記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2026/9/15
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ヨウ素は、体内で甲状腺ホルモンを作るために必要なミネラルです。甲状腺ホルモンは身体の代謝などに関わっており、ヨウ素は少なすぎても多すぎても甲状腺機能に影響する可能性があります。
日本では昆布、わかめ、のりなどの海藻を日常的に食べる文化があり、ヨウ素の主な摂取源にもなっています。
「日本人の食事摂取基準 2025年版」では、18歳以上の男女についてヨウ素の推奨量を1日140μg、耐容上限量を1日3,000μgとしています。
耐容上限量は、この量まで積極的に摂ることを勧める数字ではありません。習慣的な過剰摂取による健康障害を避けるための上限として設定されています。
海藻とひとまとめにされることがありますが、含まれるヨウ素の量は種類や加工方法によって大きく異なります。特に昆布にはヨウ素が非常に多く含まれます。
文部科学省の食品成分データベースでは、乾燥したまこんぶはヨウ素を非常に多く含む食品として掲載されています。一方、わかめやのりにもヨウ素は含まれていますが、種類や状態によって数値には幅があります。
このため、「海藻は身体によいので多いほどよい」と考え、昆布を毎日大量に食べることは勧められません。一方で、健康な人が通常の食事の中で海藻を食べることまで避ける必要もありません。
大切なのは、一つの食品を健康目的で集中的に摂るのではなく、食事全体の中でさまざまな食品を組み合わせることです。
ヨウ素の摂取源は、料理として食べる昆布だけとは限りません。昆布の佃煮、おつまみ昆布、昆布茶などを頻繁に利用している場合、日常的な摂取量が多くなることがあります。
また、昆布や海藻を原料とした健康食品を利用している人もいます。通常の食事に加えて濃縮された製品を使用すると、本人が意識しないまま摂取量が増える可能性があります。
消費者庁は健康食品について、健康維持の基本はバランスのとれた食事であり、錠剤やカプセルなどの製品は特定成分を過剰に摂取しやすいとして注意を促しています。
「ミネラル補給」「海藻由来」といった表示だけで安全性を判断せず、原材料や摂取目安量を確認します。複数の健康食品を使っている場合は、成分が重複していないかを見ることも大切です。
甲状腺の病気がある人では、ヨウ素の摂り方について医師から指示を受けることがあります。昆布などを大量に摂り続けることで甲状腺機能に影響が出る人もいます。甲状腺専門病院でも、昆布などヨウ素を多く含む食品を習慣的に大量摂取することへの注意が示されています。
また、放射性ヨウ素を使った検査や治療の前には、一時的にヨウ素を制限するよう指示される場合があります。この場合の制限は通常の健康管理とは目的が異なります。
自己判断で海藻をすべて禁止したり、反対に甲状腺に良いと考えて昆布を増やしたりせず、治療内容に沿って調整してください。
家族が食事を作る場合も、甲状腺の病名だけを聞いて独自に制限を始めるのではなく、どの程度の制限が必要なのか本人や医療機関へ確認することが大切です。
昆布はそのまま食べるだけでなく、だしとして料理に利用されます。だし汁に移るヨウ素量は調理方法によって変わるため、日常の家庭料理で細かな量を毎回計算することは現実的ではありません。
健康な人では、昆布だしを使った料理を一度食べただけで過剰摂取を心配するより、昆布や昆布加工品、健康食品などを毎日のように大量に重ねて摂っていないかを見ることが大切です。
味噌汁のだしが昆布で、間食がおしゃぶり昆布、飲み物が昆布茶、さらに海藻の健康食品を利用しているといった場合は、同じ摂取源が重なっています。こうした食習慣がある人は、食品の種類を入れ替える方法があります。
海藻だけに偏らず、野菜、きのこ、豆類なども取り入れ、食事の種類を広げることを意識します。
甲状腺機能に異常があると、動悸、体重の変化、暑がりや寒がり、手の震え、むくみ、強い倦怠感などさまざまな症状が現れる場合があります。ただし、これらは甲状腺以外の病気でも起こるため、症状だけでヨウ素の摂りすぎや不足を判断することはできません。
昆布や海藻の健康食品を習慣的に大量に摂っており、体調の変化がある場合は、利用している食品やおおよその量を医師へ伝えると診療の参考になります。
甲状腺の薬を使用している人は、食事を変えたからといって自己判断で薬を減らしたり中止したりしないでください。
強い動悸とともに胸が痛む、呼吸が苦しい、意識状態がおかしいなどの急激な体調変化がある場合は、食事の問題として様子を見るのではなく速やかな医療対応が必要です。
海藻は日常の食卓に取り入れやすい食品ですが、特定の海藻を健康目的で大量に摂る必要はありません。種類と頻度を意識しながら、食事全体の中で適量を楽しむことが基本です。