食物繊維を無理なく増やす食事の整え方

2026/6/30

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

食物繊維には複数の働きがある

食物繊維は、人の消化酵素では消化されにくい食品成分の総称です。便の量を増やして排便を促す働きのほか、腸内細菌によって利用されるものや、糖質や脂質の吸収に関わるものがあります。
食物繊維を含む食品は、穀類、豆類、野菜、果物、いも類、きのこ、海藻などです。野菜だけを増やせば十分というものではなく、さまざまな食品を組み合わせることが大切です。一方、急に摂取量を増やすと、腹部の張りやガス、腹痛が起こることがあります。特に食事量が少ない高齢者では、無理のない量から始めます。

便秘は食物繊維不足だけで起こるものではない

便秘には、食事量や水分量の低下、運動不足、排便を我慢する習慣、腹筋の低下、薬の影響、腸や肛門の病気など、さまざまな原因があります。食物繊維を増やせばすべての便秘が改善するとは限りません。
便が硬く少量しか出ない人と、便は軟らかいのに出しにくい人では、必要な対応が異なります。便秘薬を使用している人は、薬の種類や使い方によっても便の状態が変わります。食事だけで解決しようとせず、排便回数、便の硬さ、腹痛の有無、使用している薬などを確認することが大切です。

主食を少し変える方法から始める

食物繊維を増やす際は、毎日食べる主食を見直すと継続しやすくなります。白米に麦や雑穀を少量混ぜる、食パンを全粒粉入りのパンに替える、麺類に野菜やきのこを加えるといった方法があります。
かむ力や飲み込む力が低下している人には、硬い玄米や繊維の多い生野菜が負担になる場合があります。麦を軟らかく炊く、野菜を煮込む、豆をペースト状にするなど、本人の食べる機能に合わせて調理します。食物繊維の量だけでなく、食べやすさと食事量を保つことも重要です。

豆類や海藻を小さな副菜で取り入れる

豆類や海藻、きのこは、少量でも食物繊維を補いやすい食品です。納豆を一品加える、みそ汁にきのこやわかめを入れる、煮豆を小鉢で添えるなど、普段の献立に組み込みます。
市販の煮豆や海藻の佃煮は便利ですが、製品によっては糖分や食塩が多い場合があります。栄養成分表示を確認し、一度に食べる量を調整します。腎臓病などでカリウムやリンの制限を受けている人は、豆、野菜、海藻を自己判断で大幅に増やさず、医師や管理栄養士へ相談します。

飲み物や汁物も合わせて考える

食物繊維を増やしても、水分が不足していると便が硬くなる場合があります。水分制限がない人は、食事や間食の際に飲み物を取り、汁物、果物、ヨーグルトなども活用します。
ただし、心不全や腎不全などで水分量の指示がある人は、その範囲を守ります。トイレが近くなることを心配して水分を控えている場合は、日中に分けて飲む方法や、夜間の動線を整える方法を検討します。飲み込みにくさがある人では、飲み物の形状について専門職へ相談することも必要です。

加工食品の表示を確認する

食物繊維入りの飲料、シリアル、菓子、栄養補助食品なども販売されています。これらは不足分を補う選択肢になりますが、糖分や脂質が多い製品もあります。食物繊維の表示だけでなく、熱量、糖質、脂質、食塩相当量、一回に食べる量を確認します。
粉末状の食物繊維やサプリメントを大量に取ると、腹部症状が現れたり、薬の吸収へ影響したりする可能性があります。通常の食事を基本にし、補助食品は必要に応じて使用します。薬を服用している人や治療中の病気がある人は、医師や薬剤師へ相談すると安心です。

受診を考えたほうがよい便通の変化

便秘が長く続く、急に排便習慣が変わった、便が細くなった、血便や黒い便が出た、体重が減った、腹痛や吐き気を伴う場合は、医療機関へ相談します。強い腹痛や腹部の張りがあり、便もガスも出ない、繰り返し吐くといった場合は、早めの医療対応が必要です。
食物繊維は、種類や量を一度に大きく変えるのではなく、主食や副菜を一品ずつ調整して増やします。便の状態と体調を確認しながら、食事、水分、運動、排便環境をまとめて整えることが大切です。

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