赤ちゃんの湿疹とアトピー~おむつかぶれとアトピー性皮膚炎~

2017/5/1

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

アトピーといって、真っ先に思い浮かぶのはアトピー性皮膚炎ですが・・・「アトピー」って何?「湿疹」とどうちがうの? 実は、アトピーと湿疹は、ちょっとちがうのです。ここでは、赤ちゃんにみられる代表的な湿疹「おむつかぶれ」とアトピー性皮膚炎についてお話します。

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湿疹とアトピー

皮膚の最も外側、表皮の炎症を総称して、「湿疹」と呼びます。赤ちゃんの湿疹には、何らかの物質が肌に触れることで起こる接触性皮膚炎があります。接触性皮膚炎には、おむつかぶれなどの「かぶれ」も含まれます。

一方、「アトピー」とは、かゆみを伴う湿疹がよくなったり悪くなったりを繰り返す慢性湿疹で、アトピー素因が関係しています。日本皮膚科学会によれば、アトピー素因は「家族歴や既往歴に気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちいずれか、あるいは複数の疾患をもつ、または IgE 抗体(アレルゲンと結合すると炎症を起こす化学伝達物質)を肥満細胞から放出させアレルギー反応を産生しやすい素因」と定義されています。

おむつかぶれ

赤ちゃんの湿疹のほとんどは接触性皮膚炎です。皮膚が赤く腫れ、かゆみを伴い、水疱(すいほう)のような隆起があらわれることもあります。接触性皮膚炎という名の通り、皮膚が何らかの物質と接触すると発症します。「おむつかぶれ」のように、尿や便、お尻拭きなどのローション、または「擦り傷」が原因の可能性があります。

おむつ周囲以外のところにあらわれた湿疹は、石けんや柔軟剤あるいは植物などのアレルギー反応が原因である可能性もあります。接触性皮膚炎の湿疹を治療するには、原因物質を避けることが第一です。

アトピー性皮膚炎

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎は、かゆみのある肥厚性で鱗(うろこ)状の赤い斑点が特徴です。かゆくて掻きむしってしまうと皮がむけ、ジュクジュクした痂皮(かひ)になることがあります。アトピー性皮膚炎は、乾燥肌、熱または寒さ、羊毛または人工衣類、ほこり、汗、特定の食品、アレルゲン、石鹸や洗剤などが原因となります。

かゆみを抑えるためには、肌が乾燥しすぎないようにすることです。部屋に加湿器を置いたり、ぬるま湯で入浴させる、肌にやさしいシャンプーや石けんを使用し、入浴後はよく拭いて保湿ローションを塗るのがよいでしょう。

おわりに:天使の肌はいっそう弱い

スベスベで柔らかく、傷ひとつない赤ちゃんの肌は、湿疹や炎症を起こしやすいのです。赤ちゃんの機嫌が悪い時は、皮膚にも気をつかい、実際に湿疹やかゆみと闘っているときは、医師に相談することを忘れないでくださいね。


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