記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/2
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
塩を過剰摂取すると、高血圧になるリスクが高くなります。高血圧は心臓病や脳卒中など、深刻な病気を発症する第一歩。摂取する塩分の約4分の3は、朝食用シリアルやスープ、パン、ソースなど、購入した食品の中にすでに入っているため、食べ物に塩を加えていなくても、塩をとりすぎている可能性も。いったいどうすれば、1日あたりの塩分量を減らせるのでしょうか。
成人が1日に摂取する塩は6g以下、小さじ1杯分にする必要があります。また、子どもの場合は年齢によって最大値が異なります。
1~3歳:1日2g
4~6歳:1日3g
7~10歳:1日5g
11歳以上:1日6g
塩は塩化ナトリウムとも呼ばれます。場合によっては、食品ラベルは含有ナトリウム量のみを表示しているかもしれません。
以下の計算式を使うと、ナトリウムの量から塩分量を算出することができます。
塩=ナトリウム×2.5
つまり、成人が1日に摂取するナトリウムは2.4g以下にすべきなのです。また、子どもの場合は以下のようになります。
1~3歳:1日0.8g
4~6歳:1日1.2g
7〜10歳:1日2g
11歳以上:1日2.4g
食べ物に塩を入れないようにすることは、解決策のほんの一部に過ぎません。本当に塩分摂取量を減らすためには、毎日買う食品にすでに入っている塩分量を確かめ、より塩分が低いものを選ぶ必要があります。幸いなことに、食品包装の栄養表示で簡単に調べられます。ほとんどの包装食品には、包装の裏面または側面に栄養表示が付いています。
上記とともに、調理中や調理後に塩を加えるのを止めましょう。いつも調理するときに塩を加えているなら、入れるのをやめたり、量を少なめにしてみてください。食べるときはまず料理を味わい、塩を加える前に本当に加えたほうがいいのかどうかを考えます。舌が塩分控えめに慣れるのには時間はかかりませんし、他の味の美味しさに気づくかもしれません。
以下の食品はたいてい塩分が多いため、食べる回数を少なくするか、量を少なくしたほうがよいでしょう。
・アンチョビ
・ベーコン
・チーズ
・ハム
・オリーブ
・漬物
・エビ
・サラミ
・塩漬けのドライローストナッツ
・塩魚
・燻製肉と魚
・しょうゆ
・スープのもと
・酵母エキス
また、以下のものはブランドや品種によって塩の含有量が大きく異なるものです。したがって、ブランドを比較して塩分が少ないものを選ぶことで、塩分摂取量を減らすことができます。栄養表示を参考に、自分に合うものを選びましょう。
・ベーグル白パンなどのパン製品
・パスタソース
・ポテトチップス
・ピザ
・インスタント食品
・スープ
・サンドイッチ
・ソーセージ
・トマトケチャップ、マヨネーズ、そのほかのソース
・朝食用シリアル
なお、発泡性(水溶性)ビタミンサプリメントを日常的に摂取しているか、必要に応じて発泡性の鎮痛剤を服用している場合は、1錠あたり塩分が最大1g含まれていることを忘れないでください。もし、医師から塩分摂取量を減らすように勧められたら、非発泡性の錠剤への変更を検討してください。
赤ちゃんは母乳からナトリウムと塩化物を含む適切な量のミネラルを摂取できるので、赤ちゃんのミルクや食べ物には塩を入れないでください。また、子どもの頃から塩分控えめの食生活に慣れていると、大人になってからも塩分控えめの食事を心がけるようになります。子どもが将来高血圧などに悩まずに済むよう、小さいうちから塩分控えめの味つけを心がけましょう。
塩分控えめの食事は、最初は薄すぎると感じたり、あまりおいしくなくなったりするかもしれませんが、慣れてくると素材や塩分以外の味に気づくことができたりします。健やかな毎日を送るためにも、日ごろから塩分控えめの食べ物を食べるよう心がけましょう。