記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2021/2/10
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
年齢を重ねると、認知機能や言語機能の低下から、スムーズなコミュニケーションが難しくなることがあります。この記事では、介護をするうえで知っておきたい高齢者とのコミュニケーションのコツとともに、コミュニケーションから期待できる効果を解説します。
言葉やスキンシップによるコミュニケーションは、高齢者の脳に適度な刺激を与え、今ある能力を維持したり、引き出す効果があると考えられています。また、他者から語り掛けてもらうことにより安心感や幸福感、自分がここにいても良いんだという自己肯定感を持ってもらう効果も期待できます。
人間はいくつになっても、他者とのつながりやコミュニケーションを求めてしまうものです。このため、介護者として高齢者と接するときには、まず以下の2点に気をつけつつ、一人ひとりにあわせた方法でコミュニケーションを取るのが望ましいと言われています。
こちらの考えていることや相手に抱いていることは、言葉やしぐさ、肌が触れたところから必ず高齢者本人に伝わります。高齢者本人の人柄や意思を尊重し、ひとりの人間同士として真摯なコミュニケーションを心がけてください。
高齢者は、若年者と比べて反応が遅かったり、会話が聞き取りにくかったり、態度が頑なだったりして、スムーズにコミュニケーションが取れないことがあります。高齢者とのコミュニケーションに困ったときは、以下を参考にこちら側の態度・接し方を見直してトラブルを回避しましょう。
相手がどんな人かを知らないと、その人が何を大切に生活してきたのか理解できません。理解できなければ、ふさわしい接し方をつかむことも難しいです。
高齢者は、加齢からくる自分の心身や周囲の変化、大切な人との死別などの度重なる喪失、将来への不安を強く感じていることが多いです。まずはその人の普段の様子を観察し、言葉を発したらよく聞いて、こちらとの会話を楽しみにしてもらえるよう接してみてください。話しているうちに、その人の価値観や人柄、介護者に求める役割も見えてきます。
もし、高齢者がこちらの話をうまく聞き取れない様子でしたら、低めの声でゆっくりと簡潔に話しかけてみてください。
長く生きてきた分、高齢者にはそれぞれの生活ペースや価値観があります。こちらから見てイライラするほど遅かったり、おかしいと思うかもしれませんが、できるだけ尊重してあげてください。
介護や作業は、時間の許す限り高齢者を基準にしたペースで進めます。もどかしいかもしれませんが、じっくり待って話を聞き、本人の意思や価値観を踏まえて、自分でできることは自分でやってもらうようにしましょう。
ただし、身体機能は着実に衰えています。移動の際はさりげなく補助をして転倒を予防し、安全に配慮してあげることを忘れないでください。
高齢になって介護が必要な状態になると、耳が聞こえにくくなったり、言葉が出にくくなるなどして、どうしてもスムーズなコミュニケーションが難しくなります。将来への不安や本人の価値観から、頑なに周囲とのコミュニケーションを拒絶する高齢者もいるかもしれません。高齢者とコミュニケーションを取るときは、本人のペースや価値観を知り、ひとりの人間として尊重することを忘れないようにしましょう。