要介護認定の申請方法と判定に不服があったときの対処法は?

2021/4/12

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

認知症などで日常的な介護が必要になった場合、要介護認定を受けていれば介護保険サービスが使えるようになります。この記事では要介護認定について、認定を受けるための申請方法と審査の流れ、さらに認定結果に不満がある場合の適切な対応を解説します。

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要介護認定の申請に必要なものは?

介護保険サービスを利用して介護を受けるには、市区町村からの要介護認定が必要です。要介護認定を得るには、介護を希望する本人が居住する市区町村の窓口に、要介護認定の審査を受けるための申請が必要です

要介護認定審査のために必要なものは以下の通りです。

  • 市区町村の窓口が指定する申請書
  • 介護保険の被保険者証(介護希望者が65歳以上の場合)
  • 健康保険の保険証(介護希望者が第二号被保険者[64歳以下]の場合)
  • マイナンバー通知書、またはマイナンバーカード
  • 主治医の情報が確認できるもの
  • 申請者の身元が確認できるもの

なお、申請は介護を希望する本人かその家族・親族のいずれかが行うのが一般的ですが、独居、または家族・親族からの協力を得られない場合には、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者、入所する介護保険施設などに申請を代行してもらうこともできます。

要介護認定の審査の流れは?

市区町村への申請手続きが完了すると、役所の担当者による要介護認定の審査が入ります。審査は訪問調査、主治医による意見書の確認、一次判定、二次判定の順で行われ、原則として申請から30日以内に認定結果が送付されます。

決定される認定結果は、以下8段階のいずれかとなります。

要介護度の段階
  • 要支援1~2(介護予防サービスの利用が妥当)
  • 要介護1~5(介護保険サービスの利用が妥当)
  • 要介護に非該当(自立していて、介護保険サービスは必要ない)

4段階の要介護認定審査のおおまかな内容は、それぞれ以下の通りです。

訪問審査

役所の調査員が介護を希望する本人の自宅を訪れ、心身の状態や普段の介助の様子、認知症や疾患などの症状について調査していきます。訪問調査は家族の同席が求められ、本人の普段の様子についての聞き取りも行われます。

主治医による意見書の確認

介護を希望する本人、または家族が指定する主治医に役所から依頼し、本人の状態や疾患に関する意見書を受け取ります。本人に主治医がいない、もしくは家族から医師の指定がない場合は、役所が指定する医師の診察を受けて意見書をもらうことになります。

一次判定

訪問による調査結果と、医師による意見書の内容を一部コンピュータに入力し、全国一律の基準で1度目の要介護度判定を行います。

二次判定

ここまでの調査と医師の意見書の内容、一次判定の結果を踏まえたうえで、保険・医療・福祉の学識経験者で構成された審査会で協議し、最終的な要介護度を判定します。なお二次判定のための審査会の開催頻度は、自治体によって大きく異なります。

認定の結果に不満があるときは

審査による要介護度の認定結果にどうしても納得できないとき、介護希望者とその家族ができる対応としては以下の2通りが考えられます。

審査請求
認定結果の取り消しを申し立て、再度の要介護認定審査を依頼する方法です。ただし、認定結果の取り消しに数か月かかるうえ、一からの申請が必要です。
区分変更の申請
再度、認定調査・審査会での協議、要介護認定の判定を依頼する方法です。もともとは、要介護認定の有効期間中に、状態が大幅に変化したときの制度ですが、認定結果に不満を持つ人にも用いられています。

いずれの方法を用いる場合も、介護保険制度の専門家である地域包括支援センターやケアマネジャーに相談のうえ、手続きを進めましょう。

おわりに:要介護認定を受けるには、まず市区町村への申請書提出が必要です

介護保険サービスを利用するために要介護認定を受けるには、まずは申請書と必要な提出物をそろえ、介護希望者が住む市区町村窓口に申請しなければなりません。申請を受けた役所は希希望者の自宅に調査員を派遣し、さらに主治医から意見書を受け取って、全国一律の基準と審査会にかけて要介護度を判定します。もし決定された要介護度に納得できない場合、審査請求もしくは区分変更の申請で再調査を依頼することもできます。

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