記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/5/10 記事改定日: 2019/11/7
記事改定回数:2回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
妊娠したとたん肌トラブルが起きてびっくりしていませんか?これらはすべて、妊娠初期に起こりがちな肌荒れなんです。
なぜこうした肌荒れが起こってしまうのでしょうか。また、肌荒れを改善することはできるのでしょうか。
妊娠初期に起こりやすい肌荒れとして、以下のような症状があります。
妊娠初期に、肌の乾燥やかゆみといった症状がみられることがあります。これは、妊娠中に摂取した水分やビタミン、ミネラルは、赤ちゃんのほうに優先的に供給されるためです。
妊娠ホルモンの影響で、毛穴から皮脂が過剰に分泌したり、あせもができやすくなったりします。腕の内側の肌にできるブツブツ状の湿疹も、妊娠中にはよく起こりやすい肌荒れのひとつです。
また、妊娠性そう痒性蕁麻疹様丘診(PUPPP:太ももやお腹に、かゆみを伴う赤くて盛り上がった隆起ができる)ができることもあります。
手のひらや足の裏の色が赤くなることも、妊娠初期に多い肌荒れです。また、肌荒れではありませんが、乳輪やわきの下、足の付け根の色が濃くなることがあります。
妊娠性肝斑は、額や上唇や頬にできる、暗いしみのような茶色の斑点です。妊娠性肝斑は珍しいものではなく、妊娠ホルモンであるエストロゲンが急激に上昇し、過剰なメラニン産生を刺激したためにあらわれます。日光に当たると悪化することがあるので注意が必要です。
妊娠性肝斑になると、そばかすやほくろの色も濃くなったり、腹部の中心には正中線と呼ばれる茶色い線が入ったり、乳輪の色はより濃くなったります。
妊娠初期は急激にホルモンバランスが乱れるため肌荒れを起こしやすくなります。
その主な原因は、皮脂の分泌などを促す「プロゲステロン」と呼ばれる女性ホルモンの分泌量が増加することです。
プロゲステロンの分泌は妊娠が終了するまで続きますので、安定期を迎える頃にホルモンバランスの変化に体が慣れて肌荒れが起こりにくくなる人もいれば、出産を迎えるまで続く人もいます。
つまり、妊娠初期に生じた肌荒れが続く期間は人によって異なる、ということです。
妊娠初期に肌荒れの原因として、以下のようなことが考えられます。
妊娠初期はプロゲステロンやエストロゲンといったホルモンがたくさん分泌されるため、ホルモンバランスが乱れます。
ホルモンバランスが変わると、肌の水分量が変化したり、敏感肌になったりするため、肌荒れが起こりやすくなります。
妊娠初期はつわりで食べ物の好みが変わったり、食欲がなくなったりすることがあります。たとえば、脂っこいものや甘い物を食べることが増えたために肌の状態が悪化したり、食べる量が減ったことで栄養や水分が行き届かなくなって肌荒れを起こしたりする妊婦さんも多くみられます。
妊娠初期はホルモンバランスの変化やつわりといった体の変化だけでなく、妊娠や出産に対する不安を抱えやすい時期でもあります。
体調の変化に加えて、妊娠前のように自由に行動できないストレスなどが原因で、肌荒れを引き起こすことがあります。
妊娠初期の肌荒れは主にプロゲステロンの過剰分泌による皮脂の増加やつわりによる栄養の偏りが主な原因です。
肌荒れを改善するには、丁寧な洗顔で顔を清潔に保ち、保湿効果の高い化粧水や乳液などを使用するのがポイントです。また、お肌が乾燥しやすい状態になっていますので、室内も適度な湿度をキープするようにしましょう。
さらに、肌のターンオーバーを整えるビタミンB群やビタミンCが多く含まれた食事を心がけることが大切です。つわりがひどくて食事に偏りはあるときはサプリメントを利用するのもよいでしょう。
妊娠初期はホルモンがたくさん分泌されるため、肌にもこれまでとは違う変化があらわれます。肌にやさしいスキンケア製品に変えたり、こまめに水分補給をしたりして、肌をやさしくいたわってあげましょう。
もし、妊娠前から皮膚に影響のある美白や角質取りなどや、肌に刺激の強いケミカル療法をしているようでしたら、いったん中止して肌に負担をかけないようにしてください。