記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2026/4/29
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
在宅介護では、病気の診断を家族や介護職が行う必要はありません。しかし、いつもと違う様子に早く気づくことは、体調悪化を防ぐうえで大切です。高齢者は、痛みや不調をはっきり訴えないことがあります。熱が高くなくても感染症が進んでいたり、食欲低下やぼんやりした様子が体調不良のサインになったりすることがあります。
観察の基本は、普段の状態を知っておくことです。いつもの食事量、会話の様子、歩き方、排尿や排便の回数、睡眠、皮膚の状態を把握しておくと、変化に気づきやすくなります。細かく記録することが負担になる場合は、食事、水分、排泄、活動、気分の5つだけでも簡単にメモしておくとよいでしょう。
食事量の低下は、多くの体調不良の入口になります。食べる量が半分以下になった、好きなものにも手をつけない、飲み込みにくそうにしている、むせが増えたといった変化があれば、原因を考えます。口の痛み、入れ歯の不具合、便秘、発熱、薬の影響、気分の落ち込みなど、さまざまな要因が関係します。
水分が取れているかも重要です。尿の回数が減った、色が濃い、口が乾く、皮膚が乾燥する、立ち上がるとふらつく場合は、脱水の可能性があります。心臓病や腎臓病で水分制限がある人を除き、こまめな水分補給を促します。水分制限がある場合は、指示された範囲内で対応し、変化があれば医療職に相談します。
排便の変化は、食事量、水分量、活動量、薬の影響を反映します。便秘が続くと食欲低下や腹部不快感につながることがあります。下痢が続く場合は脱水に注意が必要です。血便、黒い便、強い腹痛、嘔吐を伴う場合は医療機関に相談しましょう。
尿では、回数、量、色、におい、排尿時の痛み、失禁の変化を確認します。急に失禁が増えた、排尿時に痛がる、発熱やぼんやりした様子がある場合は、尿路感染症などの可能性も考えられます。皮膚では、赤み、むくみ、傷、かゆみ、床ずれの初期サインに注意します。寝ている時間が長い人では、仙骨部、かかと、腰、肩甲骨まわりを確認します。
歩き方が不安定になった、立ち上がりに時間がかかる、いつもより横になっている時間が長いといった変化は、体力低下や痛み、めまい、脱水、感染症などと関係することがあります。転倒後は、痛みが軽くても数日間は様子を見ます。頭を打った場合や血液を固まりにくくする薬を飲んでいる場合は、特に注意します。
会話では、反応が遅い、話の内容がいつもと違う、急に怒りっぽい、ぼんやりしている、夜間に落ち着かないなどの変化が手がかりになります。認知症がある人でも、急な変化はいつもの認知症症状と決めつけず、体調不良や環境変化を考えます。
急激な悪化、意識障害、呼吸困難、胸痛、片側の手足の動かしにくさ、ろれつが回らない、強い頭痛、けいれん、転倒後に動けない、水分が取れない、尿が長時間出ない場合は、早めに医療機関へ相談します。発熱、食事量低下、むせ、下痢、便秘、皮膚の赤みなどが続く場合も、かかりつけ医や訪問看護に連絡しましょう。
観察記録は、医療職に状態を伝えるための道具です。いつから、何が、どの程度変わったかを短く書いておくと、受診時に役立ちます。在宅介護では、家族、介護職、医療職が同じ情報を共有することで、本人に合った支援につながります。