認知症のスクリーニングで使うMMSEのやり方は?

2021/3/21

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

認知症かどうかを確認する検査には、いくつかの方法があります。そのなかの1つがMMSE、ミニメンタルステート検査です。今回は認知症検査に用いられている「MMSE(ミニメンタルステート検査)」の内容や目的、採点結果などについて見ていきましょう。

MMSE(ミニメンタルステート検査)とは

MMSEは日本語で「精神状態短時間検査」と訳される、10~15分でできる検査のことです。アメリカのフォルスタイン夫妻が認知障害を測定する目的で作り出した検査方法で、見当識や単語、計算、図形の描画など11の設問から構成されています。

1975年の公表以来、認知症のリスクが高い人を見つけるためのスクリーニングテストとして、世界的に活用されています。

MMSEの検査のやり方は?

MMSEは、以下のルールにのっとって実施します。

  • 検査の前にMMSE評価用紙、時計またはカギ、鉛筆と消しゴム、白紙の紙を用意する
  • 相手の体調が良いときに行い、検査やテストという言葉で、相手を緊張させない
  • 質問内容のアレンジや、正解に導くようなヒントを与えることはしない
  • 10秒以上待っても答えられないものは0点と換算し、次の設問に進む

MMSEの設問内容と点数の内訳、それぞれの検査上の意味は以下の通りです。

【設問1】日時等の見当識に関する問題(1項目辺り1点/全問正解で5点)

今年の西暦または元号の年数、いまの季節、今日の曜日、今日の日付が何月何日かを答えてもらいます。季節については、変わり目なら「梅雨」や「初冬」なども正解とします。認知症による見当識障害が現れていないか、チェックするための設問です。

【設問2】場所の見当識に関する問題(1項目辺り1点/全問正解で5点)

いま検査を受けている病院の名前、病院がある都道府県・市・建物の階数・地方を問います。正式名称でなく、通称や略称で答えた場合でも、正しければ正解としてカウントします。認知症の症状から、現在地がわからなくなっていないかをチェックする設問です。

【設問3】3つの言葉を記名する問題(1項目辺り1点/全問正解で3点)

「桜・猫・電車」の3つの単語を1秒間隔で1つずつ言い、本人にも繰り返させます。答えられないようなら「後でもう一度聞きますので、よく覚えておいてください」と念押ししたうえで、繰り返し言えるようになるかを6回まで確認します。短期間の記憶力について確認する問題です。

【設問4】計算問題(1項目辺り1点/全問正解で5点)

100から順に7を引いていく計算問題を、5回まで繰り返してもらいます。計算に失敗したり、10秒以内に答えが出てこないようなら打ち切って次に進みます。現在の記憶力と、脳内の記憶がリンクして作動するかを見る設問です。

【設問5】言葉の遅延再生に関する設問(1項目辺り1点/全問正解で3点)

設問3で復唱した「桜・猫・電車」を、もう1度思い出しながら言ってもらいます。覚えたことを短期記憶として保持し、再び思い出せるかをチェックする設問です。

【設問6】物品呼称に関する設問(1項目辺り1点/全問正解で2点)

時計や鉛筆など、2点の品物を見せて「これは何ですか?」と尋ねます。いま見た品物を記憶し、脳内にある記憶を出してこられるかをチェックする設問です。

【設問7】長文復唱の可否(1項目辺り1点/全問正解で1点)

「いまから私が言う文章を繰り返してください」と指示したうえで「みんなで力を合わせて綱を引きます」と言います。相手の言っていることを理解し、正しく実行できるかを見ることで、長文を記憶する短期記憶力についてチェックする設問です。

【設問8】口頭による3段階命令(1項目辺り1点/全問正解で3点)

「いまから私の言う通りにしてください。ただし、私が言い終わってから始めてください」と指示して、紙を差し出します。紙を渡しながら口頭でゆっくりと「右手(麻痺があるようなら左手)にこの紙を持ってください。次に、それを半分に折りたたんでください、そして私にください」と指示します。指示に従って一連の動作ができるかどうかで、認知機能の程度をチェックできます。

【設問9】書字の理解・指示(1項目辺り1点/全問正解で1点)

「この文を読んで、その指示通りに従ってください」と口頭で伝え、「右手(麻痺がある場合は左手)を挙げなさい」という文章を見せます。できるかどうかで、指示への理解力と行動力をチェックできる設問です。

【設問10】自発書字の可否(1項目辺り1点/全問正解で1点)

「ここに何か文章を書いてください」と伝え、紙と鉛筆を手渡します。文章の体をなしていて、全体の意味が通っていれば正答で1点加算してください。これにより、現時点の文章の構成能力がどのくらいかをチェックできます。

【設問11】図形の描写(1項目辺り1点/全問正解で1点)

「ここに書かれている図形と同じものを書いてください」と指示しながらMMSEのテスト用の図形を見せ、紙と鉛筆を渡します。図形が交差していない、5角形を描けていないよう場合は0点です。これにより、空間認知能力の程度と構成失行の有無をチェックできます。

すべての検査を行った結果、合計点数が27~30点の場合は正常、22~26点では軽度認知症の疑い、21点以下で認知症の疑いが強いと判定されます。

おわりに:MMSEはルールに従い、点数を数えることで実施できます

認知症の疑いがあるかをチェックするスクリーニングテスト「MMSE」は、日本語で精神状態短時間検査と訳される方法です。ルールに従い、認知症の疑いがある人に10~15分で11の設問を行い、点数を計算することで実施できます。ただし本人の体調や、質問の仕方が適切でない場合などは、正しい検査結果を得られないこともあります。ルールを守ってこそ正確な結果が得られる検査であると、十分に理解しておきましょう。

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