記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2026/6/10
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
年齢を重ねると、血圧やコレステロール値、血糖値などの変化が気になり始める人が増えてきます。特に女性は、更年期以降に体調の変化を感じやすく、健康診断で脂質異常症や高血圧を指摘されることもあります。
血管の健康には、遺伝、喫煙、運動不足、睡眠、ストレスなどさまざまな要因が関係しますが、毎日の食事も大切な要素のひとつです。ただし、食事だけで病気が治るというものではありません。食事の見直しは、医療機関での検査や治療とあわせて、血管への負担を減らすための生活習慣づくりとして考えるとよいでしょう。
この記事では、血管の健康を守るために意識したい食べ物、控えたい食べ方、調理の工夫について紹介します。
血管は、全身に血液を届ける大切な通り道です。血圧が高い状態が続いたり、LDLコレステロールが高い状態が続いたりすると、動脈硬化と呼ばれる血管の変化につながることがあります。動脈硬化とは、血管のしなやかさが失われたり、血管の内側が狭くなったりする状態を指します。
動脈硬化が進むと、心臓や脳の血流に影響することがあり、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクと関係するとされています。そのため、健康診断で血圧、血糖、脂質の異常を指摘された場合は、症状がなくても放置せず、医師の説明を受けることが大切です。
胸の圧迫感、締め付けられるような痛み、息苦しさ、冷や汗、急な強いだるさなどがある場合は、自己判断で様子を見続けず、医療機関へ相談してください。特に症状が強い、長く続く、安静にしても改善しない場合は、早めの受診が必要です。
血管の健康を意識する食事では、まず野菜、海藻、きのこ、豆類を取り入れやすくすることが大切です。これらの食品には食物繊維が含まれており、食事全体のバランスを整える助けになります。食物繊維は、穀類では玄米や麦ごはん、全粒粉のパンなどからもとることができます。
たんぱく質は、魚、大豆製品、卵、脂身の少ない肉などから、偏りすぎないように選びましょう。青魚に含まれるn-3系脂肪酸は、中性脂肪との関係で注目されている栄養素です。魚を毎日用意するのが難しい場合は、缶詰を利用する、焼くだけの切り身を冷凍しておくなど、続けやすい方法を取り入れるとよいでしょう。
大豆製品も日常に取り入れやすい食品です。豆腐、納豆、厚揚げ、豆乳などは、和食にも洋風の料理にも使いやすく、肉料理に偏りがちな食卓を整える助けになります。高齢の家族と一緒に食べる場合は、やわらかく煮る、あんかけにする、小さく切るなど、食べやすさにも配慮しましょう。
脂質は体に必要な栄養素ですが、とり方には注意が必要です。一般的に、肉の脂身、バター、生クリーム、ラード、加工肉、菓子類などには飽和脂肪酸が多く含まれるものがあります。LDLコレステロールが高い人では、飽和脂肪酸をとりすぎないようにすることが大切とされています。
肉を食べる場合は、脂身の少ない部位を選ぶ、鶏肉は皮を外す、揚げ物より焼く、蒸す、煮る調理を増やすなどの工夫があります。炒め物では油を量って使い、フライパンに広げすぎないこともポイントです。
また、菓子パン、洋菓子、スナック菓子、甘い飲み物は、脂質や糖分をとりすぎる原因になることがあります。完全に禁止すると続きにくい場合もあるため、量や頻度を決める、買い置きを減らす、間食を果物やヨーグルトに置き換えるなど、生活に合った調整を心がけましょう。
食塩のとりすぎは、高血圧や循環器疾患のリスクと関係するとされています。日本人の食事摂取基準では、成人の食塩相当量の目標量が示されており、高血圧がある人では、医師の指示に沿ってさらに控える必要がある場合もあります。
減塩というと、味が薄く物足りない食事を思い浮かべる人もいますが、調理の工夫で満足感を保つことはできます。昆布、かつお節、煮干し、干ししいたけなどのだしを使うと、塩分を増やさなくても味に深みが出ます。酢、レモン、ゆず、しょうが、しそ、ねぎ、みょうが、こしょう、カレー粉などを上手に使うのもおすすめです。
しょうゆやソースは料理にかけるより、小皿に少量を出してつけるほうが量を調整しやすくなります。汁物は具だくさんにして汁の量を減らす、麺類の汁は飲み干さない、漬物や佃煮は少量にするなど、無理なくできるところから始めましょう。
日々の食事では、主食、主菜、副菜をそろえることを基本にします。たとえば、麦ごはん、焼き魚、大根おろし、具だくさんのみそ汁、青菜のおひたしという組み合わせは、魚、野菜、海藻、きのこを取り入れやすい献立です。みそ汁は具を多めにして汁を少なめにすると、塩分を抑えやすくなります。
洋風にする場合は、全粒粉パン、野菜スープ、豆とツナのサラダ、ヨーグルトなどもよいでしょう。サラダはドレッシングをかけすぎず、酢やレモン、オリーブ油を少量使うと味の変化を楽しめます。
家族の食事を作るときは、本人だけ別メニューにすると負担が大きくなりがちです。まずは家族全体で薄味に慣れる、揚げ物の回数を減らす、野菜の小鉢を一品増やすなど、食卓全体を少しずつ整えることが続けやすさにつながります。
血管の健康を守るには、食事だけでなく、運動、禁煙、睡眠、ストレス対策も大切です。ウォーキングなどの有酸素運動は、体力や持病に合わせて無理のない範囲で行いましょう。すでに心臓病や高血圧、糖尿病、腎臓病などがある人は、運動量や食事制限について医師に確認してから始めると安心です。
また、減塩食品やカリウムを多く含む食品は、腎臓の病気がある人や一部の薬を使っている人では注意が必要な場合があります。健康によいとされる食品でも、その人の病状によって合わないことがあります。自己判断で極端な食事制限をするのではなく、健診結果や治療内容に合わせて調整しましょう。
血管の健康を守る食事は、特別な食品を一度だけ食べることではなく、毎日の食べ方を少しずつ整えることから始まります。野菜、海藻、きのこ、豆類、魚を取り入れ、飽和脂肪酸や食塩のとりすぎを控えることが基本です。
味つけを急に変えると続けにくいため、だしや香味野菜、酸味を使いながら、無理なく薄味に慣れていきましょう。健康診断で気になる数値がある場合や、胸の違和感、息苦しさ、強い疲れやすさがある場合は、早めに医療機関へ相談してください。食事の工夫と医療のサポートを組み合わせることで、自分に合った健康管理につなげやすくなります。