インスリンの効きすぎで昏睡状態に!?糖尿病患者は低血糖にも要注意

2017/5/15 記事改定日: 2017/9/6
記事改定回数:1回

記事監修医師

聖マリアンナ医科大学 病理学

長宗我部 基弘 先生

二宮 英樹 先生

記事監修医師

東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック

二宮 英樹 先生

インスリンが十分に分泌されないことが原因で、高血糖の状態が続く「糖尿病」。
血糖値を下げるために、多くの患者さんがインスリン治療を行っていますが
そのインスリン治療が原因で、逆に「低血糖」の症状に陥ってしまうケースがあります。

「血糖値が高いよりはマシなんじゃないの?」と思う方もいるかもしれませんが、
低血糖は昏睡状態などの意識障害を招く恐れもある危険な症状なのです。

今回の記事では、糖尿病患者の方にはぜひ気をつけていただきたい低血糖の症状や治療法についてお届けしていきます。

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低血糖とは?

低血糖とは、異常に血糖値が低い症状のことです。基本的には70mg/dl以下の状態を指しますが、患者によって基準となる数値は異なります。
糖尿病患者へのインスリン治療が原因で発症することが多いため、「インスリン反応」とも呼ばれています。

低血糖の症状

低血糖の場合、以下のような症状が急激に起こるのが特徴です。

  • 身体の震え
  • 発汗や悪寒
  • 心拍数が早くなる
  • 視界がかすむなど目の症状
  • 唇や舌のしびれや痛み
  • 頭痛
  • 空腹感
  • 吐き気
  • 眠気
  • だるさ
  • 昏睡状態などの意識障害に陥る
  • 精神が錯乱したり、不安定になったりする

症状が出ない場合

無自覚性低血糖の場合、血糖値が70mg/dl以下でも症状が現れないことがあります。

無自覚性低血糖は、下記に該当する人に起こる可能性があります。

  • 低血糖の症状が頻発しているせいで自覚できなくなっている
  • 長い間糖尿病を患っている (インスリン治療を受けている患者)

血糖値が70mg/dl以上なのに症状が出た場合

高血糖の状態から、急激に血糖値が低下したときに低血糖の症状が現れることがあります。この場合は医師に相談してください。

低血糖を治療するには?

低血糖は、放置すると昏睡状態に陥る恐れがあります。低血糖の症状が現れたら、下記の方法で治療(応急処置)を行ってください。

自宅でできる応急処置

  1. 糖分(グルコースや単純炭水化物)を15~20g摂る
  2. 15分後に血糖値を再計測する
  3. まだ低血糖の場合、再度1を行う。血糖値が通常値に戻ったならば、少量の軽食を摂る(次の食事時間が1時間以上先の場合)

糖分を15g摂取するには

糖分(15g)は、下記のいずれかを摂取すれば補うことができます。

  • ブドウ糖の錠剤(摂取量の目安は表示を確認してください)
  • 果汁ジュースや炭酸飲料100ml
  • 砂糖やはちみつ大さじ1杯

こうしたものがなかなか見つからない場合は、飴玉をなめたり、キャラメルを食べたりしても一時的には凌ぐことが出来ます。また、糖尿病治療薬の中には、糖の吸収そのものを抑制するタイプもあるので、あらかじめ医師によく相談しておくことが重要です。

病院で処方される治療法

重度のインスリン反応で意識障害が起きた場合、グルカゴンの注射キットが処方されることがあります。グルカゴンとはホルモンの一種で、血中糖度が非常に低くなったときに肝臓に蓄えられているグルコースを血中に放出するよう、肝臓を刺激するものです。

グルカゴンの注射部位は、お尻、腕、腿のどこかです。副作用として、患者が意識を回復したときに吐き気を感じる可能性があります。処方を希望する場合は医師に相談し、詳しい使用方法を確認してください。

おわりに:定期的に血糖値のチェックを!

低血糖の症状として、震え、発汗、寒気、だるさなどの症状が特徴的です。これらの症状があらわれた場合は、落ち着いて血糖値を測定し、対処しましょう。

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