高齢者の目の健康を保つために必要なこと

2017/1/20

佐藤 典宏 先生

記事監修医師

産業医科大学第1外科

佐藤 典宏 先生

視力は年を重ねるにつれて変化します。65歳くらいになると、眼鏡やコンタクトレンズを使用する人が増加しています。定期的に視力検査を受けて度数の合ったレンズを使用し、目の健康を気遣うことで視力低下は予防することができます。

定期的に視力検査を受けましょう

視力検査の目的は、度数の合った眼鏡(コンタクトレンズ)を使用しているかを確認するためだけではありません。目の健康を維持するうえで大切な検査です。視力検査から、緑内障や白内障といった目の病気を発見することができ、糖尿病や高血圧などの疾患も発見することができます。
しかし、高齢者の多くは定期的な視力検査を受けていません。検査を受けて視力に合った眼鏡をかけると、バランス感覚やからだの動きがよくなるだけでなく、目を健康に保つのを助けてくれます。

度数の合ったレンズを使う

視力検査をすると、眼鏡やコンタクトレンズの度数を変えたほうがよいかどうかがわかります。それには病院の眼鏡鑑定士によって処方された度数のレンズを使用することが大切です。度数の合うレンズは生活の質を高め、転倒などの事故も防ぎます。

目を健康に保つために

定期的な視力検査や正しい眼鏡をかけること意外にも、以下のことに気をつけることが目を健康に保ちます。
・よく食べる
健康的でバランスのとれた食事をすることは、目の健康を保つために重要です。野菜やくだものをたくさん食べることで、全体的なからだの健康維持にもなります。また、白内障(はくないしょう)や加齢黄斑変性症(かれいおうはんへんせいしょう;AMD)の予防にもなります。
・サングラスをかける
強い太陽光は目を傷め、白内障のリスクを増大させます。サングラスをかけるかUVカットの眼鏡(コンタクトレンズ)を装着して、太陽光から目を守ってください。
・タバコをやめる
喫煙は、白内障やAMDの危険性を増大させます。
・健康な体重を維持する
体重が増えすぎると、糖尿病の危険性が高まります。糖尿病が原因で視力を失う糖尿病性網膜症を発症することがあります。
・適切な照明を使う
60歳の人がよく見えるようにするには、20歳の頃と比較すると約3倍の光量が必要になります。窓をきれいにしてカーテンを開け、なるべく部屋に自然光が入るようにしましょう。特に、段差がよくみえるように階段に適切な照明があるかどうかを確かめましょう。読書などの細かい文字を見るときは、電気スタンドを適切に使用してください。このとき、手元が反射してまぶしくならないように注意してください。
・運動する
運動で、代謝をよくして酸素をからだに取り込むことは、目の健康にとっても重要です。どんな運動でも、この2つの要素を含んでいます。
・よく寝る
寝ているあいだ目は常に潤っていて、日中に入り込んでしまった埃(ほこり)や煙などを取り除く働きをします。

高齢者にみられる目の疾患

加齢によって、以下のようなことが起こりやすくなります。
・細かい文字を読むのが難しい
目の筋肉は45歳から弱くなり始めます。これは目の自然な老化現象で、すべての人に起こります。60歳になる頃には普段の眼鏡とは別に老眼鏡や、二重焦点レンズやバリフォーカルレンズ(普段の眼鏡に別のレンズを足す)が必要となることがあります。
・飛蚊症(ひぶんしょう)
視界に小さな斑点や糸のような線がみられます。ほおっておいても差し支えありませんが、頻繁に続いたり気になるようなら、ほかの病気の徴候かもしれないので眼科を受診してください。
・白内障
視界が徐々に曇っていく疾患です。60歳以上の人では一般的で、目の検査で簡単にわかります。簡単な手術で視力を回復させることができます。
・緑内障(りょくないしょう)
脳に接続する視神経の損傷につながる眼圧(がんあつ)の上昇が原因となって起こる疾患です。治療せずに放置すると視野狭窄(しやきょうさく)となり、最終的には失明することがあります。早期に発見されれば、点眼薬で治療することが可能です。
・加齢黄斑変性症
老化によって起こる目の裏側にある神経組織である網膜の疾患です。加齢黄斑変性症には浸出性(新生血管型)と萎縮性(乾燥型)2つのタイプがあります。乾燥型はゆっくりと進行しますが、新生血管型は急速に進行するため直ちに受診して治療を受ける必要があります。
・糖尿病性網膜症
目の網膜に起こる網膜障害です。糖尿病を発症して 15年ほど経過すると、約半数の人が網膜に異常が起こるといわれており、失明の原因の第 1位となっています。

おわりに

年を重ねてくると視界が狭くなったり、ものがみえにくくなります。「年だから」仕方ないと決め付けないで、見えにくいと感じたときは医師に相談してみましょう。失明にいたる重大な疾患が隠れているかもしれません。人生は、最後まで「薔薇色」でありたいものです。

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