帯状疱疹が治ったのにまだ痛い。帯状疱疹後神経痛ってどんな病気?

2020/6/26

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

皮膚にズキズキする痛みと小さな水ぶくれがあらわれる「帯状疱疹」。水ぼうそうと関連があるとされる病気ですが、治ったと思ってもなかなか痛みがとれない「帯状疱疹後神経痛」を発症することがあります。この記事では帯状疱疹後神経痛とはどんな病気か、主な症状などを紹介します。

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帯状疱疹後神経痛とは

帯状疱疹とは、子供のときにかかった水ぼうそうのウイルスが神経の中に潜み、何年か経ったのちに何らかのきっかけによって再び症状があらわれる病気です。疲労、体の抵抗力の低下がみられるときに帯状疱疹を発症することが多いと考えられています。主な症状は痛みと小さな水ぶくれです。

帯状疱疹の痛みや皮膚症状は一般的には次第に治まっていきます。しかし、帯状疱疹の皮膚症状が消えたあとに痛みが残ることがあり、これを帯状疱疹後神経痛と呼んでいます。

帯状疱疹後神経痛の症状は?

帯状疱疹後神経痛の主な症状は痛みです。

主症状

  • 持続性のある、焼けるような痛み
  • 断続的に指すような痛みを繰り返す

上記2つの痛みが混ざって発症することが多いとされています。ただし、そのほかにも次のような症状がみられることもあります。

  • ヒリヒリする痛み
  • チカチカする痛み
  • ズキズキする痛み
  • 針で刺されているような痛み
  • 一定の時間で繰り返す、刺すような痛み
  • 締め付けられるような痛み
  • 持続的に焼けるような感覚のある灼熱通
  • 感覚の鈍化

帯状疱疹後神経痛を発症する原因は?

帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹の発症のあとに引き起こされる症状です。帯状疱疹の発症は、水ぼうそうウイルスに関連しています。

  1. 水ぼうそうウイルスが脊髄付近の神経節に潜む
  2. 体に疲労や免疫低下がみられたときに、潜んでいたウイルスが再活性化
  3. 神経を通って皮膚に水ぶくれなど帯状疱疹を引き起こす
  4. 帯状疱疹の皮膚症状が治まっても、痛みが起きる帯状疱疹後神経痛を発症

再活性化した水ぼうそうウイルスによって帯神経線維が傷つけられると、帯状疱疹後神経痛が発症すると考えらえています。水ぼうそう発症時には正常であった神経線維でも、再活性化時に傷つけられる恐れがあるのです。

神経線維がダメージを負った結果、神経に過剰な興奮、自発痛、痛みを抑制する経路の障害などが発生します。すると痛覚過敏のような痛みに敏感になることがあります。

帯状疱疹後神経痛にかかりやすい人

  • 高齢者
  • 女性
  • 帯状疱疹が重症で、水ぶくれがひどい、痛みが激しい
  • 皮膚症状があらわれる前から痛みや異常感覚がみられる

帯状疱疹が発症してから3日以内に上記の項目に当てはまる場合、帯状疱疹後神経痛を発症しやすいと考えられています。

帯状疱疹後神経痛を治療するには?

帯状疱疹後神経痛は、患者さんのライフスタイルや治療効果の個人差などの要因によって、症状の程度がさまざまです。このため、薬物療法を中心に、理学療法を組み合わせた治療を行います。症状を完全になくすことは難しいものの、治療によって痛みをコントロールすることができます。

薬物療法
症状などによって神経障害性疼痛治療薬、三環系抗うつ薬、ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液、オピオイドを使用します。
理学療法(神経ブロック療法)
神経ブロック療法とは、整形外科や麻酔科、ペインクリニックで主に実施されている治療法です。局所麻酔薬やステロイド薬で痛みの伝達をブロックします。

痛みを和らげるためにできることは?

帯状疱疹後神経痛の治療を行ってもすぐに改善するとは限らないため、自分でできる痛みをコントロールする方法があると安心です。

入浴で血行促進
お風呂の入浴で体を温めましょう。血行がよくなると、痛みが和らぎます。ほかの病気による入浴制限がなければ、積極的に入浴してください。
体を温める
寒さや冷えは、痛みを強くする可能性があります。冬など、気候が寒い時期は体を温めましょう。また、夏も冷房の当たりすぎで体を冷やさないようにしてください。
患部への刺激を防ぐ
帯状疱疹後神経痛を発症していると、痛みに過敏になることがあります。衣服が皮膚にすれる刺激でも痛みを感じる患者さんもいます。患部に包帯を巻いたり、肌にやさしい衣服や肌着を選びましょう。
疲労やストレスを溜めない
疲労やストレスは、痛みを強める原因になりがちです。栄養バランスのいい食事をとり、十分な睡眠時間を確保しましょう。ストレスを完全になくすことは難しいですが、こまめにストレスを解消するよう心がけてください。疲労とストレスの蓄積を防ぎ、リラックスして過ごすことが理想です。
趣味や外出を楽しむ
痛みを自覚する時間が増えると辛いものです。趣味や仕事など、痛みを忘れて集中できることを見つけましょう。また、家族や友人との会話や散歩もいい気分転換になるでしょう。

おわりに:帯状疱疹後神経痛は痛みをコントロールして上手に付き合いましょう

帯状疱疹にかかると帯状疱疹後神経痛を発症する可能性があります。もし発症した場合は治療が長期にわたって続きます。痛みと上手に付き合いながら、症状改善を目指しましょう。

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