デスクワークの悩み、「腰痛」を解消するには?

2020/6/29

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

体の節々に痛みが出るなかでも、特に腰痛は辛くなりがちです。一度発症すると癖になりやすいため、予防と改善が必要です。腰痛の原因はさまざまですが、座りっぱなしのデスクワークも注意が必要です。この記事では、事務職やパソコン作業などで起こりやすい腰痛の注意点について紹介します。

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デスクワークで腰痛になってしまう原因は?

長時間同じ姿勢で座っていると、腰への負担が大きくかかり腰痛を発症するおそれがあります。

座っている姿勢は、上半身の体重や負荷が腰にかかります。立っているときは腰だけでなく、膝や股関節などの関節がクッションの役割を果たして負担が分散されます。しかし、座っているときは、立っているときより約40%も腰への負担が増加するといわれています。

さらに、腰を丸める座り方をした場合、約95%も負担が増加すると言われています。そのため、パソコン作業などデスクワークで座っていると腰への負担が強くかかり、腰痛になる可能性が高まります。

腰痛を予防する座り方のコツは?

座る体勢のなかでも、腰に負担が大きくかかるのは以下のような姿勢です。

  • 前かがみ、猫背である
  • 左右対称でない座り方をしている
  • 脚を組むなど、偏った姿勢になっている
  • 肘をつく癖がある
  • 頬杖をつく癖がある

腰に負担をかけない姿勢のポイントは、背筋と骨盤をまっすぐに保つことです。腰に負担をかけない座り方を目指しましょう。

腰にやさしい座り方

  1. 椅子に深く腰かける
  2. 背もたれと背中の間の空間をできるだけなくす
  3. 背もたれと背中の間にクッションを入れて、背筋が自然な位置に固定する
  4. 膝の角度が約90度になるように高さを調整する
  5. お腹と机の間は、こぶし1個くらい空ける

パソコン作業や勉強、長時間の通勤などで長時間座りっぱなしになることが多い人は、この機会に座り方を見直してみてください。

オフィスでできる、腰痛解消ストレッチは?

腰痛は血行不良で発症、悪化することがありますので、こまめに体を軽く動かしたり、ストレッチしたりしましょう。腰回りの筋肉や骨盤周辺、ハムストリングスの筋肉をほぐすことを意識してください。

オフィスでできるストレッチ①

  1. 椅子に座った状態で、背筋を伸ばす
  2. 頭の後ろで両手を組む。肘は体の外側に向ける
  3. ゆっくりと息を吐きながら背中を丸める
  4. おへそを見るようにして背中を丸め続ける
  5. 次に息を吐くタイミングで、胸を開くようにしながら背中を反らしていく

オフィスでできるストレッチ②

  1. 椅子に座った状態で、背筋を伸ばす
  2. 頭の後ろで両手を組む。肘は体の外側に向ける
  3. 息を吐きながら、体を右側に倒す。体の左側が伸びきるまで倒すたら①の姿勢に戻る
  4. 反対側も同様にして行う

オフィスでできるストレッチ③

  1. 椅子に座った状態で、背筋を伸ばす
  2. 頭の後ろで両手を組む。肘は体の外側に向ける
  3. 息を吐きながら、真後ろを見るようにして右側に体をねじり、①の姿勢に戻る
  4. 反対側も同様にして行う

骨盤周りをほぐすストレッチ

  1. お尻から太ももの裏側を上から下にさするように3回ほどゆっくりとなでる
  2. しゃがんで、両足首を両手でつかむ
  3. 足首を持ったまま、痛みがでない範囲でゆっくりとお尻を上に上げる(太ももの裏側とお尻の筋肉が伸びていることを意識)
  4. ①~③を3回ほど繰り返す

自宅に帰ったら、こんなストレッチもやってみよう

腰周辺のストレッチも大切ですが、全身を動かすとより効果的です。

膝ストレッチ

  1. 横になり、両膝を立てる
  2. 足と膝をくっつける
  3. ゆっくりと両膝を右側の床に倒していく
  4. 左右交互に①~③を5分ほど繰り返す

キャットバックストレッチ

  1. 四つん這いになる
  2. 細く長く息を吐きながら、天井に引き上げるイメージで背中を動かす
  3. 息を吸いながら背中を反らす
  4. 前を見るように目線を上げて、首を伸ばす(両手でじんわりと床を強く押す)
  5. ②~④を3~5セット繰り返す

テニスボールストレッチ

  1. 準備として、ガムテープでテニスボールを2個くっつけて固定する。
  2. 床の上に準備したテニスボールを置く
  3. テニスボールに仙腸関節部分を当てるようにして仰向けに寝転がる(仙腸関節とは尾骨の上45度のあたり)
  4. ②の状態で2~3分姿勢をキープする
  5. テニスボールで筋肉をほぐすことを意識する

運動不足が気になる場合は、ストレッチのほかにウォーキングなどで体を動かすのもおすすめです。強度の強い運動でなくても構いませんので、できる範囲で体を動かしましょう。丈夫な体作りには、十分な休息と栄養も欠かせません。睡眠と栄養バランスのとれた食事をとることも心がけるとより効果的です。

おわりに:デスクワークによる腰痛予防には、こまめなストレッチが効果的です

長時間同じ姿勢で座っていると、腰に大きな負担がかかります。こまめにストレッチをして血行を促し、筋肉のほぐすようにするのがおすすめです。日常にストレッチを取り入れて腰痛予防をしましょう。

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