ヨーロッパ最高の肥満率!こどもの肥満に対するイギリスの取り組み

2017/3/15

佐藤 典宏 先生

記事監修医師

産業医科大学第1外科

佐藤 典宏 先生

“肥満”は今や世界的な社会問題。「200キロオーバー!肥満体重ナンバー1・アメリカ」「1億人超!肥満人口ナンバー1・中国」などのニュースを日々目にします。
おしゃれなイメージのフランスやイタリア、そして紳士の国・イギリスとて無縁ではありません。事実、イギリスは「欧州の肥満大国」のうれしくない別名が。イギリスは、成人の約2/3以上が肥満状態(BMI25以上)で、子供も1/4以上が肥満!
WHOによれば、「2030年までに英国の肥満は男性で70~74%に、女性で59%~64%。2050年には子供を含め人口の5割が肥満になる」という統計が出ているほど、事態は深刻です。
深刻な政治状況からEU離脱を決めたイギリスですが、肥満対策も緊急課題。基本的に医療費が無料のため、肥満が要因の糖尿や高血圧が増加するとやばいんです。医療費の負担が国家予算を苦しめているのに、さらに肥満人口が増えたら...。ジュースや炭酸飲料に20パーセントの税金をかける「シュガータックス(砂糖税)」を導入が議論されています。この砂糖税、提案したのは、イギリスの医師会。医学の面から、子供の食育を真剣に考えています。未成年者を肥満から守るための“Child Obesity Act”という条例や、学校給食には「80-20(80%の栄養食品と20%のおやつをあたえる)」というルールもあります。
そんなイギリスで、子供の肥満を防ぐためのファーストステップとして行われている「イギリス子ども測定プログラム」について、これから紹介します。

イギリス子ども測定プログラム

イギリスでは、肥満防止の一環として、子供たちの体重・身長を学校で測定し、子供のためのより良い保健プログラムを計画し、提供しています。4~5歳もしくは10歳~11歳の子供がいる家庭に測定の連絡を通知し、学校に専門のスタッフが来て、子供の身長・体重を服を着たまま測ります。プライバシーに配慮した形で行います。そして、家族だけに結果が伝えられます。教師や他の子供が知ることはありません。これが、イギリス子ども測定プログラムのおおまかな概要になります。

なぜ、子供の測定が重要か

まず、子供が適正に成長しているかどうかわかります。太りすぎの場合、イギリスでは、専門家のサポートを受けることができます。国としては、測定することで、イギリスの子供全体のイメージ、そして、イギリスの子供の成長状態が把握できます。そして、収集した結果を、より良い保健医療サービスの提供に役立てることができます。

結果は、どう伝えていますか?

地域によって、発送準備が整い次第、親元に送る場合、親が連絡して教えてもらう場合の2種類あります。
測定前に送られる手紙にどちらの方法になるか記載されています。測定を受けなくても、子供の身長・体重を把握していて適正範囲かどうか知りたい場合、イギリスには専用のウェブサイトがあり、便利です。体重不足または太りすぎの心配があれば、親は医師、学校、カウンセラーに相談します。

なぜ、測定が必要か

医療で実践されているBMI(体格指数)測定は、子供が適正体重であるかどうか調べるためのいい方法です。年齢、身長、性別と体重を比較して、体重不足、健康体重、過体重、体重超過の4つのカテゴリーに分類します。 イギリスでは、4~5歳の約5人に1人が、太っているか肥満で、10~11歳では3人に1人の割合になります。太りすぎの子供は確実に増加しているため、親が自分の子供は過体重かどうか判断するのは難しく、BMI測定して、正確な測定値を把握するようにしています。
研究では、子供が太りすぎの場合、成人後に健康の問題が出る可能性が高いことが判明しています。BMI測定のチェックは、子供の健康的な成長のためにも大事です。

結果の共有は親が決める

イギリスでは、測定結果は、親だけに伝えられるため、子供に話すかどうかの決定は親がします。子供と話し合い食事や生活習慣を変える人、子供には話さずに生活スタイルを変える人、どちらもいます。ただしい答えも間違った答えもありません。それぞれの家庭次第です。

おわりに

結果に驚いたり、心配な場合は、医師や学校、カウンセラーに相談しサポートを求めることができます。イギリスでは、結果の通知と一緒に知りたいことやアドバイスが必要な場合の連絡先を載せています。すべては子供たちの将来のため。親としての意識を高めていきましょう。

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