記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/2/24
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
海水浴や川遊び、サーフィンなどを楽しむ人が増えています。プールで泳ぐのも確かに楽しいけれど、自然の中で泳ぐ開放感はまた格別! でも、人の手がほとんど入っていないために、プールにはない危険も潜んでいることも。楽しむために行ったはずなのに、ケガや入院などでいやな思い出が加わってしまうのは、なんとしても避けたいですよね。ここでは自然の中にあるさまざまな危険と、万が一の場合の対処法についてご紹介します。
水温が低いと体温が奪われてしまうため、手足の力が弱くなり、水から上がってこられなくなる恐れがあります。できればウエットスーツを着用して泳いでください。また、体が震えたり、歯がカタカタ鳴ったりするのは、低体温症の初期症状です。これらが現れたら、水からあがって体を温めてください。
そのほか、以下のことにも注意してください。
・いきなり冷たい水に飛び込まない
・冷たい水に少しずつ慣れる
・すぐに上がれるよう、岸に近いところで泳ぐ
・水から上がったら、すぐに服を着て体を温める(水から出た直後は、夏でも水中より寒く感じることがあります)
クラゲは毒を持つ海の生物です。刺されても軽症で済むものもあれば、痛みを伴って赤く腫れてしまう場合など、毒の強さはさまざまです。クラゲに刺されないよう、クラゲがいるところでは泳がないようにしてください。また、クラゲを見つけても、絶対に触らないでください。
万が一刺されてしまった場合、触角が皮膚に残っているときは、ピンセットやきれいな棒などで取り除いてから氷などで冷やすことです。こうすることで、痛みと炎症を和らげることができます。
そのほか、海に生息する危険生物としてオコゼやアカエイなどがいます。水族館などで見かける生物なので、近寄ってじっくり観察したくなりがちですが、毒を持っているので絶対に近寄らないでください。
藍藻は、夏の間に池や湖に現れるもので、細菌が光合成することで増殖するものです。藍藻が発生した水の中で泳ぐと、皮膚がかぶれたり、下痢をしたり、目が痛くなったりすることがあります。もし藍藻が浮いていたら、その場所で泳ぐのはやめましょう。
汚染された水の中で水遊びをすると、下痢や嘔吐といった消化器系や呼吸器系の感染症にかかるリスクが高まります。国内では汚染されたところはあまりないかもしれませんが、海外でも汚染されていないとは限りません。汚染の度合いも地域によってさまざまですので、旅先で泳ぐときは汚染されていないか事前に調べてください。
また、特に川や池、湖の水は、動物の糞尿が含まれている可能性があるので、たとえきれいそうに見えても飲まないでください。
水遊びをしている最中は、水を飲まないようにしましょう。また、泳いだ後は手や体をよく洗ってください。
毎日都会で過ごす私たちにとって、自然に触れる機会はとても貴重で、普段なかなか味わえない刺激もたくさんあります。でもその反面、日常生活にはないリスクがあるのもまた事実。「おかしいな」と思ったら海や川などに入るのはやめ、周辺を散策したり、車や建物の中に入って景色を眺めたりなど、別の方法で楽しみましょう。せっかくの休日、楽しい思い出をたくさん作ってくださいね。