記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2026/6/30
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
咽頭結膜熱は、アデノウイルスによって起こる感染症で、発熱、のどの痛み、結膜の充血などを主な症状とします。以前はプールを介した感染が知られていたため、プール熱と呼ばれることがありますが、実際には飛沫感染や接触感染で広がることが多いとされています。夏に多い傾向がありますが、季節を問わず発生することもあります。アデノウイルスには複数の型があり、症状の強さや出方には個人差があります。特別な抗ウイルス薬は一般的になく、治療は発熱、のどの痛み、目の症状などを和らげる対症療法が中心です。子供に多い感染症として知られていますが、大人がかかることもあります。家庭内で子供を看病している家族、保育や教育、医療、介護など人と接する機会が多い職種では、手指やタオル、目やにが付いた物品を介した感染に注意が必要です。
目の充血、涙が多い、まぶしがる、目やにが出る、目をこするなどの様子がみられることがあります。片目から始まり、もう一方に広がることもあります。のどの痛みや発熱と同時に目の症状がある場合は、咽頭結膜熱が疑われることがあります。目やにが多いときは、清潔なガーゼやティッシュを使い、片目ごとに新しいものに替えてやさしくふき取ります。家族でタオルを共有すると感染が広がることがあるため、洗面用具や寝具の扱いにも気をつけましょう。大人では、目の充血や痛みがあっても仕事や家事を続けてしまい、受診が遅れることがあります。パソコン作業でまぶしさやかすみが強くなる、目やにで朝に目が開けにくい、コンタクトレンズを装用していると違和感が増す場合は、眼科で相談することが望ましいです。目の痛みが強い、見え方がかすむ、光を強くまぶしく感じるなどの症状がある場合は、角膜に炎症が及んでいる可能性もあるため、早めの受診を検討します。
大人が咽頭結膜熱にかかった場合も、基本は休養、水分補給、手洗い、タオルの共有を避けることです。発熱やのどの痛みがある間は無理をせず、睡眠をとり、食事は飲み込みやすいものを選びます。発熱時は脱水を防ぐため、少量ずつこまめに水分をとることが大切です。コンタクトレンズを使っている人は、目の充血や目やにがある間は装用を控え、眼科医の指示があるまで再開しないようにします。レンズケースやレンズに汚れが残ると再び目に刺激となることがあるため、使い捨てレンズの扱いや保存ケースの管理も確認しましょう。市販の目薬を自己判断で使い続けると、原因に合わない場合があります。特にステロイドを含む点眼薬は、医師の指示なしに使わないことが大切です。
アデノウイルスは手指や環境を介して広がることがあります。家庭では、石けんと流水による手洗いを基本にし、目を触った後、鼻をかんだ後、食事の前、トイレの後は特に丁寧に洗います。タオル、ハンカチ、目薬の共有は避けます。子供がかかった場合は、看病する大人も感染を受けることがあるため、目やにをふき取った後や洗濯物を扱った後は手を洗いましょう。介護が必要な家族がいる家庭では、本人のタオルや寝具を分け、顔に触れるケアの前後で手指衛生を行います。プールそのものだけでなく、脱衣所、タオル、手すりなどを介して接触することもあるため、流行時や症状があるときは利用を控えることが望ましい場合があります。アルコール消毒だけに頼らず、手洗いと環境の清掃を組み合わせることが大切です。
咽頭結膜熱は学校保健安全法で出席停止の扱いとなる感染症です。子供の場合は、一般的に主な症状がなくなった後、一定期間を経てから登園や登校を再開します。ただし、判断は医師や園、学校の指示に従うことが大切です。熱が下がっていても、目の充血や目やにが強い、のどの痛みで食事がとれない、全身状態が戻っていない場合は、無理に集団生活へ戻さないようにします。大人の場合は、学校保健安全法の出席停止がそのまま職場に適用されるわけではありませんが、発熱、強いのどの痛み、目やにや充血が目立つ時期は、周囲に感染を広げる可能性があります。出勤再開は、熱が下がり、目やのどの症状が落ち着き、業務に支障が少ない状態になってから、職場の規定や医師の指示を確認して判断します。医療、介護、保育、食品を扱う職場では、利用者や周囲への影響を考え、通常より慎重な判断が必要になることがあります。
咽頭結膜熱は自然に回復することが多いとされていますが、症状の経過には個人差があります。子供では、水分がとれない、尿が少ない、ぐったりしている、呼吸が苦しそう、意識がぼんやりするなどの症状がある場合は、早めに医療機関に相談してください。大人でも、高熱が続く、強い頭痛や吐き気がある、せきが激しい、目の痛みが強い、視力の低下やかすみがある、まぶしさが強い場合は受診の目安になります。高齢者、妊娠中の人、免疫機能が低下している人、持病がある人では、症状が軽く見えても体調が変化しやすいことがあります。家庭内に乳児や高齢者がいる場合は、早めに相談し、タオルや寝具の共有を避けるなどの対策を続けましょう。
咽頭結膜熱は、発熱、のど、目の症状が重なるため、子供だけでなく大人にとっても負担の大きい感染症です。家庭では、水分摂取、休息、目を清潔に保つこと、タオルを分けることを意識しましょう。大人が発症した場合は、仕事や家事を無理に続けず、目の症状や発熱の程度を見ながら休むことも大切です。特にコンタクトレンズを使っている人、介護や保育に関わる人、家庭内に高齢者や乳児がいる人は、早めの受診や職場への相談を検討しましょう。急激にぐったりする、水分がとれない、呼吸が苦しそう、意識がぼんやりする、目の痛みが強い、視力に関する訴えがある場合は、医療機関に相談してください。