記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2026/6/10
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
病気の治療中や退院後、発熱後、強い疲労があるときには、年齢に関係なく食欲が落ちることがあります。薬の影響、痛み、吐き気、味覚の変化、口内炎、便秘、不安、睡眠不足などが重なると、これまで食べられていたものが急に受け付けにくくなることもあります。介護者は、食べない姿を見ると心配になり、何とか量を増やそうとしがちです。しかし、無理に食べさせると、食事そのものが負担になることがあります。まずは、食べられない理由を探りながら、少量でも受け入れやすい形を整えることが大切です。
食欲が落ちているときは、栄養バランスをすぐに完璧に整えるより、まず食べられるものを確保します。おかゆ、うどん、スープ、茶碗蒸し、豆腐、ヨーグルト、果物、ゼリーなど、口当たりがよく、少量で始めやすい食品を試します。冷たいもののほうが食べやすい人もいれば、温かい汁物で落ち着く人もいます。においがつらい場合は、料理を冷ましてから出す、換気する、味の濃い料理を避けるなどの方法があります。食べられる食品が限られる時期は、本人の好みを尊重しながら、少しずつ種類を広げていきましょう。
一度にたくさん食べられない場合は、食事を小分けにします。朝昼夕にこだわらず、体調のよい時間帯に少量ずつ食べる方法もあります。たんぱく質を補うために、卵、豆腐、魚、鶏肉、牛乳、ヨーグルト、チーズ、豆乳などを食べやすい形で取り入れます。スープに卵を入れる、ヨーグルトにきな粉を加える、豆腐にあんをかけるなど、いつもの食品に少し足す工夫も役立ちます。医師や管理栄養士から栄養補助食品を勧められることもあります。腎臓病、糖尿病、心不全などがある人は、自己判断で栄養食品を増やさず、医療者に確認しましょう。
食事量が落ちると、食事から入る水分も減ります。発熱、下痢、嘔吐、汗が多い時期には、水分不足にも注意が必要です。水やお茶だけで飲みにくい場合は、スープ、みそ汁、ゼリー、果物、経口補水液などを状態に合わせて使います。経口補水液は脱水時の水分と電解質補給を目的とした食品であり、日常的に多量に飲むものではありません。水分や塩分の制限がある人は、主治医の指示を確認してください。尿の回数が少ない、尿の色が濃い、口の中が乾く、立つとふらつくといった変化は、水分不足を考える手がかりになります。
数日以上ほとんど食べられない、体重が減り続ける、飲み込みにくい、むせる、繰り返し吐く、強い腹痛がある、血便や黒い便がある、発熱が続く場合は医療機関へ相談しましょう。意識がぼんやりする、呼吸が苦しい、水分がほとんどとれない、尿が半日以上出ない、急激にぐったりする場合は早めの対応が必要です。食欲低下は、本人の気持ちの問題だけではなく、病気や治療、薬、口腔状態、こころの不調が関わることがあります。介護者だけで判断せず、食事量や症状の記録を持って相談すると、支援につながりやすくなります。