手足口病になると出てくる症状とは?治すためにできることは?

2020/6/27

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

一般に「手足口病」と呼ばれる感染症は、多くの乳幼児、そして乳幼児の親が経験する感染症の一種です。この記事では、手足口病がどんな病気なのか、特徴的な症状や疑わしい症状が現れたときの適切な対処法、予防のためにできることについて解説します。

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手足口病とは

手足口病は、コクサッキーウイルスA6またはA16、そしてエンテロウイルス71、コクサッキーウイルスA10の感染が原因で発症する感染症の一種です。感染・発症する患者の90%が5歳前後の乳幼児とされ、夏に流行シーズンを迎えます。

ウイルスの感染経路は飛沫・接触・糞口感染の3つです。

手足口病、3つの感染経路

飛沫感染
既に原因ウイルスに感染した人の鼻水、唾液、涙などの体液が咳やくしゃみで飛び、他の人の粘膜に触れることで起こる感染
接触感染
原因ウイルスが付着したおもちゃ、ドアノブ、手すりなどを舐めたり、これらを触った手で目や鼻に触れることで起こる感染
糞口感染
便の中に排出された原因ウイルスが、誤って口に入ってしまい感染すること。排便後の手洗いが十分でない場合、便への衛生観念が低い場合に起こる

以上から、まだ衛生観念が育っておらず、遊びの中で他者と密接にかかわる子どもたちの間で特に流行が起こりやすいことがわかります。また、幼稚園や保育園で集団感染が起こったり、園から原因ウイルスを持ち帰った乳幼児の感染・発症をきっかけに、家庭内で流行することも珍しくありません。

手足口病の症状の特徴は?

手足口病に感染すると、3~6日の潜伏期間を経て、段階的に以下の症状が現れます。

  • まず口の中、手のひら、足の裏・甲に赤くぷつぷつした水泡性の発疹が現れる
  • 人によっては、発疹が現れてから1~3日の間、発熱する
  • 1週間程度で、手足の発疹のほとんどがきれいに治る
  • 口の中にできた発疹が治る前につぶれると、ひどい口内炎になることがある
  • 発症から1~2カ月後に、手足の皮膚や爪がはがれてくることがある

手足口病の発疹のうち、手足の発疹が重症化することは基本的にありません。皮膚や爪がはがれてくることもありますが、すぐに新しく生えてくるので心配いりません。しかし、手足口病による口内炎はかなりひどく、深い傷となるため、痛みのあまり水や食事を摂れず脱水症状を起こすことがあります。

また、手足口病の原因ウイルスのひとつであるエンテロウイルスは、無菌性髄膜炎を引き起こす危険なウイルスとして知られています。ごくまれにですが、手足口病から合併症として脱水症状、無菌性髄膜炎を併発して重症化するケースもあります。手足口病による発疹や発熱の症状も気になるところですが、合併症として起こる脱水症状や髄膜炎のリスクも警戒しましょう。

手足口病にかかったときの対処法は?

手足口病の原因ウイルスに効く特効薬はありません。かかってしまった場合は、鎮痛剤で口内炎の痛みを和らげたり、粘膜保護剤で口内炎を保護して回復を待つことになります。発症から5日ほどは口の中・のどに痛みがあるため、以下のように刺激が少なく、飲み込みやすい食事を無理のない範囲で摂ると良いでしょう。

手足口病の治療中におすすめの飲みもの・食べもの
麦茶、牛乳、冷たいスープ、冷めたおじや、冷たいうどん、豆腐、アイスクリーム、ゼリー、プリン など

また先述したように、手足口病は合併症のリスクがある感染症です。このため、容体は注意深く観察する必要があります。以下のような症状が見られたら、合併症を起こしかけている可能性があります。早めに医療機関へ連れて行きましょう。

手足口病による合併症が疑われる症状
  • 高熱が2日以上続く
  • 嘔吐する
  • 頭を痛がっている
  • 呼びかけに答えず、ぐったりしている
  • どんなに呼びかけても、こちらと視線が合わない
  • 水分を摂れていなくて、尿も出ていない
  • 呼吸が早く、苦しそうにしている

手足口病にかからないためにできることは?

手足口病の原因ウイルスに感染しないようにするには、以下の対策が効果的です。

  • おむつなど、感染源となり得るものは適切に処理し子どもの手に触れないようにする
  • 排便の後とおむつ替えの後には、必ず石鹸と流水でしっかり手を洗うクセをつける
  • 感染拡大を防ぐため、手を拭くタオルは他者と共有せず、ひとりずつ専用のものを使う

合併症のリスクが心配な手足口病ですが、重症化するケースはまれです。ほとんどの人が幼少期に経験し、軽い症状のみで免疫を獲得して回復します。あまり過敏にならないようにして、手洗いとおもちゃの消毒など、基本的な感染症予防対策を徹底することを心がけましょう。

おわりに:手足口病になると、手・足・口の中の発疹や発熱症状が出ます

ウイルス感染が原因で起こる手足口病は、発症すると手・足・口の中に発疹ができ、発熱や痛みを伴います。発疹自体は1~2週間くらいで治りますが、口の中の発疹がひどい口内炎になって痛み、合併症として脱水症状を起こすこともあります。また、原因ウイルスのひとつであるエンテロウイルスは、髄膜炎の原因となることで知られています。もし手足口病になってしまったら、容体を注意深く観察しながら、水分と栄養を摂って回復するのを待ちましょう。

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