記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2020/6/20
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
年齢を重ね、免疫力が弱ったタイミングで発症しやすい病気のひとつに帯状疱疹(たいじょうほうしん)があります。今回は帯状疱疹がどのような病気か、代表的な症状や治療方法、発症を予防するためにできることと合わせ、確認していきます。
帯状疱疹とは、体内に潜む水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で、皮膚症状が現れる病気です。原因となる水痘・帯状疱疹ウイルスは「ヘルペスウイルス」の一種で、子どもの頃、私たちの体に水ぼうそうを発症させてからずっと体内に潜伏していたものです。
水痘・帯状疱疹ウイルスは、一度体内に入ると消えることはありません。水ぼうそうの症状が出なくなった後も、体内の神経節に隠れて再び増殖する機会を待っています。大人になってから、加齢や疲れ、ストレスで体の免疫力・抵抗力が弱くなると、水痘・帯状疱疹ウイルスが再び増殖を始め、帯状疱疹を発症するのです。
帯状疱疹を発症すると、まず体の左右どちらかの皮膚に痛み・違和感が現れ、その後は水膨れを伴う赤い発疹が帯状に出てきます。発疹は体の片側だけをぐるっと囲うように現れ、体の中心で途切れるのが大きな特徴です。
発症する部位は胴体、腰背部、頭部から顔面にかけての上半身が最も多く、外見上目立つ場所に発疹が現れることも少なくありません。
また、痛みの感じ方に個人差が大きいのも帯状疱疹の大きな特徴です。帯状疱疹による痛みは、まず発疹が現れる前の「ピリピリ」「ズキズキ」「チクチク」といった痛み・違和感から始まり、徐々に強くなることが多いと言われていますが、なかには発疹が現れる前から皮膚が焼けるような、眠れないほどの強い痛みを感じる人もいます。
そして帯状疱疹の痛みは、時間とともに家事や仕事、外出、睡眠などの日常生活を阻害するレベルにまで強くなっていきます。顔や頭、首に発疹が出てきた場合は、痛みに加えて見た目の変化から気分が落ち込み、外出が難しくなることもあります。
帯状疱疹の治療には、水痘・帯状疱疹ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬と、皮膚の痛みを抑える鎮痛薬を一緒に使用します。基本的には飲み薬が用いられますが、以下のような場合は塗り薬や注射薬、点滴が用いられるケースもあります。
なお、使う薬の種類や数・量はその人の状態や医師の判断によって変わってきます。帯状疱疹の詳しい治療方法・方針については、医療機関で確認してください。
帯状疱疹の発症と重症化は、ワクチン接種で予防することができます。年齢を重ねてから帯状疱疹を発症する原因のひとつは、子供の頃に水ぼうそうになって獲得した水痘・帯状疱疹ウイルスへの免疫が弱くなるためです。この弱くなった免疫をワクチン接種で再び強化することにより、帯状疱疹の発症と、後遺症である帯状疱疹甲神経痛になるのを予防できます。
日本においては、50歳以上を対象として帯状疱疹予防接種が提供されています。対象年齢に達していて、今後の帯状疱疹発症に不安があるなら、かかりつけ医に相談のうえ予防接種を受けてみましょう。
帯状疱疹は、子どもの頃、水ぼうそうを引き起こした水痘・帯状疱疹ウイルスが、再び体内で増殖して痛みと発疹を発症させる病気です。ウイルスは免疫力・体力が低下したタイミングで増殖し、帯状疱疹を発症させます。したがって、年齢とともに免疫力が低下し、心身が疲れやすくなった50代以上の人は、帯状疱疹発症のリスクが高くなります。50歳を過ぎたら、帯状疱疹の発症・悪化を予防するワクチンの接種を検討しましょう。