記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/5/18
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
歌舞伎俳優・中村獅童さんが肺がんを患っていることを発表しました。
肺がんは、肺の一部の細胞が何らかの原因でがん化したもので、喫煙(タバコ)が深く関係しています。
副流煙を吸う受動喫煙で、タバコを吸わない人でも発症することがあります。
この記事では、そんな恐ろしい肺がんについて予防法を中心にお伝えします!
喫煙は、肺がんの最も高い危険因子ですが、喫煙の他、以下のような危険因子があります。
・受動喫煙(間接喫煙)
・アスベスト、ラドンなどへの曝露
・遺伝
肺がんを予防するいちばんの方法は喫煙しないことです。喫煙者は、早く禁煙すればするほど効果があります。たとえ何年も喫煙していたとしても、禁煙することに遅すぎるということはありません。禁煙すると、肺がんのリスクが減少し始めます。
禁煙から10年経つと、肺がんのリスクはタバコを吸い続けている人の半分まで下がります。
禁煙をサポートしてもらえる「禁煙外来」や「ニコチン補充療法」などを医師に相談しましょう。これらを使うことで、禁煙に成功する可能性が高まります。
家族のだれかが喫煙していたり、職場が喫煙OKだったり受動喫煙にさらされているときは、吸う煙の量が増えれば増えるほど健康被害が高くなります。
幼少期に副流煙にさらされた量が多いと、後年肺がんを発症するリスクが高くなることもあります。
家庭内のたばこの煙は特に有害です。たとえ窓を開けていても数時間は化学物質が大気中に残ります。周りの人にタバコを吸わないよう頼み、タバコを吸う友人や家族には、家の中でタバコを吸わないよう伝えることが重要です。
ラドンガスは自然に発生する放射性ガスで、土壌から建物に浸透することがあります。花崗岩(かこうがん)が多い地域は、ラドンのレベルが高くなっています。
果物や野菜をもっとたくさん食べましょう。肺がんはもちろん、その他のがんも予防することができます。最低でも1日につき5盛分の野菜や果物をとることです。
建築や電気技師、大工、配管工などといった職業についている人は、仕事中にアスベストにさらされている可能性が高くなります。アスベストを認識する方法と、致命的ながんの原因となる「粉じん」の吸い込みを防ぐ方法を確認してください。
女性喫煙者は、男性喫煙者よりも肺がんを発症する可能性が2倍高いといわれています。
女性の喫煙者は、男性よりもニコチンに依存してはいないものの、行動的に依存しやすく禁煙しづらいという報告がありますが、月経周期の後半に禁煙すると成功する確率が2倍になるともいわれています。これは、月経中に血中のホルモンであるプロゲステロンが高濃度になることで体内のニコチンが速く排出され、ニコチン離脱症状を軽くすることができるためです。
また、女性が禁煙に成功すると男性よりも早く肺の機能が回復するということも明らかになっています。
中村獅童さんの肺がんは早期発見と言われていますが、上記の方法や定期的な運動により、誰にでも肺がんを予防することは可能です。
活発に運動し続けることで、肺の健康を保つこともできます。そのためには、毎日最低でも30分はからだを動かすようにしましょう。
タバコ煙のない環境と、肺がんが死因上位の座を返上できることを願ってやみません。