記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/2/23
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
「歯医者さん」と聞いて、機械の音や治療の痛み、独特の匂いなど、いやな出来事を思い出す人は多いかもしれません。それが、歯医者さんへ行くことを遠のかせる要因にもなっていますが、歯にトラブルを抱えた状態が続くと、痛みや不快感で集中できなくなるだけでなく、いざ治療するとなったときもその期間が長引く可能性があります。そうならないためにも、普段から定期的に歯科検診へ通い、予防やトラブルがあったときの早期発見につなげることが大事なのです。
歯科検診は歯にトラブルがあるかどうかを歯科医がチェックするので、口と歯の健康を保つのに役立ちます。違和感があるのに放置していると、状態がさらに悪化するだけでなく、治療が長期化する可能性があります。
診察時に歯科医は次のようなことを行います。
1. 前回の訪問から今日までに、歯、口、歯ぐきに異変があったかを尋ねる
2. 歯、歯ぐき、および口を確認する
3. 歯磨きの習慣、食生活、喫煙やアルコールの嗜好品の摂取量に関するアドバイスする
4. 次回の検診日を決める
歯科検診で行うのは、チェックとアドバイスのみです。虫歯になったり、歯が抜けてしまった場合など、緊急の治療が必要なときは別途予約を入れてください。詰め物、歯の掃除(スケールと磨き)などをします。また、もし次の検診までに異変を感じた際は、なるべく早く歯科医に連絡して予約をとってください。
診察が終わると、歯科医は次の訪問日を提案します。次の検診までの間隔は、3カ月から2年です(ただし、18歳未満の場合は最大1年)。
一般に、虫歯などのリスクが低ければ低いほど、次回の診察までの期間が長くなります。歯の健康が保たれている人は、1~2年に1回だけの検診で問題ありませんが、そうでない人の場合は、もう少し短い間隔で検診を受けたほうがよいでしょう。
次の検診までの間、健康な歯と口を保つために、1日2~3回、約3分間歯磨き粉で歯を磨きましょう。きちんと歯を磨かないと、歯垢(しこう)という細菌の膜が歯を覆い、歯茎の病気や虫歯につながります。
電動歯ブラシでも、昔からある手動のものでもかまいません。ただ、電動ブラシは振動または回転ヘッドを備えたものを選ぶと、手動の歯ブラシより歯垢を除去しやすいと思います。もし手動の歯ブラシを選ぶなら、大人の場合は先端がコンパクトで丸型の、硬い毛のものがおすすめです。
虫歯予防、歯槽膿漏予防、ホワイトニング効果があるものなど、さまざまなタイプがあります。目的に合うものを選びましょう。
すべての歯の表面を磨くようにしてください。歯の裏側、表面、かみ合わせの部分も磨き忘れないよう気をつけてください。磨き終わったら、余分な歯磨き粉を吐き出してから口の中を水ですすいでください。
そのほか、デンタルフロスや歯間ブラシを使うのも効果的です。
デンタルフロスは、歯と歯の間に挟まった食べ物を取り除くだけでなく、歯垢が取り除かれ、歯ぐきの疾患を防いだり、口臭を減少させる効果もあります。歯を磨く前にデンタルフロスを使うのがおすすめです。30~45cmのデンタルフロスを両手の指に巻きつけ、フロスの幅を5センチぐらいにします。その後、歯と歯の間にフロスを入れて、上下に動かしてください。歯と歯の間を上下に8~10回滑らせると、食べ物や歯垢を取り除きます。
また歯間ブラシは、歯と歯の間にすき間がある場合におすすめです。ブラシが歯と歯の間にぴったりおさまり、汚れが取り除きやすいです。
なお、爪楊枝を使って歯の間に挟まった食べ物を取り除かないでください。歯ぐきが傷ついて感染症を引き起こす可能性があります。
定期的に歯科検診に通っていれば、歯の健康が保たれるのはもちろん、万が一、歯のトラブルに見舞われたときも、すぐに異変に気づいてチェックしてもらうことができます。定期検診で歯医者さんへ行くハードルを下げ、歯と口の健康を保ちましょう。