在宅介護で褥瘡を防ぐには?体位変換と皮膚観察の基本
2026/3/10
褥瘡は予防の積み重ねが重要になる
寝た時間が長い生活になると、皮膚への圧迫や湿り気が増え、皮膚トラブルが起こりやすくなります。その代表が褥瘡です。褥瘡は、本人の痛みや不快感に加え、処置の負担、感染のリスク、介護量の増加につながることがあります。
一方で、在宅や施設のケアの中で、体圧を逃がす工夫、皮膚を守る習慣、栄養や水分の管理などを組み合わせることで、発生や悪化を防ぎやすくなります。できる範囲で標準的なポイントを押さえ、無理なく続ける形に整えることが大切です。
褥瘡ができる主な要因
褥瘡は、同じ部位に圧迫が続くことに加え、摩擦やずれ、皮膚の湿潤、栄養状態の低下などが重なって起こりやすくなります。特に骨が出ている部位は圧が集中しやすく、赤みが出やすいポイントになります。
日本皮膚科学会の褥瘡診療ガイドラインでは、褥瘡の診療は患者の基礎疾患や合併症に加え、介護を行う施設や家庭、地域の状況など考慮すべき要因が多いことが示されています。家庭の状況で完全に同じ対応は難しくても、褥瘡の背景要因を整理し、優先順位を付けて対策する考え方が重要になります。
体位変換と体圧分散用具の使い方
体位変換は、圧迫が続く時間を減らすための基本です。日本褥瘡学会は、長時間同じところの圧迫を避けるため定期的に体位変換を行うこと、体位の例として30度側臥位を示しつつ、角度は目安で個人差があることを説明しています。時間間隔については、基本的に2時間を超えない範囲を目安としつつ、体圧分散寝具の種類によっては4時間を超えない範囲で行ってもよいとされています。介護者の負担や夜間の体調もあるため、医療職と相談しながら現実的な計画を立てます。
体圧分散寝具の導入も重要です。同学会は、体圧分散寝具の使用により褥瘡発生率を低下させることが可能であり、対象者のリスク、好み、ケア環境等を考慮して選択することを示しています。レンタルの福祉用具として導入できる場合もあるため、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談すると選択肢が広がります。
併せて、寝衣やシーツのしわ、食べこぼしによる湿り、ずれや摩擦を減らす工夫も重要です。シーツを整え、移動時は体を引きずらないようスライディングシート等の使用も検討します。
失禁ケアと皮膚の赤みの扱い 医療相談の目安
尿や便失禁があると皮膚が湿潤し、刺激が続きやすくなります。日本褥瘡学会は、排泄物から皮膚を守るため、洗浄後に皮膚保護のクリーム等を用いること、洗浄時に強くこすらないことなどを示しています。交換のタイミング、皮膚の乾燥や保湿、保護剤の選び方などは、訪問看護師や皮膚排泄ケア認定看護師に相談できると安心です。
皮膚に赤みが出た場合は、押して白く戻るか、圧を除いても赤みが残るかが一つの目安になります。赤みが続く、皮膚が硬い、熱感がある、水疱やびらんが出た、痛みが増した、発熱があるなどの変化があれば、早めに医療機関や訪問看護へ相談します。自己流の外用処置は悪化につながることもあるため、評価を受けたうえで手当てを行うことが基本です。
まとめ 体圧と湿潤を減らし観察を続ける
褥瘡予防は、体位変換、体圧分散用具、皮膚の清潔と保護、失禁ケア、栄養や水分の管理を組み合わせて行います。家庭の状況に合わせ、無理のないスケジュールと福祉用具を選び、皮膚の変化を観察しながら早めに相談することが重要です。
引用・参照:
一般社団法人日本褥瘡学会|褥瘡の予防について|更新年不明|https://www.jspu.org/general/prevention/
日本皮膚科学会|創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン2023―2 褥瘡診療ガイドライン第3版|2023|https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/zyokusou2023.pdf











