記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/5/16 記事改定日: 2019/9/9
記事改定回数:2回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
妊娠してからの数週間は、赤ちゃんにもママにとっても危険がいっぱいです。お腹の中に芽生えた命が行き続けるのは、実はとても大変なことなのです。この記事では、妊娠初期に起こりやすい腹痛と流産について解説したいと思います。
流産は、妊娠初期に起こることが多く、そのほとんどが妊娠第1週に起こっています。
妊娠第1週は、胎芽の細胞が臓器を形成するために分裂し始めたり、子宮の側に着床したり、胎盤がママと赤ちゃんの血流をつないだり、ママの免疫システムが赤ちゃんに慣れたりするなど、たくさんのことが起こる時期です。そして、これら全ての段階で、流産を起こすリスクがあるのです。
流産には以下の3種類があります。
流産につながるけいれんは、通常、お腹や腰、骨盤部のあたりに生じることが多く、出血を伴います。それは鈍い痛みで、ひどい生理痛(月経痛)に近いものと思っていただくとイメージが沸きやすいかもしれません。
ただ、その痛みが流産なのか、正常な妊娠の経過によるものかを判断するのが難しい場合があります。流産かどうかを判断する最も重要な目安は出血です。着床時期のけいれん痛とは違い、流産時のけいれん痛は、通常、数日間続く出血を伴い、時間とともにひどくなることが多いからです。
流産は運動や性行為、仕事でのストレス、パートナーとのいさかいやひどいつわりによって起こるものではありません。流産してしまう背景には、赤ちゃんの成長に伴う発生学的障害や母体の免疫反応など、さまざまな事情があります。流産の原因がはっきり特定できないこともよくあります。
ここで重要なのは、流産は母親のせいで起きたわけではない、ということです。ほぼ全ての事例で、母親が原因で流産したり、流産を防ぐために何かできることがあったということはありません。万が一流産したとしても、自分を責めないでください。
流産の症状はひとりひとり異なりますが、よくみられる兆候として以下のようなものがあります。
上記のような症状がみられたら、医師の診察を受けましょう。医師は腹痛や出血の有無を尋ね、外子宮口が開いているかどうか(妊娠期は閉じていなくてはいけません)を調べます。そして、胎のうや胎児の心拍を超音波で確認します。これらの検査結果から、医師は流産かどうかの判断を下します。
ほとんどの流産は避けられません。ただ、できる限り流産をしないようにするために、下記に紹介する健康的な生活を心がけることが大切です。