記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2025/4/9
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
帯状疱疹は、ある程度年齢を重ねた人に発症しやすく、体力や免疫が低下したときにも発症しやすいといわれています。この記事では、帯状疱疹の症状の特徴と治療方法、予防するためにできることについて、わかりやすく解説していきます。
帯状疱疹とは、体内に潜む水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で、皮膚症状が現れる病気です。原因となる水痘・帯状疱疹ウイルスは「ヘルペスウイルス」の一種で、子どもの頃、私たちの体に水ぼうそうを発症させてからずっと体内に潜伏していています。
水痘・帯状疱疹ウイルスは、一度体内に入ると消えることはなく、水ぼうそうの症状が出なくなった後も体内の神経節に隠れて再び増殖する機会を待っています。大人になってから、加齢や疲れやストレスなどで免疫力・抵抗力が弱くなると、水痘・帯状疱疹ウイルスが再び増殖し始め、帯状疱疹を発症します。
帯状疱疹を発症すると、まず体の左右どちらかの皮膚に痛み・違和感が現れ、その後は水膨れを伴う赤い発疹が帯状に出てきます。発疹は体の片側だけをぐるっと囲うように現れ、体の中心で途切れるのが大きな特徴です。発症する部位は、胴体・腰背部・頭部から顔面にかけての上半身が最も多く、外見上目立つ場所に発疹が現れることも少なくありません。一般的に発症率が高いとされる部位は、以下のようになっています。
また、痛みの感じ方の個人差が大きいのも帯状疱疹の大きな特徴です。帯状疱疹による痛みは、まず発疹が現れる前の「ピリピリ」「ズキズキ」「チクチク」といった痛み・違和感から始まり、徐々に強くなることが多いといわれていますが、発疹が現れる前から皮膚が焼けるような、眠れないほどの強い痛みを感じる人もいます。
そして、帯状疱疹の痛みは、家事・仕事・外出・睡眠などの日常生活を阻害するほど強くなることもあり、顔・頭・首に発疹が出てきた場合は、痛みに加えて見た目の変化から気分が落ち込み、外出が難しくなることもあります。
帯状疱疹の治療には、水痘・帯状疱疹ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬と、皮膚の痛みを抑える鎮痛薬を一緒に使用します。基本的には飲み薬が用いられますが、以下のような場合は、注射薬・点滴・塗り薬が用いられる場合があります。
※病状・医師の判断などで薬の種類・量は変わるため、詳しい治療方法・方針については、医療機関で確認してください。
帯状疱疹は、ワクチン接種で発症や重症化を予防することができます。高齢になってから帯状疱疹が発症しやすくなる原因のひとつは、子どもの頃に獲得した水痘・帯状疱疹ウイルスへの免疫が弱くなるためです。この弱くなった免疫をワクチン接種で再び強化することにより、帯状疱疹の発症・重症化を予防することができ、帯状疱疹の後遺症である帯状疱疹甲神経痛を予防できます。
日本では、50歳以上を対象として帯状疱疹予防接種が提供されています。対象年齢の人で不安がある場合は、かかりつけ医に相談してみてください。
帯状疱疹は、子どもの頃の水ぼうそうをきっかけに体内に侵入した水痘・帯状疱疹ウイルスが、再び体内で増殖して痛みと発疹を発症させる病気です。ウイルスは免疫力・体力が低下したタイミングで増殖し、帯状疱疹を発症させます。加齢とともに免疫力が低下し、心身が疲れやすくなった50代以上の人は、帯状疱疹発症のリスクが高くなります。50歳を過ぎたら、帯状疱疹のワクチン接種を検討しましょう。