体の不調、ひょっとして歯が原因?歯ぐきの健康も意識しよう

2017/3/2

佐藤 典宏 先生

記事監修医師

産業医科大学第1外科

佐藤 典宏 先生

歯肉疾患は、歯そのものに問題があるということに限らず、体のほかの部分にも重大な健康上のリスクが潜んでいる可能性があるサインになっている、ということが明らかになっています。歯肉疾患は、脳卒中、糖尿病、心臓病など、歯以外にもさまざまな合併症のリスクを高めていると言われています。

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歯肉疾患とは

歯肉疾患は、歯を支える組織の感染症です。これは、主に歯垢(プラーク)の蓄積による細菌によって引き起こされます。

歯肉疾患に罹患しやすい患者の中には、体が歯肉周辺の細菌に過剰反応し、炎症を引き起こす人もいます。炎症が完全に治らない人もいますし、歯肉疾患が重症化すると全身の血行にも影響を及ぼし、長期間にわたって心臓および脳の血管を徐々に損傷するおそれがあります。

歯肉疾患が体に与える影響

歯肉疾患は、以下のようなさまざまな健康問題と関連性があります。

・心臓病
・糖尿病
・脳卒中
・関節リウマチ

予防法

適切に歯と歯ぐきを磨き、ケアをすることによって歯肉疾患を予防・改善することができます。歯肉が健康になるにつれて体の健康も改善されるので、心臓病などの健康リスクを減らすこともできます。

以下に、歯肉疾患の予防・改善に役立つことをご紹介します。

1日2回以上歯を磨く

大人の場合は、先端がコンパクトで丸型のかたい毛の歯ブラシがよいです。 ふつうまたはやわらかい毛は、ほとんどの人に最適です。また、歯磨き粉は歯ぐきを健やかに保つ効能をうたっているものを選ぶとよいでしょう。

少なくとも1日1回デンタルフロスや歯間ブラシを使う

デンタルフロスは歯の間に挟まった食べ物を取り除くだけでなく、歯垢(プラーク)を取り除くことができるので、歯肉疾患の予防・改善に役立ちます。

30~45cmぐらいにカットしたデンタルフロスを指に巻き、手の間のフロスの幅を5センチ程にしてから、歯と歯の間にフロスを入れて上下に動かしてください。8~10回くらい動かすと、食べ物のカスや歯垢が取り除けます。もし、歯と歯の間にすき間がある場合は、歯間ブラシを使うのもおすすめです。なお、爪楊枝を使うと歯ぐきに傷が付いて感染症を引き起こす可能性があるので、使わないでください。

タバコを吸わない

タバコを吸ったり、噛みタバコを噛んだりしないでください。 歯が黄色くなったり、口臭がきつくなったりするだけでなく、歯肉疾患のリスクを増加させます。タバコはそのほかにもさまざまな健康上のリスクを高めるので、禁煙することをお勧めします。

服用している薬の影響を確認する

普段服用している薬が、歯に悪影響を与える副作用があるかどうかを医師に相談してください。例えば、薬の種類によっては口の中が乾きやすくなるものがあります。

6カ月ごとの定期検診とクリーニングを行う

定期的に歯科検診を受けてください。検診を先延ばしにしないようにしてください。問題を早期に発見することで、簡単に治療できます。早めに治療しないと、時間がかかったり治すことができなくなったりする可能性があります。

定期検診では、次のようなことを行います。

・前回の検診から、歯、口、歯ぐきに違和感があったかどうかを尋ねる
・歯、歯ぐきを見る
・歯磨きの習慣や普段の食事、喫煙とアルコールの摂取量などを尋ね、必要に応じてアドバイスする
・次回の検診日を決める

定期検診は上記のようなチェックが主になります。歯が抜けたり、虫歯が見つかったりした場合は、別途予約をとってください。

おわりに

歯ぐきの健康が実は全身の健康状態と深く関わっていた、というのは意外だったかもしれません。日ごろから丁寧に歯を磨き、たかが歯の痛みくらい……と見過ごさないで、違和感があったらすぐ歯科医に相談してくださいね。

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