記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/6/15
記事監修医師
前田 裕斗 先生
食べ物を吐いたり、まったく食べ物を受け付けなくなったり……
拒食症とは、体重が増えることに恐怖感を持つ精神的な障害です。
がりがりにやせ細る人もいて、命の危険にもつながることも!?
この記事では、若い女性が発症することの多い拒食症について詳しく解説します。
拒食症は重篤な精神的健康障害のひとつで、体重を少なくしたいという人に発症する摂食障害です。食べ物の量を制限したり、嘔吐したり、過度に運動したりします。
太るということに恐怖を感じ、痩せたいという願望から、体型と体重を気にするするようになります。多くの拒食症の患者は、太っていないのに自分が太っていると、歪んだ自己イメージを持っています。
拒食症は女性や10代の症状が罹りやすく、最近では男性や10代の少年が罹ることもあります。平均して、初めて拒食症に罹ることが多い年齢は16~17歳頃です。
拒食症の人は、すでに食事を摂ったかのように嘘をついて、拒食症であることを家族や友人から隠そうとする傾向があります。
拒食症、またはその他の摂食障害であるかどうかの兆候は以下の通りです。
・食事を抜かす、ごく少量しか食べない
・脂肪分のある食べ物を食べない
・いつ、何を食べたのかについて嘘をつく
・食べ物のカロリーを病的に気にする
・自分の体重について嘘をつく
・過度に運動する
・ダイエットサプリメントなどを飲む
・嘔吐する(食事の後、すぐにテーブルを離れることや、嘔吐による胃酸によってできた虫歯や口臭などでわかる)
・便秘薬や利尿薬など、体内から水分を取り除く薬を服用する(こうした薬を服用しても食事から吸収した食べ物のカロリーを取り除く効果はほとんどない)
・繰り返し体重を計る、鏡で自分の体をチェックする
・頭がクラクラしたり、立ちくらみ、脱毛、肌の乾燥等の身体的トラブル
拒食症はうつ病、不安症、低い自尊心、アルコール乱用、自傷行為など、他の精神的問題と関連していることもあります。
精神障害の人にありがちですが、拒食症の人は、誰かに助けを求めないことが多く、問題があることを恐れている人と、問題があるとさえ思っていない人もいます。拒食症の患者の多くが、長期間自分の病気を隠しており、ときにはそれが数年であることもあります。
拒食症の人が回復する最初の第一歩は、自分には助けが必要だということに気づき、良くなりたいと思うことです。
まわりに拒食症だと思う人がいる場合は、拒食症かもしれないということをその人に話し、助けを求める気持ちをもつように手助けをしましょう。しかし、それは、非常に難しいことかもしれません。拒食症の人は自己防衛をし、自分が拒食症であるということを認めないことも多いからです。大切なのは、その人を批判したり、プレッシャーを与えることをしてはいけないということです。
拒食症の支援団体があれば、どのように話をしたらよいのか、アドバイスを求めてもよいかもしれません。
自分が拒食症ではないかと思うのであれば、早めに助けを求めてください。家族や友人など、信頼できる人と話すことから始めることができるでしょう。
拒食症を治療する前に、医師や摂食障害の専門家によって、肉体的、精神的、社会的な評価が行われます。これにより、適切なケア・プランを作成することができます。
治療は、心理療法と個別に安全に体重を増やすための食事と栄養のカウンセリングを組み合わせて行います。担当医、精神科医、食事療法士など、異なったヘルスケアの専門家が治療にあたることになります。
ほとんどの人が外来で治療できます。深刻な症状の患者であれば、入院して治療を受けることもできます。
拒食症から完全に回復するためには、数年間かかることもありますし、再発することもよくあります。
例えば、妊娠中に増えた体重を減らそうとすると、拒食症が再発することがあります。拒食症の人の半数が、治療にも関わらず、一定のレベルの摂食障害が続くことがあります。拒食症が長期的によく治療されなかった場合は、他の深刻な問題が進むことがあります。
骨粗しょう症、不妊症、不整脈、その他の心臓の病気などがそれです。
拒食症の人は、体重と身体的な見かけに価値観をおいています。痩せることで他の人が自分を好きになると考えていたり、痩せることで幸福感を感じたりして、過度な体重減少を肯定的に捉えます。
自分がどのような姿をしているのかについて歪んだ考えを持っており、太っていないのに太っていると思っています。
拒食症の人は、ゆったりした服やだぶだぶの服を着て、自分が細いことを隠そうとすることもあります。
拒食症の人は、自尊心が低かったり、自分に自信がない人が多いとも言われています。人付き合いをやめ、家族や友人から距離を置き、以前は楽しんでいたことへの興味をなくしてしまいます。学校での成績や仕事での業務の遂行にも影響することもあります。
拒食症の人は、痩せたいという願望から、痩せなくてはという強迫観念に支配され、精神的な異常を発症します。異常に痩せた自分の姿を見せず、隠そうとします。
周囲がその兆候に気づいて、治療につなげることが大切です。