記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/5/10
記事監修医師
前田 裕斗 先生
糖尿病の人も、糖尿病予備軍の人も、運動が血糖値を下げる効果があることはご存知ですよね。ではなぜ効果があるのでしょうか?
この記事では、糖尿病ケアとしての運動についてまとめました。
運動は血糖を低下させる効果があります。その理由は、運動によりインスリン感受性が高くなるからです。感受性が高くなると、腎臓内の細胞がより多くのインスリンを使い血糖を取り込むことができるようになります。
また、運動で筋肉が収縮し、インスリンを使わずに血糖を取り込む働きも刺激されます。この働きにより細胞は血糖を取り込み、エネルギーに転換することができます。従って、腎臓内のインスリンが利用できなかったとしても血糖を取り込むことができるのです。
これが、運動が短期間で血糖値を下げる仕組みです。定期な運動習慣は血糖値の値であるHbA1cを低下させる効果もあります。
運動の血糖値への影響の度合いは、運動の時間や強度を含め、さまざまな要因によって異なります。
運動によりインスリン感受性が高まることで、運動後の24時間もしくはそれ以上の間、血糖値を下げる効果があるとされています。
運動によって、血糖値がどのように変化するのか、正しく把握するようにしましょう。運動前後に頻繁に血糖値を測り、見比べてみてください。運動が血糖値にどのように作用しているか、確認することができます。
また、血糖値を頻繁に確認することで、運動以外の身体活動が、血糖値にどのように影響を与えているかもわかるようになります。このような血糖値と運動や身体活動のパターンを理解することで、自分で血糖値をうまくコントロールできるようになります。
糖尿病の人は皆、低血糖になる可能性を持っていますが、特に1型の人はリスクが高いとされています。
逆に2型の人は、インスリンまたはインスリン分泌促進薬を使用している場合を除いては、運動中または運動後に低血糖の問題を起こす可能性は低いです。
運動中または運動後に低血糖になった場合は、すぐに治療してください。通常の低血糖時と同じプロセスをとるようにしましょう。以下を参考にして下さい。
1.即効性の高い糖質(スポーツドリンク、糖分無調整のソーダ水、ブドウ糖タブレットなど)を少なくとも15〜20グラム以上とる。
2.15〜20分待って血糖値を再度確認する。
3.それでも血糖値が低く、低血糖の症状が消えない場合は、治療をやり直す。
4.気分が良くなったら、定期的な食事と軽食を計画通りに食べて、血糖値を上げる。
運動を続けたい場合、運動の内容や血中のインスリン量によって異なっては来ますが、通常は血糖値を上げるために休息をとるべきです。休息をとった後、再開するのは血糖値が100mg / dlを超えてからにしてください。
低血糖は運動の間、また運動後しばらく経ってから起こることを覚えておきましょう。特に、以下の場合に可能性が高くなります。
・インスリンまたはインスリン分泌促進薬を摂取した
・運動後30分から2時間以内に食事を摂らなかった
・長時間の運動
・激しい運動
運動することで、低血糖が頻繁に起こるようであれば、治療計画の調整を医師に相談してください。
運動の前に少しおやつを食べたり、投薬を調整したりする必要があるかもしれません。長期間の運動を行う習慣がある人は、運動中および運動後の低血糖症を予防するために、食事量や投薬の調整が必要になります。
殆どの人は1度に1時間以上運動しない限り、食事プランに炭水化物を追加する必要はありません。体重を減らそうとしている人にとっては、食事計画に余分な食べ物を加えると、せっかく運動で燃焼したカロリーをまた増やしてしまいます。
運動の効果を最大に活用するために、今の食事プランは変えず、引き続き健康的な食事を摂るようにしてください。野菜、果物、全粒粉、低脂肪または無脂肪の乳製品、赤身肉など、食事のバランスを調整しましょう。
今まで見てきてわかるように、糖尿病の血糖値のコントロールの方法は、すべてダイエットのためにも使えます。ダイエットと違うことは血糖値のコントロールです。低血糖に気をつけて、ケアを続けましょう。