記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2021/4/2
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
足腰の筋力や機能が衰えて自力では歩行による移動が難しくなった人にとって、車椅子は便利でポピュラーな移動手段です。そんな車椅子には、ごく一般的な介助タイプのものから、ティルトやリクライニング、電動などさまざまな種類があります。この記事では、多機能化する車椅子の種類や機能の違いや、その選び方のポイントについてご紹介します。
車椅子の基本的な種類として、自走式、介助式、兼用タイプの3種類があります。
自走式兼用タイプは、介助者が押し手で押してブレーキをかけることもでき、利用者が自力で移動することもできる最もポピュラーな車椅子です。その反面、介助式車椅子と比べると重量が重く、大きさもありますので、自走をほとんどしないという人であれば必要ないでしょう。また、自走専用タイプは介助ブレーキがありませんので、段差や坂の多い外出には向きません。
その他、やや特殊なタイプの車椅子として、以下の3つのタイプもあります。
車椅子を選ぶときは、利用者の体格や状態に合わせることが重要です。具体的には、以下のようなポイントに気をつけて選びましょう。
また、使用する場面や環境、目的によっても適した車椅子が変わります。
そのほか、タイヤのタイプやフレームの材質も選ぶときのポイントになります。
車椅子のタイヤは、「ノーパンクタイヤ」と呼ばれる空気の代わりに樹脂が詰まっているタイプのものと、従来の「エアタイヤ」と呼ばれる中に空気を詰めて使うタイプのものがあります。
ノーパンクタイヤはエアタイヤより重く、クッション性にも劣るのがややデメリットですが、名前のとおりパンクの心配がなく、空気入れなどのメンテナンスを行う必要がありません。メーカーによって素材もさまざまで、軽量化やクッション性の向上に向けて日々開発が進められています。常用せず長く収納しておくことが多い場合、エアタイヤは空気が抜けて傷みやすくなりますので、ノーパンクタイヤがおすすめです。
一方、エアタイヤは空気が抜けるとクッション性が悪くなるだけでなく、ブレーキがきかなくなって危険ですから、定期的にメンテナンスが必要です。しかし、ノーパンクタイヤと比べて重量が軽くクッション性に優れていることから、振動を抑えてガタガタしづらく、乗り心地が快適です。常用する人や、乗り心地を優先させる場合にはエアタイヤが特におすすめです。
エアタイヤの空気は、基本的には自転車と同じように空気入れで行います。英式・仏式・米式のバルブがありますので、それぞれに応じたアダプタを使いましょう。タイヤの適正空気圧はタイヤの側面に記載されていますが、空気入れに空気圧計がついていない場合は、目安としてタイヤを手で押し「やや硬い(軟式野球ボール程度)」と思えるくらいに空気を入れます。
少なすぎてもききが悪くなったりタイヤやチューブの傷みの原因となったりし、多すぎるとパンクの恐れがあります。できるだけ、適正空気圧に従って空気入れを行いましょう。また、車輪の大きさは上記の定番サイズで構いませんが、大きい方が漕ぎやすく段差が乗り越えやすくなり、小さくなるほど漕ぐ力は必要ですが小回りがきくようになります。目的に合わせて選びましょう。
車椅子のフレームとして、近年最も一般的なものはアルミ製です。重量・強度・価格面で、バランスがとれた材質です。一方、コストを抑えて丈夫に作りたい場合はスチールが使われますが、重量が重いため、一般的な車椅子としてはあまり使われず、施設や病院で使われることが多いです。
上記のほか、車椅子を長時間利用する人や、姿勢が保ちにくい人には、以下のようなリクライニングやティルティングの機能がついた車椅子がおすすめです。
また、脚の角度を調節できる「脚部エレベーティング機能」のある車椅子もあります。角度を調節することで、脚部をリフトできる機能です。骨折などで膝を曲げられない人、脚部に拘縮や変形があって角度を固定しなくてはならない人、脚を伸ばしてまっすぐにしておきたい人などに便利な機能です。スイングアウト機能と組み合わせて搭載されている車椅子もあります。
最もポピュラーなタイプなのは自走も介助も行える兼用タイプの車椅子ですが、利用者がほとんど自走しない、持ち運びが多いという人には介助専用車椅子がおすすめです。タイヤはノーパンクタイヤ・エアタイヤの2種類がありますが、常用する場合はエアタイヤがおすすめです。また、長時間乗る人の場合は、ティルト機能やリクライニング機能で体圧を分散したりすると、利用者の身体に負担が少なくなります。