記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/5/1
記事監修医師
前田 裕斗 先生
感染力が強く、特に赤ちゃんや高齢者では重篤化することがあるノロウイルスは、冬季に多く発症しますが、1年を通して感染の可能性があります。ここでは、赤ちゃんがノロウイルスを含む感染症にかかったときの対処法についてお話します。
ノロウイルスは手指や食品などを介して経口感染し、感染力が強く、食中毒の約半数はノロウイルスによるとされています。季節的には秋から春先に猛威を振るう冬型の感染性胃腸炎として知られています。
ノロウイルスに感染すると、24~48時間以内に嘔吐(おうと)、下痢、腹痛、微熱などの症状が出ます。
ノロウイルスにはワクチンがないので治療法は輸液などの対症療法に限られますが、嘔吐や下痢などで脱水症状にならないように経口補水液などで十分な水分補給が重要となります。
赤ちゃんの免疫系はまだ未発達なので、このようなウイルスや細菌を防ぐことはできません。そのためにほとんどの場合、感染症を引き起こしてしまいます。しかし、このようにウイルスや細菌に触れることによって、赤ちゃんの免疫系が形成され、免疫力は強くなっていきます。
赤ちゃんは、具合が悪くてもことばであらわすことができません。しかし、いつもよりぐずったり、母乳やミルクを飲まない、好きな食べ物にも反応しないなどで自分の状態を知らせています。
赤ちゃんの感染症に対処するには、家族全員の健康を守ることです。赤ちゃんを感染症から守るために以下のような方法を実践するとよいでしょう。
家族全員が、必ず「手を洗う」ことを習慣にしましょう。特に、おむつを替えた後、トイレに行った後、そして食事の前にはよく手を洗うことです。手についた「ばい菌」を洗い流すことで、第三者に感染させるのを予防できます。
感染者の食器やおもちゃなどの持ち物を分けることで、相互感染は少なくなります。
部屋をきれいに保ちましょう。赤ちゃんの面倒をみながらの掃除は難しいかもしれませんが、使ったティッシュは捨て、調理台やその他の場所は可能な限り拭くようにすることで、家の中の「ばい菌」を最小限に抑えることができます。
ノロウイルスによる感染性胃腸炎のほとんどは11月~2月の冬に発生していますが、夏でもみられることがわかっています。ノロウイルスの症状は1~2日で治まり、後遺症もありませんが、小さな赤ちゃんでは危険なこともあります。赤ちゃんの表情の変化を見逃さないようにしましょう。