脂質は控えすぎない 種類とバランスを意識した食事のポイント

2026/8/12

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

脂質は身体に必要な栄養素の一つ

健康診断でコレステロール値を指摘されたり、体重が気になったりすると、油をできるだけ避けようと考えることがあります。しかし、脂質は身体のエネルギー源となるほか、細胞膜などを構成する重要な栄養素です。そのため、脂質を一律に避けるのではなく、とる量と種類の両方を考えることが大切です。脂質を構成する脂肪酸には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。不飽和脂肪酸は植物油や魚介類などに多く含まれ、その中には体内で十分につくることができず、食事から摂取する必要がある必須脂肪酸もあります。健康のために油を完全に抜くのではなく、普段どのような食品から脂質をとっているかを確認することから始めましょう。

飽和脂肪酸が多い食品の重なりに注意する

飽和脂肪酸は、肉の脂身、バター、生クリームなどに多く含まれています。厚生労働省のe-ヘルスネットでは、LDLコレステロールが高くなる要因の一つとして、飽和脂肪酸のとりすぎが挙げられています。ただし、これらの食品を一切食べてはいけないという意味ではありません。朝にバターを多く使ったパンを食べ、昼に脂身の多い肉料理、夜にクリームを使った料理を食べるといったように、同じ日に重ならないよう意識する方法があります。肉料理では脂身の少ない部位を選ぶ、魚料理を取り入れる、調理に使う油の量を確認するといった工夫もできます。脂質だけに注目して主食や主菜を極端に減らすことは避け、食事全体のバランスを保つことが大切です。

魚や植物油を日々の献立に取り入れる

不飽和脂肪酸は、魚介類や植物油などに多く含まれます。青魚などに含まれるEPAやDHAはn-3系脂肪酸に分類されます。一方、大豆油やごま油などさまざまな植物油にも不飽和脂肪酸が含まれています。健康によいとされる油であっても、脂質である以上エネルギーを含むため、大量に追加する必要はありません。普段の肉料理の一部を魚料理にする、バターやラードを多く使う料理が続かないようにするなど、置き換える考え方が実践しやすいでしょう。また、特定の油だけを健康食品のように大量摂取する必要もありません。肉、魚、大豆製品、野菜などを組み合わせながら、食事全体の中で脂質の種類を分散させていくことがポイントです。

コレステロール値は食事だけで決まるわけではない

健康診断でLDLコレステロールや中性脂肪などに異常を指摘された場合、食事を見直すことは大切です。ただし、血液中の脂質には、体質、体重、運動、飲酒、喫煙、病気など複数の要因が関係します。そのため、油を控えれば必ず改善すると考えたり、特定の食品を食べれば数値が下がると考えたりすることは避けましょう。脂質異常症では、検査値やほかの病気の有無によって治療方針が異なります。すでに薬を処方されている場合には、食生活が改善したからと自己判断で薬を中止しないことが重要です。また、極端な食事制限によって体調を崩すことがないよう、自分の状態に合った方法を医師や管理栄養士へ相談することも選択肢になります。

脂質は種類と食事全体の組み合わせを見る

脂質との付き合い方では、食べないことより、どの食品からどのくらいとっているかを見ることが大切です。肉の脂身やバター、生クリームなどが毎日のように重なる場合には回数を調整し、魚や大豆製品などを取り入れます。揚げ物を食べた日には別の料理をあっさりした調理法にするなど、一日の中で調整することもできます。健康診断の数値が基準範囲外だった場合は、一回の食事の内容だけで判断せず、再検査や受診の指示を確認してください。胸の圧迫感、突然の息苦しさ、片側の手足の動かしにくさなどが現れた場合には、食事改善を試すのではなく速やかな医療対応が必要です。脂質を必要以上に恐れず、適量と種類を意識した食生活を続けましょう。

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