最終的には診断するのです。その結果がんの進行度(ステージ)や組織型(どんな細胞で構築されているか)が判明し、それによって治療選択肢が決まることになります。

また、残念ながらなくなられた患者さんの遺体を(ご本人、ご家族の同意の上で)病理解剖し、死因を究明するという役目も担っています。

 

おわりに:病理医は医療の質向上に欠かせない存在

病理医は、病気の原因を特定したり、手術の方針決定に重要な情報を提供したりするため、質の高い医療を提供する上でとても重要な存在といえます。特に最終診断を下すという、とても重い責任があり、医者の中の王様とも言われます。ただ、現在のところ病理医の数が不足している状態が続いており、今後病理医を目指す人を育成することが課題となっています。芦田さんのように、病理医を目指す人が増えるといいですね。

出典:厚生労働省ホームページ
www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002asiu-att/2r9852000002ass5.pdf
「病理医とは」の部分は、「病理専門医」(厚生労働省)を加工して作成しています。
www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002asiu-att/2r9852000002ass5.pdf

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